108 ようこそ我らが地獄へ
いろいろあって、「ああ、これはきっと、終わったんだな」と思ったことがありました。
「大丈夫、あれは無駄じゃなかった」
すぐ自分に言い聞かせました。
そこまでの膨大な労力は決して無駄ではなかったと自分に言い聞かせて、青い炎を燃やしておりました。
積んでは崩し、また積み上げては崩し、言えないほど何度も繰り返して家の形になったところでまた崩し、それで終わったんだと思っていました。
「わかった。ここから先は、私一人で完成させるわ。あの途方もない労力を無駄にはしないわ」
そう声に出して誓いました。
再びいろいろあって、終わっていなかったことが判明しました。
そしてまた石を積み上げることになりました。
今度こそ絶対に石積みの家を完成してみせます。絶対に。なにがあっても。
完成したら見に来てください。その家があなたのお気に召す姿だといいのですが。
これからの大変さを思うと今夜は眠れそうにないのでベッドで漫画を読むことにします。
1個、ものすごく強く、それでいて健気な女性の話を思いついたのでスマホにメモしました。
浅水太一郎も書きたいし。
「ようこそ我らが地獄へ」
たしかにね。その意味が今、骨身にしみてわかりました。
おやすみなさい。




