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伝説に残らなかった大賢者【書籍2巻&コミックス1巻、11月末同時発売予定】  作者: しゅーまつ


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相当な実力の持ち主

 マーギン達はみんなのいる場所に戻った。


「ロッカ、子供達の様子はどうだ?」


「大人しく寝てるぞ」


「了解。子供達も落ち着いてるみたいだし、みんなも寝てくれ」


 すでに明け方近くになっている。みんなも疲れてるだろうと、寝てもらうことに。



「全員、この年にしては魔力値が高いな」


 みんなが寝てから、マーギンは子供達を鑑定した。歳は10前後の子供達。魔力値は200前後だ。よく魔力暴走で死ななかったな。と、不思議に思う。


「ん?」


 額に埋め込まれた魔結晶をよく見てみる。


「これ、マジックドレインペンダントみたいな仕組みなんじゃないか?」


 カットの仕方は違うが、未加工の魔結晶そのものが埋め込まれているわけではない。明らかに加工されたものだ。


 魔結晶を壊さずにカットするには、魔法で状態保存を先にする必要がある。


「かなり専門的な知識を持ってるな。それに状態保存魔法も使えるのか。ということは……」


 マーギンは魔力暴走を抑えるためにマジックドレインではなく、魔結晶に魔力を溜めるような仕掛けだとしたら、あのストーンバレットの弾数と威力の謎が解けると考えた。


「溢れた魔力を魔結晶に溜めて、使った分を魔力に戻すとかの仕組みなのかもしれん」


 マーギンは自分の仮説を確かめるために、自分を撃った子供に鑑定をしながら、マジックドレインをかける。


【魔力値】217、216、217、216、217


 マジックドレインで魔力を吸い取ると、すぐに復活する。試しに、もっと早く吸い取っても同じだった。これを繰り返していると、徐々に魔結晶の色が薄くなってきた。


「仮説通りか。こんなことができるとか凄い技術だ」


 初めは、埋め込まれた魔結晶は子供達を操るためのものだと思っていたが、そうではないようだ。額の魔結晶を何とか取り除けないかと思っていたが、この子達は大人になるまで、このままの方がいいかもしれん。と、マーギンは、思った。


「何か分かったのか?」


 大隊長がやってきた。


「寝なくていいんですか?」


「神経が高ぶっててな」


「まぁ、そうでしょうね。あとでスリープをかけますよ」


「いや、大丈夫だ。ああいうことが平気な人間になりたくはない。寝れなくなるのが当たり前のことをしたのだ。これは受け入れるべきだと思わんか?」


 拷問の末、男を始末した大隊長はそう答えた。今のやり取りで、自分に拷問をさせないために、先に寝かせたこともマーギンは理解した。


「なら、酒でも飲みますか。子供達のことで分かったことを説明しますよ」


「何かつまめる物はあるか?」


「腹減ってるならなんか作りますけど?」


 マーギンは肉料理を避け、粉ふきいもにマヨを添え、胡椒をガッツリかけておいた。


「お、何だイモかと思ったが、これはなかなかいけるな」


「水割りにも結構合いますしね。たまにはこういうのもいいでしょ」


 マーギンもつまみながら飲み始めると、オルターネンもやってきた。


「寝てなくていいの?」


「なんか旨いものでも食ってるんじゃないかと思ってな」


 と、笑いながら隣に座ったので、同じ物を渡して、子供達のことを話した。


「マーギンでも知らないものなのか?」


 と、口元にマヨを付けたオルターネンが真面目な顔をする。面白いからこのままにしておこう。


「俺は他の国のことをなんにも知らなかったから、こういうのが開発されていたかもしれないね」


「それが古文書として残ってた可能性があるのか」


「かもね」


「子供達はどうやって操っていたか分かるか?」


 と、オルターネンがマーギンに尋ねたとき、


「それは私が説明致します」


 シュッと現れたのは隠密の頭。いきなり出てきてもマーギン達は驚きもしない。


「あれはお前の部下だったのか」


 大隊長が隠密頭に聞く。


「元、ではありますが」


「残念な最期を見せてしまったな」


「仕方がありません。そのような人生を歩み、それだけの報いを受けるようなことをしてきたのですから」


 そう答えた隠密頭は、人を洗脳するときはどのようなことをするのか説明をした。


「このようなことまでしなくても、子どもなら効果はてきめんです。子ども達にとって、第一王子は親……いえ、神のような存在になっているでしょう。ただ……」


「ただ、何だ?」


 大隊長は言葉を濁した隠密頭の顔を睨んだ。


「……心を壊したのだと思います。何も考えず、何も望まず、言われたことだけしかできないように」


「元に戻せるのか?」


「私には分かりません。心が壊れた者が長く生きた例を見たことがありませんので」


 その言葉を聞いたマーギンから威圧のこもった魔力が溢れ出す。


「マーギン、抑えろ。こいつに怒りをぶつけても何もならんだろう」


 と、オルターネンに肩をポンと叩かれたマーギンは、フーーっと大きく息を吐き出した。


「悪い」


「い、いえ。陛下のお怒りはごもっともでございます。それと、普通に生きろと言われておりましたが、そのご命令にも背きました。申し訳ございません」


「何をした?」


「第一王子の潜伏先と思われる場所に部下達を張り付かせて、見張りをさせております。場所は北の廃鉱山です」


「北の街の領主邸から地下で続いているのか?」


「直接ではありませんが、近くまで続いております」


「初めからそこが潜伏先と知ってたのか?」


「いえ、廃鉱山となった理由が魔物の脅威だったからです。鉱山入り口はもとより、鉱山内に倒せないほどの魔物が出るようになり、廃鉱山となりました。そのような場所に潜伏するとは思えませんでしたので」


「何が出るか分かるか?」


「サラマンダーです」


「鉱山って、火山か?」


「違います」


 マーギンは自分の知ってるサラマンダーとは違うのかと疑問に思った。


「地下水が豊富なので、ヌメヌメとしたやつです。他にも大きなクモ型の魔物や、コウモリ系のものです。サラマンダーが出るようになってから、他の魔物も大きく強くなりました」


 水生系のサラマンダーもいるのか。北側は寒くて、行かないようにしてたから知らない魔物だな。


「分かった。見張りと場所を教えてくれてありがとう。坑道図はあるか?」


「こちらに」


 と、すでに用意をしてくれていた坑道図を手に入れたマーギンは、夜が明けると廃鉱山に向かったのであった。




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― 新着の感想 ―
メキシカンなのしか浮かばない(*・ω・)
山椒魚・・・ コイツ食えるよな。 間違いなく食うだろ、って思ってしまうのは、この小説では仕方ない事だろうか
皆さん頭に浮かぶものは一緒ですね 水棲系サラマンダー=山椒魚
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