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第163話 ~食料1~ 朝比奈京介目線


佐藤の提案で和木と細山と食料を探すことになった俺は、とりあえずあたりを見た。

木々の頭は見えないほど上にあり、一本一本幹が太い。

俺たち三人で両腕を広げても一周することはできないだろう。

一番小さそうな木でそうなのだから、一番大きな木はいったい樹齢何年なのだろうか。

よくここまでまっすぐに育つものだ。


俺はそんなことを考えながら黙々と来た道が分かるように木を斬りつけて目印を作っていた。

和木は調教した動物たちをあたりに放して探すように言っていたし、細山は地上にある草の中から食べられるものがあるか探している。

俺は万が一の護衛のような立ち位置だろうか。

一応何かあれば即座に対応できるようにはしている。


にしても、この人選には悪意を感じるのだが。

もともとあまりしゃべらない方だが、和木と細山は特に会話をしたことがない。

よく考えると、普段あまりかかわりがない者同士のグループ分けであることがわかる。

佐藤のことだから何か考えてのことだと思うことにしよう。



「お!なんかあったのか?」



和木は木の実を咥えて肩に降りてきた調教動物をよしよしと撫でた。

ぐるぐると喉を鳴らす調教動物は最初のころとは違い、かなり和木に懐いていることがわかる。

調教した動物が懐くということは、調教師のレベルがかなり上がっているということ。

おそらく、俺たちの中で和木の職業レベルが一番高いだろう。

一見、一番何も考えていないような和木だが、実は陰ながら努力していたのだ。



「おい細山も見てみろよ。サクランボか?」



和木が受け取った木の実はサクランボのような形をしていたが、一粒の大きさは桃くらいあった。

俺は細山の顔をうかがう。

治癒師である細山は毒などの有害なものに敏感だ。

何も言わないということは食べれるものなんだろうか。



「これはサクランボかな?ちょっと待ってね」



和木から木の実を受け取った細山は止める間もなくそれを口にした。



「お、おい!」



俺と和木の心配をよそに、細山はけろりとしている。

なんともない様子にほっと息を吐きだした。



「何してんだよ!もし毒だったらどうすんだ!」



和木が声を荒らげる。

確かに、細山にしてはいささか不用心だったように思うのだが。

そんな俺たちに細山はにっこりとほほ笑む。



「大丈夫よ。治癒師には体内の有害なものを無効化するスキルがあるの。といってもそれを習得したのは最近なんだけどね」



つまり、細山に毒は効かないというわけか。

このサバイバル生活に希望が見えてきた気がする。

これなら、合流した際に他の班が持ってきた食べ物も細山に毒見してもらえれば安全というわけだ。



「先に言ってなくてごめんなさいね。私もこのスキルがどこまで効果があるのか試さないとわからなかったから」



そう言って笑う細山に少しぞっとする。

なんというか、肝が据わっているな。



「とりあえず、見つけた食べ物は片端から私が毒見するわ。それと、このサクランボもどきは桃の味がしておいしかったよ。皮がちょっと渋いから剥いて食べるといいかも」


「わかった!よろしくな細山!」





結果、細山の毒見のおかげで俺たちのグループはかなりの数の食べられる木の実を見つけることができた。

これだけあれば全員腹八分くらいは食べることができるだろう。



「そろそろ太陽が真上だな。帰るか!」



ほとんどまっすぐ進んでいたため、振り返って歩くだけだ。

ホクホク顔で、俺が木につけていた傷をたどって集合場所に急ぐ。



「……あれ?」



先頭を歩いていた和木が声を上げる。

俺がつけた木の傷、それが途切れた先には、あるはずの少し開けた集合場所がなかった。




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