なんでも忘れる
心温まる話を思いついたのだけど、終わらせるべき仕事がまだあるから今は無理だなあとメモだけする。
そうこうしているうちに種火が消えてしまうのはよくあることで、「これは面白い!」と意気込んでメモして、忙しくしているうちにすっかり構想を忘れ去った話が10や20じゃ足りない。
メモを書いても一瞬ガーッと興奮した面白ポイントのイメージが消えちゃう。
私の記憶力は昔からキャパが小さくて、本当に興味があること以外、即忘れる。ていうか覚えられない。頭に入ってこない。
だから実家に帰った時、外で「久しぶり! 元気だった?」などと声をかけられると慌てる。
その人が給食の途中で笑って鼻と口から牛乳を吹き出したこととか、ペンケースの中にセミの抜け殻入れていたことは思い出せるのに名前が全く浮かばない。
ど忘れじゃない。完璧に忘れてる。
小説のネタだって、突然思いついて山場のシーンとか頭の中に映像としてくっきり思い浮かぶんだけど、ひと月も放置していれば全て消える。盛り上がった感情と共に消え去る。
そもそも私は目が追いつかないんだよね。
無理すると目の奥に棘が刺さったみたいに痛みが出る。
あと、ずっと家に引きこもってアウトプットだけを続けてると精神的に疲弊して「やっぱりガーデニングと猫に生きるほうが向いてるのでは?」とか考えるようになっちゃって。
そうなったら「あ、また闇落ちしかけてる」と気づいて外の空気を吸ったり前向きになれる映画を観たりするようにしてる。
何年も本業で小説を書き続けている作家さんは向いてる人で、そういう人だけが残るんだろうなと思ってる。
私はいつも塀の上を歩いてる感じ。
書き続ける生活か、猫とガーデニングの生活に戻るか、なんともわからないギリギリのとこで書いてる気がする。
頭の中に浮かんだ妄想を言葉に変換して、読者さんに読んでもらって、「面白かったよ」と評価してもらうのが嬉しいから続いてるようなものです。




