14話 超難度の飛び級試験。
14話 超難度の飛び級試験。
「え、何、これ? 空の色、変じゃない?」
「なんか、白いんだけど、え、なに?」
慌てている女子中学生を尻目に、天童は、
(民間人を巻き込むタイプの強制ミッションか……ウゼェ)
大勢で挑む演習ではなく、個人に降りかかるミッション。
『戦闘ばかり』の『演習』と違い、
『ミッション』には、今回のような『民間人を護衛するタイプ』もある。
ちなみに、天童は、これまでに、
『この手のミッション』を軽く二桁以上こなしている。
(いつも1人か、多くても2人なのに、今回は6人……いやいや、多すぎるだろ、アホか)
飛ぶ事もできない民間人を守りながらの戦闘は、とてつもない難易度を誇る。
(流石に6人は守れねぇ)
冷静に戦場を分析しながら、
キュっと、ロザリオを握り締める。
(まずは『不可視化させた時限型の地雷』を『無詠唱で展開』させておいて……)
いくつかの武装を隠し球的に配置していく。
剣翼を発動させなくとも配置できる武装の設置は、
エネルギーもブーストも消費しないうえ、奇襲もできるので、非常に便利だが、
いかんせんレベルワンでは使用できる種類が少ない。
(……これで『事前にまける武装』は、すべて配備終了。一応、このガキ共の守りにも、リソースを割いたが、敵スペックが想定より『ちょっとでも上』なら、その辺も全部回収する。どうせ『このバカ女どもを守り切った』としても、ボーナスとして『数点』加算されるだけ。……無視して、敵エースを殺すことだけに専念したほうが合理的)
『この手で殺す』という訳でもないから『悩む理由』などない。
自分の命と比べて、目の前にいるガキどもの命の、なんと軽いことか。
ちょっとした『精神衛生上の問題』があるので、
余力があるうちは、一応、気にかけておく。
――だが、そこまでが限界。
流石に『このガキ共を盾にするつもり』などはないが、
しかし『命を懸けて守ってやろう』という気も毛頭ない。
天童は少年漫画のヒーローじゃない。
『どうでもいい相手』のために『必死』を積んだりしない。
――天童が、冷酷に、『ヤバそうだったら切り捨てよう』という算段を立てていると、
「「ぎゃぁっ」」
「ひぃ!」
「な、なに、あれ?!」
「キモいんだけどっ?!」
「え、まじで、なにこれ!」
突如、時空痕から出現した『巨大なクモ』のようなロボット。
(高級オートマトンか。珍しいな。あのAQコアは……ナイトキューブ? いや、ヘルボックスだな)
天童はゆっくりと腰をあげながら、
(んー……『ヘル機』が投入されているってことは、ミッション難度『SS2』って所かな。ソロで挑むとなると、こりゃ、確定で6人は守れんね)
コトリと、牛乳パックを足元に置いて、
(偵察のオートマトンなんざ、破壊した所で、ポイントにもなりゃしねぇ。とっとと『敵エース様』を見つけて、天に送り届けさせてもらうか)
指の関節パキパキっと鳴らしつつ、
(……さて、今回は『何天使』かな。今の俺なら、最悪の『力天使(レベル5)』が相手でも、まあ、どうにか出来なくもないが、しかし、楽勝ってわけじゃないからなぁ……強い天使の相手は、なるべく勘弁ねがいたいところ……『能天使(レベル3)』あたりがきてくれると嬉しいんだが……はてさて)
6人を見捨てて、さっさと距離を取ろうとしていたが、しかし、
『ロクニン・マモレバ・トビキュウシケン・ミトメル』
クモ型のオートマトンが、候補生の脳内にだけ響く音波を発したところで、
天童は、
――クワッッ!!
目を大きく見開いての、
『がっついた反応』を示し、
(と、飛び級試験だとっ?! ……そ、それって、まさか、『合格すれば、大学院を出る前に、神の加護が受けられる』って噂の、あの『飛び級試験』か?! た、単なる都市伝説だと思っていたが、マジであるのか?)
『コレハ・センターシケン・テキセイ・ミセロ・ガンバレ』
(マジか。このセンターをクリアすれば、マジで『飛び級試験』を受けられんのか………………いや、でも……六人は……きついぞ、おい)
『セントウ・カイシ』
宣言と同時に、ヘルボックスは、偵察モードから戦闘モードに切り替える。
『クモ型』から『サソリ型』に変形し、
「「「「「「きゃぁああああ!!」」」」」」
迷いなく、ギャル6人を殺そうと、飛びかかった。
その光景を目の当たりにした天童は、
「ちぃっっ!! デビルメアトランク、起動!!」
即座に、剣翼を起動させる。
そして、そのまま、一瞬のうちにビームソードを取り出し、
飛翔しながら振りかぶる!!
「――おらよっ、と」
言いながら、天童は、ヘルボックスを真っ二つにしてみせた。
正中線に沿って真っ二つに裂かれたオートマトンは、
キッチリ一秒後、パカっと左右に分かれて、
地に落ちると、ゴロンゴロンと転がってから、
ドゴォンと豪快に爆発した。




