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第212話 〜補給役〜



「ともあれ、これで空でも魔物の危険があることはわかっただろう。そこの王女様が戦闘にかかりきりになっているときに魔石に貯めた魔力が尽きれば、その時は全員船ごと海に向かって落ちるわけだ」



 まるでワイバーンの襲撃などなかったかのように先ほどの話の続きをノアが始める。おかげで何の話をしていたのか思い出すことから始めなくてよかったが、魔物の襲来を日常の一コマのように片付けるのはやめてほしい。

 ため息をつきそうになるのをこらえながら、俺は提案する。



「そうなると、あまり戦闘で魔力を使わない人がいいんじゃないか? 戦闘に魔力が必要な者は除外。万が一のために回復要員2人も除外」



 負傷した時のために細山と上野は魔力を温存していて欲しいし、俺と夜、勇者、京介、七瀬、津田は戦闘に魔力がいる。となると、候補としてはクロウ、ノア、ジールさん、アマリリスと和木だろうか。ジールさんも微妙なところだが、今のところ俺と京介と勇者、夜だけでも十分過剰戦力のため候補に入れてもいいだろうと考えた。



「では、私が立候補しても?」



 俺の視線を受けた5人の中から、アマリリスが手を挙げた。頑固ではあるがどちらかというと内気で自己主張をあまりしないアマリリスの珍しい行動に全員から視線が集まった。視線を受けてアマリリスは隣にいた細山の陰に隠れようとした。体格差のせいか全然隠れられていないが。

 俺とアメリアは世界眼でアマリリスの魔力量を確認する。



―――――――――――――――――――


アマリリス・クラスター

種族:人族 職業:製薬師Lv.55

生命力:1100/1100 攻撃力:55 防御力:66

魔力:5500/5500

スキル:製薬Lv.9 危機察知:Lv.2 料理:Lv.3

エクストラスキル:魔眼(鑑定)


―――――――――――――――――――



 確かに、魔力が飛びぬけて多い。レベル差があるためか勇者よりは少ないが、職業レベルが同じであればアマリリスの方が魔力が多くなるのではないだろうか。

 聞くところによると、製薬をする際に少しだけの魔力が必要であり、魔眼の方も常に使っている状態でなければほとんど魔力を消費しないらしい。鍋で薬を煮詰めるのも魔石を使った生活魔法で事足りるため、日常的に魔力が余っている状態なんだとか。

 とすると、アマリリスはアメリアの補助として魔力を補給するのに最適な人材だ。



「なんだアマリリスはやはり魔力が多いのか」



 ステータス的にも他人のスキルは見えないはずのノアがその数値を知っていたかのように言った。その言葉にアマリリスは照れたような表情を浮かべる。ジールさんやクロウ、リアとアメリアも知っているかのような雰囲気だ。この世界の常識なのだろうか。



『古い言い伝えだ。“魔力に愛された者は美しい者である”という言葉がある。眉唾だと思っていたんだが、アメリア嬢やアマリリス嬢を見ていると信じてしまいそうだな』



 俺の肩に乗っている夜がぼやいた。

 確かに俺がこの世界で出会った魔力が多い人間のほとんどがタイプは違えど美形と分類されるような者ばかりだ。



「眉唾なものか。統計的に見ても魔力量が多いものが外見に恵まれているのは確かだろう。昔は生まれた子どもの顔を見てその子の魔力量を推測していたくらいだ」



 ま、そのせいで子どもを捨てるような愚かな者が増えてあまり伝えなくなったんだったか。と言うノアの眉間には皺が寄っている。子供を産んだ親として思うところがあるらしい。



「と、ともかく、アメリアさんが戦闘中で魔力の補給ができない場合はアマリリスさんが補給をするということでよろしくお願いします」



 話が脱線して悪くなりかけた空気を勇者が仕切りなおした。

 俺は顎に手を添えながら、思ったことを口にする。



「魔力が多い分にはどうなんだ? 問題ないなら、アメリアとアマリリスが主に補給して尚且つ交代で休息をとる前に各自残った魔力を適量注ぐのもいいんじゃないか?」



 少なくて困ることはあっても多くて困ることはないだろう。

 船のことについて一番詳しいノアも同じ考えなのか頷いて賛同した。



「多少多い分にはオーガン・キングの魔石も問題ないだろう。そうだな……ひとまず、3班に分ける。魔族領に到着するまでおよそ3日程、半日ごとに休憩や警戒時間を過ごしてもらう。で、警戒から睡眠に移る際に残った魔力を船に注いでもらおう」



 およそ3日とは言っているが、うまく空の旅が進めばだろうな。道中で天候に恵まれなければもちろん長くなる。魔物もそうだが空にいるだけで常に警戒しなければならないのは迷宮や“死の森”と変わらないということだ。

 班は、索敵に優れている俺、ノア、夜を隊長として、次いで攻撃力が高いアメリア、京介、ジールさん、勇者が均等になるように分けられている。

 俺の班が警戒している間、ノアの班が休息や睡眠をとり、夜の班が自由に過ごす。もしも襲撃にあった場合夜の班が優先的に援護に向かうことになる。それを半日ごとにローテーションするのだ。



「俺の班はアメリアとリア、クロウ、それと細山か」


「よろしくね、織田君」



 ノアがどこからともなく取り出した紙に書かれた班分けを読み上げる。セーフハウスにいた時から考えていたらしい。

 夜の班に勇者、上野、和木、ジールさん。ノアの班はアマリリス、七瀬、津田、京介だ。夜の班に少し非戦闘員が固まってしまっている気がするが、夜がなんとかするだろうし援護の班がフォローに入るだろう。

 他も特に異論はないのか、決められた班で固まって行動することになった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 面白い作品だとは思うんですが、更新頻度が少ないので、500話くらいになってから読み始めれば良かったなと思いました。
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