第27話 〜世界眼〜
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魔物の中から出てきた女の子は、結論から言うと、エルフだった。人族では一位二位を争うであろう美貌の王女の顔がクソのように思えるくらい、とても綺麗な美少女で、耳は鋭く横に尖っている。エルフの特徴だ。
だが、自然と神聖樹をこよなく愛するエルフ族は自分たちの領土、〝フォレスト〟からなかなか出てこないはずだ。それに、サラン団長からはエルフ族は、長寿で傲慢で、木を切り倒す人族を憎み、軽蔑していると聞いた。だからハーフエルフなど有り得ない。
だから耳と顔を見るまでこの女の子がエルフ族だとは信じられなかったのだが、夢でも何でもなく、現実だった。服装からしても王様や王女よりも高級そうな布を使っていることが分かる。きっとそれなりの地位のエルフの娘かなにかだろう。
「ああ、面倒くさい拾い物をしてしまった」
そう言いながらもちゃんと二人分の食事を用意してやる俺はとてもお人好しだと思う。
「そうだ、暇だし〝世界眼〟を試してみようか」
今までは時間がなかったのと、エクストラスキルが影魔法のせいで俺の中で危険指定されていたために、使ったことがないのだ。名前からして恐らく鑑定系のエクストラスキルだとは思うが、流石に城で試す勇気はなかった。影魔法の時のように暴走されたらとても困る。
だが、ここは迷宮で、隣に見ず知らずの女の子が寝ているだけだ。犠牲は俺とこの子だけで済む。善は急げと、俺は体の感覚を頼りに世界眼を発動した。
「……っっ!?」
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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迷宮の壁Lv.60
他より少し柔らかい
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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迷宮の壁Lv.60
硬くて壊れない
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あまりの情報量に、俺は頭を押さえて座り込む。激しい頭痛と目眩、吐き気がした。
「……はぁっはぁっ!」
ようやく痛みが収まって目を開けると、そこかしこにステータスプレートのようなボードが空中に出ている。どうやら世界眼は一度発動すると自分の意思など関係なく大量の情報が流れ込んでくるタイプのようだ。
俺は『世界眼』を解除してぐったりと倒れた。やっぱりエクストラスキルはそうぽんぽん使っていいものではないらしい。俺はサラン団長との稽古で痛みには程々に慣れているが、きっと佐野さんあたりが今の痛みを喰らったら叫んで気絶して発狂するだろう。
一瞬だけだったが、見てはいけないものが見えた気がしたし、……この世界の未来のことなんか俺に見せられても困る。
このスキルの本来の力はきっと、相手のステータスを見るだけに留まらない。俺が望めば、この世界の全て、未来でさえも見せてくれるだろう。
まあその用途で使う気はサラサラないけどな。未来が分かったところで別にこの世界に興味なんかないし、チートは気配隠蔽でお腹いっぱいだ。これ以上いらない。ステータスを見れるだけいい。
「……ん」
世界眼に対する対処を決めていた時、すっかり忘れていた女の子が目を覚ました。
「私は……」
「はぁ、面倒くせぇ。おい、どっか痛てぇとこはないか?」
俺は、世の中の男子がこぞって付き合いたいと言うであろう美少女にため息をついて、一応声をかけた。こんな女は大体が性格ブスだと相場が決まっている。期待なんて一切していなかった。




