35話 大型連休
「もうすぐ連休だなー」
「そうだな。去年と言えば……実のコトばっかりだった気がするなー」
「あぁ……そうだな」
実は遠い目をして窓の外の方を見ていた。
「今年はどんな感じになるのやら」
「もしかしたら戻ったりしてな」
「……はぁ」
「……なんかすまん」
「いや、多分考えてることは違うから謝らなくていいよ」
「じゃあ何を?」
「……それは言えない」
「なんだよ~」
そう言われると気になるなぁ。
「そう言えば、河豚名の課題とかプリントとか、どうする?」
「確か……船木が一番近いんだっけ?」
「そもそも俺たちは家が隣同士だから、どちらが近いかって話にはそもそもならないしな」
「それもそうだな。じゃあ船木に――」
「ちょっといいか?」
そう実が言いかけたとき、別のクラスメイトが話しかけてきた。
「ん? 何だ?」
「いやな、河豚名のプリントとかを届けたいってヤツが来てて……」
「なんだそりゃ?」
「何ていう名前の人?」
「確か……林さんっていったかな? ほら、扉の向こう側にいる女子」
「あ、あー……」
「なるほどなぁ……」
「お前ら何か知ってんの?」
「「いや、別に……」」
「仲良いなお前ら」
俺たちの仲が良いかどうか置いておいて、事情はある程度知っている。去年の夏休み、「事」と「情」を入れ替えたモノを見たからだ。
「取り敢えず、これと……あとこれもか。じゃ、よろしく言っといて」
「おう、じゃあな」
「さて、と……俺たちも帰るか」
その後、数日も河豚名は学校に来ない内に、連休へと入った。
「ふぅ……連休1日目で連休中の課題全部終わらせることが出来て良かったな」
「絶対他の教科で課題が出されて無いと思って出してる量だよな、コレ……」
「朝からやってんのに、もう陽が傾き始めてるな……」
「空が朱くならない内に終わって良かったよ、本当に」
「じゃ、遊ぶ予定でも考えようぜ。今から何する?」
「いつも通り、ゲームとかでいいんじゃね?」
「そか。じゃ、準備準備~」
実の見た目が変わってからも同じようにしていることと言えば、やはりゲームだった。
スポーツをすることはそもそも少なかったが、実の身体が変わってからはからっきしだ。
以前はスポーツをしていると、筋肉量や体格から、実の方が勝ち越す物が多かったが、今や俺の方の成績や得点が良くなることが顕著なんだろうなと、生活をしていて感じることがあるほどだ。
恐らくだが、もはや持久力以外で俺に勝っているところなどあるのだろうか分からない。それほどだ。
「でさー」
「ん-?」
「明日からどうするー?」
「そうだなー……」
連休だし、何かしたいこととかあるかなぁ……去年は「取り敢えず着られる物」を探しに行った後、家で実の勉強やら息抜きのゲームやらをしていただけだったような気がする。
今年はどうしようか。
「も、もし、まー君が良かったらさぁ……」
「おう」
「服……見に行かない?」
「服? 珍しいな。俺たちが服を見に言ったのなんて、去年のアレ以外無かったのに」
「い、嫌かな?」
「別に嫌じゃないけど気になって。何か心変わりでもあった?」
「心変わりってほどじゃないかも知れないけど……、夏は汗で服を変えなきゃいけないし……。冬は男物の上着とかでも別に問題はあんまりなかったけど、夏の物で男物はあんまり流用できないから」
「なるほど」
「それに、女物の服にある程度慣れちゃったことがあるかなぁ……。最初は変に見られるのが嫌で着てこなかったけど、たまに着るようになってから抵抗感が薄れてきた」
「ま、いんじゃね。俺も流石に去年着てたヤツ全部今年分として着続けることは流石に傷んだりしてて無理だから、いつか買おうと思ってたし。いつ行く?」
「明日とか……行けそう?」
「おっけ。朝から? それとも昼から?」
「うーん……朝からで」
「分かった。じゃ、どっちか先に準備出来た方から連絡入れようぜ」
「ん」
結局、去年と似たようなことになりそうな計画になったな。




