314 ラブラドールの形に穴が開いている
今日、野暮用で遠くまで出かけました。
走り慣れない道を、ナビに従って運転していた時のことです。
左手に立派な公園があって、ほんの一瞬、(あ、この公園、○○を連れてきたら喜びそう)と思いました。
そして次の瞬間、その子(大型犬)はもう十年も前に旅立ったんだっけと我に返りました。
懐かしく思い出すことはしょっちゅうあるのですが、無意識に「ここ、連れてくるのにいいね!」と思ったのは初めてでした。
そうだった。あの子はもういないんだった。もう会えないんだった。
そう思ったら、その子が旅立って初めて涙が出ました。
その子は大型犬としてはとても長生きして15歳まで生きてくれたので、諦めはついていました。
最後の頃は肉腫ができてしんどそうだったので、息を引き取った時は(楽になれてよかったね)という気持ちが大きく、悲しいと言うより安堵したのです。
それなのに10年もたって公園を見て(あの子を連れてくるのによさそう)と無意識に思ってしまった自分に、泣けました。
いたらない飼い主でしたが、今も私の心にはラブラドールの形をした穴が開いているようです。
スープの森に出てくる黒ラブのロブの話をたくさん書けなかったのは、私の中でまだあの子を失ったことが完全に消化できずにいるからだろうと思います。
もう犬を家族に迎えることはありませんが、あの子とすごした15年は、楽しい日々でした。
今夜はあの子を思い出してワインを飲もうと思います。




