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規格外な魔力量で異世界成り上がり!  作者: あだち りる
第三章「固有魔術(オリジナル)!」
24/31

24「もう一回!」

俺は、あの後何も言わずに着替え、あの場から去り、ガブを一人にした。

今は一人にした方がいい。

きっと今だからゆっくりと考えたい事があると思うから。


ん~…でもこのままだと、多分ガブは長風呂になるだろうし…マジで何しよ。

と、俺が腕を組ながら、廊下を歩いていると


「あ、廻」


「よっ!ネス」


こちらに手を振っているネスの姿があった。

俺は軽く挨拶をする。

可愛い、俺の師匠超可愛い。

俺はそんな再確認をした。

そして、ネスの姿を見ると、何やらいつもと違う服を着ていた。

それは、青色のローブ。

そして、何より目立っていたのは右手に持っている長い杖だ。

それを見て、勿論疑問が過らないはずもあるまい。


「これから何処かに行くのか?」


と、俺はネスに聞いてみる。


「まだ勉強の時間まであるし、ちょっと自主練習をしたくて」


「へぇ…そうなのか」


俺は感心しながら呟く。

ルナの言う通り、ネスは本当にまだ努力をしているんだな。

真っ直ぐと、自分の道に進んで。

何か羨ましいな。

邪魔するのも何だし、さっささと行くかな。


「そんじゃ俺は部屋に戻るよ、頑張ってな!」


と、俺がその場から去ろうとすると、ネスは顎に手を置いて何やら少し考えた後「そうだ!」と言って手の平を、ポン!、と上から拳で叩く。


「廻、暇なら僕の自主練習に付き合ってくれないかな?手合わせをお願いしたいんだ」


「え?俺が!?」


そして、廻は言われるがまま、ネスに引っ張られて行くのだった。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄

ネスがついさっき完成させた魔道具、パンドラボックス改め、ボックスで手合わせをする事になった。

ルールは、剣術あり、魔術は下級まで。

相手から一本でも取れば勝者となる。

このルールは俺に配慮した結果だろう。

中級魔術や固有魔術オリジナルを使えば、俺なんて相手にならないからな。

ゴミクズですよゴミクズ。


「それじゃあ始めようか」


と、ネスが言うと、ネスは持っていた杖を後ろに投げる。


「あれ?杖は使わないのか?」


「流石に手合わせであの杖は使えないよ。

あれは、他の杖とは違って僕のお手製だからね。

使えば、人一人くらい下級魔術でも木っ端微塵に出来るからね」


「マジかよ」


え?何そのチート級のアイテム。

俺にも恵んでくれ、丁度聖剣エクスカリバーの一つや二つ欲しいと思っていた所だ。どうか俺にも約束した勝利を、エクスカリバー!って叫びたい。

何て、事を思っている内に、ネスは既に構えの体制に入る。


「ッ!」


俺も警戒して、木剣を右手で構え、魔術を放つ為、左手を手ぶらにする。

だが、ネスはこちらに構えているだけで、何もしてこない。

詠唱をする様子すらない。


ど言う事だ…?

口を動かしてる様子も動く様子もない。

何かの策か?それとも俺の考えすぎ?

ただこちらがどう出るか伺っているだけか?

なら…これで!


「《我に落雷の導きあり、落雷は光となる、光れ》!」


廻が、そう詠唱すると、ネスの正面が雷の様に強く光る。


下級魔術。


『雷光』

雷の様に光を発っする。

この光は相手だけに届く暗示がしてある。

詠唱したとしても自分にはその光は見えない。

つまり、ただの目眩まし。

普通の魔術師同士の戦いならば、詠唱を唱えるから次に何をしてくるかわかる。

だが、廻の場合は剣術と魔術を合わせて使う魔術剣士。

どうでるかわからない。

そう、普通の魔術師・・・・・・、ならばだ。


「これで終わりだ!」


廻はそう言うと、木剣を上に降り下ろした。

だが、その剣先はあっさりと読まれ、左に避けられる。


「廻、僕はこれでも国級魔術師だ。

目を潰された程度じゃ、状況は有利には働かない」


そして、つかさずネスは右手を廻に向けた。

廻は木剣の大降りをした為前以外はがら空きだ、防御方法は、ない。


「クッ!」


けど詠唱には時間がかかる!

ここから木剣を左に降ればこっちが先に攻撃する事ができる!


廻はバッと左を向く。


「《風の加護よ切り刻め》」


「な!?」


詠唱が短い!?

こんなの間に合う訳…


そして、何個もの風の刃が廻を襲う。


「グハっ!」


廻は後ろへと倒れる。


これって…リーフウィンド?


下級魔術。


『リーフウィンド』


風が舞い散る葉の様に鋭く放たれる。


けどリーフウィンドの詠唱って。


《我、精霊に受けし風の加護よ、刃となりて切り刻め》


のはずだ。

まかさこれって…。


「僕の勝ちだね、廻」


詠唱省略って奴かよ…。


「詠唱省略って…。

使えない俺にそれやるとかちょっと大人げなくないですか?」


俺は倒れたまま女々しい言い訳を口にする。

すると、ネスは笑って、こう答える。


「僕は廻よりか年下だもん」


してやったり、と言うどや顔をしてネスは応えた。

クッソ…俺の師匠可愛すぎかよ…まぁ男な訳だが…。


そして、今日戦ってわかった。

ネスは強い、今の俺なんかじゃ足元にも及ばない。

ネスに勝つのは…無理だ。

こんなんじゃきっと、ガブを守れるような、ガブのお父さんの様な人にはなれない。

って何いってんだ俺!

そもそも、ネスはずっと努力してきたろうが。

俺が負けるのは当たり前だ。

俺にはまだ努力と言えた努力をした試しがない。

なのに何が、無理だ、だ!

まだ、諦める所じゃねぇだろ…?加藤廻!


俺は、ゆっくりと立ち上がる。


「ネス、もう一度手合わせを頼みたい!」


「ッ…!」


ネスは少し面食らった様な顔になりながら廻を見詰める。

その理由は、廻の顔には恐怖とか、挫折とか、そんなのが写ってたんじゃない。

ただ笑って、楽しいと、強くなろうとしている顔だったからだ。

そして、ネスは静かに微笑む。


「次はもう少し強めで行くよ?」


「ばっち来い!!」


こうして、俺とネスの授業前の手合わせが追加された。

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