214 叩きつける正当な理由があった
私が住んでいる地区の自治会には17軒の家が参加している。
ゴミ集積場を使うのは16軒。我が家が使っていない。この地区を仕切っているとある奥様が出されたゴミの袋を開けて「分別されていないゴミを正しく詰め直している」からだ。
分別しているのは本当だが「大人用紙おむつが捨てられていた。あの家に違いない」「あの家のゴミにはいつもプラゴミが混じっている」「あの家に子供たちが里帰りした翌日のゴミには必ずプラゴミが入っている」「洗わないでビンを出すのはあの家に違いない」と言っているのを聞いてから、もう耐えられなくて捨てるのをやめた。
「そのうち我が家のゴミもなにか言うにきまっとる!」と思った。
私が月に2回、クリーンセンターに全種類のごみを捨てに行くのだけど、こっちのほうが心も体も楽。ネコ砂って重いから、集積場まで一番遠い我が家にとってゴミ捨ては結構しんどい作業だったわけよ。
前置き長くてごめん。今回は分別したゴミのうち、燃えるゴミの話ですよ。
クリーンセンターの作業員さんが、私から受け取ったゴミを、わりと叩きつけるような感じで鉄板の上に投げる。ある程度の量が溜まったら、鉄板が斜めになってゴミをピットに滑り落とす仕組み。
私は毎回(そんな叩きつけたら、袋が破れてウンPごと砂がぶちまけられちゃう)と心配していたけど、この前、叩きつける理由が分かった。
きっちり分別してあるはずの我が家のゴミが叩きつけられた時、燃えるゴミにあるまじき「カンッ!」って金属的な音がした。
そのとたん、作業員さんの顔つきが変わったの。私もオドオドしちゃって、「え?」って固まった。作業員さんは慣れた手つきでポケットからカッターナイフ取り出して袋を裂き、中を改める。
出てきたのは次男が高校の修学旅行で買ってきた透明な樹脂製の置き物。
透明な直方体の内部に、レーザー?で景色が刻み込まれているやつですよ。もういいかなって本人に確認してから断捨離した品。
「奥さん、これ、ガラスですよね?」(顔が怖い)
「違います、樹脂製です。燃えるゴミのはずです」(オドオド)
作業員さんが鉄パイプ製の手すりを置き物で叩く。カンカンカン!
「ガラスでしょうよ」
「違いますって、樹脂製ですって」(何年も前の記憶だけど同封されてた紙にはそう書いてあった、と思う。自信は9割ぐらいだけど)
「うーん。わかりました、はい、ごくろうさまです」
仕事に忠実な作業員さんは迫力があった。ゴミ袋を叩きつけるように投げる理由もわかって、今後いっそうまじめに分別しようと思った。
ゴミ分別徹底推進派としては「樹脂製であってくれ!」と今でも思う。今更な話だけども。




