305 火事は予想外に静かだ
ここに書いたか青空に書いたか忘れたけど、夫の実家を訪問中に、夫の実家の斜め裏の家が火事になったことがあった。
サイレンが聞こえるなーと思ったけどすぐ鳴りやんだから、普通におしゃべりして帰ろうと外に出たらかなりの火事だった。
木造二階建てが燃えていて、炎は三階くらいの高さまで上がってた、昼間だからあまり炎は目立たなかったけど、昨日夫の実家にお線香をあげに行ったついでに聞いたら、全部で三軒が全焼したらしい。
風向きによっては夫の実家も無事では済まない位置だったのに、あのとき、誰も気がつかずに談笑してた。
数か月前、私の家の近くの家が取り壊された。火事があったらしい。取り壊し中の家の屋根に大穴が開いていた。
近所の人に聞いたら、火事は私が絶対に家にいた日時。私はサイレンにさえ気づかなかった。消防車は現着したらサイレンを消すからわからないのか、と思った。
その話を近所のおじいさんとしていたら「俺もいたんだよ。気づかなかった」と。
爆発でも起きない限り、火事って静かに燃え広がるんだなって思った。
夫の実家だって、あの大きな火事のさなかに私を含めてみんなで他愛無い話をして笑っていたけど、あの瞬間、燃えている家の人たちはどれほど絶望していたことか。
平和と絶望が数十メートルを隔てて同時に存在していた事実が、今も忘れられないし恐怖。
いつ自分が逆の立場に立つかもわからないっていう恐怖です。




