27「前を向こう!」
抱き寄せられてどれくらい時間が経ったのか。
わからない、けれど俺にとってその時間は、なんとも心地いい、それは本当に、至福の時間と言えた。
だが…流石に羞恥心が芽生え始めてきた…。
今更思ったが、俺かなり恥ずかしい所見られた?
しかもこの抱かれてる状況。
あ、やばい、これ恥ずか死ぬ奴。
「え、エリエルさん…そろそろ」
勿論名残惜しさしかなかった。
「ダーメ、辛いなら遠慮なんていらないのよ?
今は、存分に甘えていいんだから」
いや、甘えたいけど…でもこんなのガブやネスに見られたら勘違いされること間違いなしだ。
だからここは…存分に甘えさせて貰おう。
見られたっていいじゃない!
だって最高のお胸様なんですもの!
そして、廻はこの後一時間程この状態だったと言う。
て言うかよくエリエルも我慢できるな。
何て言うツッコミは置いとくとしよう。
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ネスの部屋にて。
「よいしょっと…」
ネスは部屋の窓を開け、暗闇の中に一つ照らされる満月を眺める。
ガブリエル、彼女は元の才がとても優秀。
いわゆる天才と言う奴なのだろう。
僕とは違って、やろうと思えば何でも出来てしまう、とてもいい子だ。
「そして…」
廻、彼は優しい男の子。
なにより努力家だ、全てを全力で取り組む姿はとても眩しい。
これから先きっと彼は僕を…。
「そろそろかな…」
ネスは優しく遠くを見据えて呟いた。
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朝、俺はとても心地いい目覚めだった。
昨日のエリエルさんの包容が効いたのだろう。
あれはとてもいいものだった。
またやってもらいたいものだな。
「あ、廻おはよ」
「ん?おうガブ、おはよ」
俺が昨日の余韻に浸りながら廊下を歩いていると、ガブがおはようの挨拶をしてきた。
何とも、素晴らしいパジャマ姿なのだ。
まるで白いドレスを着ていると見間違える程だ。
うむ。
朝から至福よのう。
って俺はおっさんかよ。
「ねぇ…廻、昨日の事なんだけど…」
昨日と言うと、まぁその俺がとても恥ずかしい台詞を言ったあれですねわかります。
正直枕元で思い出して悶えたのは秘密である。
「その…ありがと…私、これからは前を向く」
真っ直ぐそう言うガブの目を見た。
ガブの目にはきっともう後悔なんてつまらないものに振り返ってる暇などないだろう。
俺はそんなガブを見て自然と笑みが溢れ
「そっか…俺も、前を向かないとな」
と、ガブに聞こえないように呟いた。
そして、俺とガブはそのまま朝の魔術の訓練へと足を赴かせた。
「二人に大事な話があります」
と、突然、中庭に着いた俺とガブにネスが言ってくる。
「「大事な話?」」
それに、疑問の声を上げたのは言うまでもなく俺とガブである。
それに対して真剣な顔でこちらを見詰め、告げる。
「卒業試験を行う」




