表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/7

検非違使に問われたる木樵りの物語

 はい、左様でございます。最初に翁の死骸を見つけたのは私でございます。


 夜半に廁へ行こうとしたところ、となりの翁の屋敷から雷のごとき轟音が響き、私はその衝撃に打ち倒されて一時気を失ってしまいました。それから少し経って眼が覚めた私が外に出てみると、あれだけ立派だったお屋敷は跡形も無く粉々になっておりまして、月明かりに照らされた残骸が、まるで巨大な生物の骨格の様な無惨な姿を晒しておりました。


 辺りは静まり返っていて誰も生き残りはいない様子でしたが、それでも私と同じようにあの轟音で飛び出して来た近所の者達と、生き残りが居ないかと屋敷の残骸をどかしはじめました。何よりも、例の噂のかぐや姫の安否が気になりましたので。そうして夜通し、皆で屋敷の残骸をどかしはした物の、見つかるのは使用人やら警備の者の死骸ばかりで、姫の姿はどこにも見当たりません。


 そうする内に夜が明け始め、月が山の陰に沈もうとするまさにその時、梁の大きな木材の下敷きになっていた、翁と媼の無惨に押し潰された死骸を発見したのでございます。


 何か変わった物は無かったか? いえ、何もございません。ただ、次々と運び出される使用人や警備の者達の死骸は、ことごとく獣に食い散らかされたかの様な酷い有り様で、かろうじて顔が残っている死骸は、皆一様に恐怖の表情を浮かべておりました。


 完全に夜が明けた頃に、ようやく検非違使達が駆けつけて、現場の検分をすると言う事で私達は屋敷から追い出されてしまったので、後の事はわかりません。


 何? 姫について何か知らないか? あの屋敷は私の様な者は到底入れない所でございました。何せ、帝の求婚の一件以来、あの屋敷には昼夜を問わず屈強な警備の者達が……これらも皆死んでしまいましたが……昼夜を問わず屋敷を守っておりましたので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ