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霧の湖に沈める  作者: 水沢ながる
5/5

 あーあ、当てが外れちゃったな。

 小園七海は、自室のベッドに寝転がって考えていた。

 いい男がいるかと思ってサークルの旅行に参加してみたけど、大江ってイケメンの子には「彼女がいるから」ってきっぱり断られた。それでもいいじゃん、と迫ってみたら、笑顔で「しつこいよ?」だって。笑顔が怖いってどういうことよ。

 だったら、とお金持ちの中津先輩に乗り換えようとしたら、湖に落ちて死んじゃった。

 女子の先輩達はなんかやたら構って来るし。女子会しようとか皆で言われたら、断われないじゃん。おかげでベロベロに酔っちゃった。正直ウザいよ。

 他には目ぼしい男子もいなかったし、もうサークル辞めちゃおうかな……。


 彼女は知らない。自分が守られたことを。恐らくこの先ずっと、知ることはない。


      ◇


『……そうか。まあおまえならそうすると思ってたよ』

 電話の向こうの声に、大江賢治は苦笑した。

『でもこれ、ある意味一番残酷な結末かも知れねーぞ』

「……判ってますよ」

 賢治は答えた。彼女達はいつか、罪と言う名の霧に迷うのだろう。少なくとも長谷川さんには、その覚悟はある。

 窓の外には霧が出始めていた。明日もきっと、目覚めたら真っ白な朝が来るだろう。

 真実を隠した、白い朝が。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ∀・)いやぁ~コレ凄いですね~。推理モノとして楽しめる以上に群像劇として深く掘って楽しめる作品ですね。クライマックスに進めば進むほど上手い言いまわしといいますが、ワードセンスの鋭さみたいな…
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