27話 女の子という理不尽。
27話 女の子という理不尽。
「……ちなみに、あの『明日、俺に殺される予定のクソボケ』からは、どこまで聞いている?」
「んー、久寿男がギャルの中学生と仲良ぉしとるって事以外はなんも」
「なるほど……なるほど……」
『どこまでもイラつかせてくれる後輩』を頭の中で射殺してから、
必死に頭をまわし、
いろいろと、自分の中の規制をぶったぎって、
だから、
「機密漏洩になるから黙っておいて欲しいんだが、実は、その中学生……飛び級試験に巻き込まれた民間人でな」
「確か……巻き込まれた民間人は、6人くらいおったんやっけ?」
「ああ。その中の一人に『ちょっとした問題』が発生してな。なぜか理由はわからないが、ミッションの記憶を残していたんだ」
「へぇ、記憶が残る系の事故は、たまぁにあるって聞くけど」
「そのたまにが、よりにもよって、俺の時に起こりやがった」
「それは、めんどうくさいなぁ。上にはもう報告したん?」
「いや、していない。というより、放置しておくつもりだ」
「なんで? 黙っとるんがバレたら『隠蔽した』って事で、久寿男も処罰されるやん」
「今回だけ記憶が消えなかっただけで『もう一度やれば記憶が消える』……という事例なら、まあ『大した問題じゃない』が、どうやっても記憶が消えないタイプの人間だった場合、どうなるかは予測がつくだろう?」
「まあ、消されるやろうなぁ。え? ……それがイヤってこと?」
「まあ、ありていに言えばな」
「なんでイヤなん? 別にええやん。知らん女が死のうがどうしようが。むしろ、積極的に殺していったらええやん」
「いや、積極的に殺していく必要はないだろう」
「もしかして、その中学生がタイプやから? もしかして、久寿男ってロリコンなん?」
「アホか」
心底しんどそうな顔でため息をついてから、
「言っておくが、『報告をためらっている理由』の中に『あの女の容姿』は一ナノ足りとも含まれてはいない」
「ほんまに、一ナノも?」
「当然だ」
「ほ・ん・ま・に? 怒らへんから、正直に言うて。そのゲロカス女の容姿を、久寿男は、どう思ってんの?」
「まぁ……確かに、どちらかといえば、好みの容姿だが、しかし……って、おい、作楽? 作楽さん?!」
自分が念を押して聞いてきたくせに、
『仕方なく肯定で答える』と、
一瞬で、殺人鬼フェイスになる作楽。
「ちゃんと聞け、おい」
過剰な不機嫌を惜しげもなく全力投球してくる作楽の態度に、
(ほんとに、女ってのは、どいつもこいつも……)
天童は『女の面倒くささ』に辟易しながらも、
彼女の『理不尽な感情』から逃げるワケにもいかず、
だから、真摯な目で作楽の目をジっと見つめ、
「確かに、あいつのルックスは『俺好み寄り』だ。それは認める。が、しかし、モテない男というのは『ストライクゾーンが妙に広い』か『極端に狭い』かの二択になるもので、俺は前者だというだけの話だ。たとえば……」
そこで、天童は、キョロキョロとあたりをうかがって、
「……えぇと……ほら見ろ、あそこに部活帰りの女子中学生が五人いるが、正直に言うと、あそこにいる全員が『俺のタイプ』と言えなくもない。五人とも別に、格別美人ってわけでもないが、明確にブスってわけでもないから、どいつの見た目も嫌いじゃない。モテない男ってのは、そういうもんなんだ」
「別に、モテへん事ないやん……その意味分からん自己低評価、ほんま鬱陶しいわぁ」
作楽はイライラを隠すことなく、
「……ほな、ええわ。じゃあ、なんでなん? 『タイプ云々が関係ない』んやったら、何を躊躇してんの? 『特に関係も興味もない女子中学生の一人や二人が死ぬ』んのナニがいやなん?」
「それは……だな……あー、つまりだ……」
そこで、天童は気づく。
(ぬぁ……これ、説明できねぇじゃねぇか……)
天童は必死に頭を悩ます。
(なんの理由がある? 軍規違反を犯してまで、あのガキをかばう理由……だめだ……『例の件』が前提になければナニもない! 実際、あのガキが、高瀬の親族じゃなければ、俺はとっくに報告している)




