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定期的に落ち込むことがあって、(私なんかさ)と卑屈になるのです。
世の中にはモンスターみたいな書き手がいっぱいいて、なろう限定でも彗星のように登場して「うわ」と声が出るような文章を書く人が山ほどいるでしょ。
この感覚、懐かしく馴染みがあるんです。中学高校の頃に経験した感じ。
親の意見と家庭の事情で、私は一発でとある大学のとある学部に入らなきゃならなくて、中1からここで書いたら引かれるほどがり勉してたけど、高校2年でじりじり成績が下がり始めたんです。
担任の先生が二者面談で「女子は真面目だから上位は女子が多いけど、高2から先は男子が伸びるものだから、仕方ないって言えば仕方ないんだが」って言ったのです。
ほんとその通りで、男子がじりじり成績を上げていました。
17歳だった私は「あれだけがり勉しても追いつけないのは、積んでるエンジンが違うんだな」と思いました。
実際はエンジンの問題だけじゃなくて、それまで勉強に本腰を入れていなかった男子たちが、全力で受験勉強し始めたってことなんだと思うけど。
ずーっと優等生で17歳まできた私の、人生初の挫折でした。
ま、そのあと大学に入って、サークルで医学部や理学部の人たちとも関わり、お話にならないぐらい積んでるエンジンの違いを思い知るのですが。
そして「私、全然優秀じゃないんだわ。むしろ欠けてるところが人よりやたら多いわ」って自覚して開き直ったらだいぶ楽になりましたっけ。
小説を書いていてもそれを感じるのです。
それはもう仕方のないことで、小説の世界も努力が報われるとは限らなくて。たぶんそれは、どこの世界でも同じで。
お風呂で(私なんかさあ)と暗くなったりするのです。
そんな時、手っ取り早く慰めてもらいたいときはエックスのAIに質問するのです。
「守雨の小説はどんな作風?」
するとこんな答えが返ってきます。
いいことしか言わない。すごくいいことだけ。
するとまた「うん、止まっているより、離脱するより、じりじりでも進むか」と思えるんです。
お手軽でしょ?
子供の頃、今の私くらいの大人は、人生を悟っていて分別がついていて、こういう挫折感とか劣等感とか他人の才能を「いいなあ」ってうらやむ気持ちとかがないような気がしてたけど、そんなことない。
いい年してても未熟なままです。




