25「成長しました!」
中庭にて。
今回は、ルナが廻の今の実力を見たいため、ルナと廻の模擬戦が開始されていた。
「さっ!何処まで成長したか。
見せて貰うわよ?廻」
「望むところ」
お互いに間合いを確認しつつ、ニヤリと笑う。
心地いい風が木剣と共に揺れる。
模擬戦、開始。
「ッ!」
ルナは一気にこちらに飛び込む。
その速度は普通の人にならば確認出来ないだろう、だが、廻はこれまでの稽古でルナのスピードに追い付けるまでに剣筋と動体視力、その他もろもろが成長していた。
そして、ルナの木剣が廻の左の横腹を凪ぎ払おうとする。
廻はそれを木剣で流れる様に下に下ろし剣をぶつける。
そして、ルナ剣は下へと落とされる。
廻はそれを狙っていたかの様に木剣を右に持ち変え、そしてぐるりと回りその勢いで右に持った木剣でルナの後ろに一発ぶちこむ。
だが…
「な!?」
「甘いわね廻」
その剣はあっさりとルナの木剣に防がれた。
ルナは落とされた木剣を一瞬の内に空いてる方の手にすり替え、そしてつかさず相手の剣筋を読んで後ろに防いだのだ。
勿論、ルナは防ぐだけじゃ終わらない。
ルナは廻の剣を上に上げる。
廻は剣をぎゅっと握り締めたまま後ろに下がってしまう。
額に急に汗が零れ落ちる。
ルナはその隙を見逃さない。
ルナは廻の方を振り返り、そして片足で思いっきり踏み込む。
剣では廻の防御が先に間に合ってしまう。
そこで、ルナは右の手の平を広げ、そして指は折り曲げ、その猫の手の様な形をした拳で廻の腹に一発。
「ガハっ!」
その衝撃は体の奥まで響き渡る。
あまりに強すぎる一撃に廻は唾を吐きむせる。
だが、ここで終わるはずもなく、ルナは視線を横に移し、そして左手に持った木剣で腰の捻りを応用し廻の腹を付く。
これはルナが持つ一つの技だ。
その名も。
「二突き」
向こうまで飛ぶ廻に目を配りながら呟くルナ。
『二突き』
一に拳で突き、そして二に剣で突く。
その名の通りの技だ。
腰の捻りを応用したルナオリジナルの剣術。
と言ってもルナ自身はこれを二突きとは呼んでいるが、そこまで洗練された物でもないため、使う機会は少ない。
これを受けて立っていられるものはほぼ皆無に等しい。
だが…
「く~…効くなぁ…。
本当にルナは手加減の一つも…ゴホっ!してくれないんだもんなぁ…」
廻は立ち上がる。
今の廻の覚悟はこの程度では折れない。
強くなると、真っ直ぐに決めた廻は。
「面白くなってきたじゃない」
ルナの顔には笑みが浮かんでいた。
お互いに木剣を真っ直ぐと構える。
睨み合う虎と竜。
そして、今回先に一歩でたのは廻だ。
虎の尾を全力で踏みに行く。
いっきにルナに詰め寄ると、廻はまず木剣でルナの頭上を捕らえる。
自然とルナの目は頭上に行く。
それが、廻の狙いだった。
よく見ると、その木剣は掴まれていない。
剣先に目が行き過ぎて気づかなかったのだ。
ルナは不味いと思いバッと下に視線を向ける。
そこには、不適な笑みを浮かべている廻の姿が。
「チェックメイトだ…」
廻の拳はそのままルナの顎にクリーンヒット。
その衝撃でルナは後ろに飛んでしまう。
バサ!と、草に倒れるルナ。
動く様子はない。
「はぁ…はぁ…勝っ…た?…ッ!?」
廻の意識は急に遠退く。
あ、やばい、これ俺も気絶するパターンだ。
そして、廻はそのまま背中から草村へと倒れた。
ルナの二突きの二突き目が今更になって響いたらしい。
そして今日廻は初めて、ルナを引き分けまでに追い込んだのだった。




