表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/75

冒険者ナインの一日

ここから二章が始まります。

少しの間は単発になります。

 魔王様との決戦から何日たっただろうか?ほとんど寝ていたので日付の感覚がほとんどない。


 起きれるようになったら起きてもいいし、出歩いても良いってことで俺は石壁に囲まれた牢屋を抜け出して魔王城の庭に出て日向ぼっこをしている。


 天気は晴れ、空を見上げると雲がゆっくりと流れていき日差しが気持ちよく俺の全身を包みこんでいくようだ。


 あれから変わったことがいくつかある。


 まず俺自身の身体だ。


 封魔の腕輪を外して戦った影響で魔力回路は無事だったが魔力器がまたボロボロになってしまい、今までの治療がほぼ無意味になってしまった。


 また、一から治療のし直しである、といってもエグジットポーションを飲むだけだけどね。


 次に両腕につけた封魔の腕輪は魔王様によって鎖のようなものがつけられてしまって外せなくなってしまっている。


 鎖のようなものは魔力でできた魔王様の結界術で、魔王様じゃないと外すことができないそうだ。


 そのうち外してくれるそうだけど、魔王に敵対したのだからしょうがないってエヴァさんも苦笑していた。


 そしてスキル。


 何と俺にユニークスキルが生えた!


 その名も『魔力操作』・・・いやいや、それ普通にスキルであったじゃん!死にスキルじゃん!って初めは俺も思った。


 だが、実験しているうちにチートスキルだということがわかってしまった。


 本来、魔力操作は魔力の制御が細かくできるようになるだけで、とは言っても制御の難しい上級や超級魔法を使うにはほぼ必須と言われているスキルなんだけど、それだけだ。


 今回俺に生えてきたユニークスキルである『魔力操作』は根本的に効果が違った。


 魔法の形を変えることができるようになったのだ。


 わかりやすくいうと俺が普段から使っている『ファイア・ランス』、これは魔力で作った槍のような炎を飛ばして相手に着弾、炎を軽くまき散らすのだがこれを魔力操作で形を変えて炎の剣として自分で持って戦うことができるし、平べったくして盾みたいにすることもできる。


 次に魔力剣であれば自分が使える属性の魔法効果を刀身に付与することができるようになった。


 正確にいうと魔力剣じゃなくて普通の剣でも付与することができるんだけど、魔力を通すことを前提に作られていない剣だと刀身がボロボロになってしまうのでほぼ使えない。


 例えば雷鳴の剣は魔力を通すことで刀身に雷撃が発生するという剣の特性として雷撃が出るものなのだ。


 だがワンゴさんに作ってもらった魔力剣は魔力を通して切れ味や耐久性を高めるだけのものだったが、これに炎や水などの効果が上乗せできる。


 ここまではチートとは言えないって俺も思うんだが三つ目の効果がヤバかった。


 よくセリスと手をつないで魔力を流して、セリスに魔力制御の練習をさせていたのだが本来は他人の魔力を他人が制御することはできない。


 セリスができていたのは俺が魔力の制御を完全に放棄していたからで、ほんの少しでも他人の制御があると全く受け付けないものなのだ。


 俺のユニークスキル『魔力操作』はこれを可能にするとんでもスキルであった。


 わかりやすくいうと飛んできた魔法の制御を奪い取り魔法を無効化したり逸らしたりすることができるようになった。


 しかもユニークスキルだからなのか封魔の腕輪の影響を受けない。


 ここに異世界転生チート野郎が誕生してしまった。


 わかっている効果はこの三つ。


 魔法の形を極端に変化させることができる。


 魔法を武器に付与することができる。


 魔法の制御を奪うことができる。


 正直、今の俺は何がきても負ける気がしないほど慢心、ドヤ顔、魔王城で一人で出歩いて日向ぼっこができるほど余裕しゃくしゃくの全能感しかないのだ。


 これはヤバいな、相手が使ってきた魔法をこう澄ました顔して左手でパンッみたいな感じで打ち払えるんだな、音はしないけど。


 いや、パンッよりはふわっみたいな方がいいな、パンッだと力技みたいだけどふわっとならこう余裕っぽいし、何かしたか?とか言えそう。


 ニヤニヤが止まらない。


 今のところは効果範囲は狭いし瞬時に何かしら対処できるほど熟練度は高くないが、ユニークスキルは鍛えれば鍛えるほど効果が上がっていくそうだからしっかり練習しないとな。


 このユニークスキルは俺の奥の手の一つになるからまだみんなには内緒だ。


 そこで俺はあることを思いだす、これなら五式の指輪に入れておいた六色魔法陣を完成させることができるのではないだろうか?


 六色魔法陣で使える『ヴェリアス・レイ』は全部当たれば中級上位程度の威力は出せるが、いかんせんスピードも威力もバラバラで本気で隙がないと躱されてしまう可能性がある。


 消費も大きいのでこの魔力操作で効率化できないものだろうか?


 俺の今の装備は封魔の腕輪と五色の指輪のみ、他の装備は没収されて返してもらっていない。


 時間は腐るほどあるし日向ぼっこのついでにちょっといじってみるか。


 まずは炎の剣を作ってみる、まあこれが基本ということでいいだろう。


 手に持ってブンブン振ってみて感触を確かめる。


 次にその炎の剣を空中に浮かせたまま滞空させる。


 そして、壁に向かって飛ばす。


 壁に当たった炎の剣は、通常のファイア・ランスと同じように炎をまき散らして消える。


 よしよし、この感じだな。


 俺は水、風、土、光、闇と剣を作っては同じように浮かばせて飛ばすを繰り返す。


 魔力操作で同じように剣の形にすると、元の魔法の性質が変わり扱いやすくなる。


 これなら何とかなるかもしれない。


 俺はまた一つ一つ魔法を使い、そのたびに六色魔法陣を書き変えていく。


 魔法陣を書き変えると使ってみる。


「ヴェリアス・レイ」


 魔法陣から六色の剣が同じスピードで飛んでいき、壁に激突して爆発を起こす・・・。


 いやこれ、ここでやっちゃダメなヤツだった。


 さすが魔王城の壁というところか、壁は焦げ目や何やらはできてしまったが無事であった。


 俺は冷や汗を流しながら辺りを見回すと、誰にも見られていないことに安堵してその場から逃げ出した。


 あの爆発音を聞いたら絶対に誰か来るからな、見つからないうちに逃げておかないと・・・。


 庭から逃げ出した俺は誰もいない訓練場にたどり着く。


 ここは室内にある訓練場の一つで、強力な結界が張られているので魔法の練習などができるところだ。


 ここなら大丈夫だろう。


 さっき使ったヴェリアス・レイは、威力も申し分はないし全ての魔法の速度が同じで欠点を一つ克服したといっていいだろう。


 後は、どれだけ消費を抑えられるかってところか。


 とりあえずもうちょっと弄ってみよう。


 俺は六色魔法陣の各属性を包んでいる時空魔法を一旦全て削除する。


 この時空魔法は仕切りみたいなもので、同時に発生する魔法同士の干渉を防ぐものだ。


 この時空魔法の消費が結構激しいのだ、なにせ六種類の魔法を全て包むように配置しているからな、これをもうちょっと何とかしたい。


 干渉して発動しないと思うが、調整の為に使ってみる。


「ヴェリアス・レイ」


 いつものように六色魔法陣が出現し、いつもよりも魔力が吸われていく・・・何だ?いつもと違う?


 前に使った時は六色魔法陣が出た瞬間に魔法が絡み合って消滅してたんだけど今日は違う、威力や形を修正したから何か変化がったのか?


 一瞬で六色の魔法が絡みつくと、一つになって訓練場の結界を破壊し、壁を破壊し、訓練場に大穴を開けて魔法がぶっ飛んでいく・・・。


 は?何これ意味がわからん。


 俺にも理解できない威力と効果に呆然として固まっていると、ふっと隣に誰かがやってくる。


「・・・」


「・・・」


「いや違うんです・・・」


「お前は馬鹿なのか?」


 冷たい声と眼差しで訓練場に空いた穴と俺を交互に見つめながら魔王様が言ってくる。


 いや違うんだ、そうこれは何かの間違いで俺が意図してやったことじゃない。


「ま、魔法の暴走かなって、ちょっと威力がおかしくなっただけで・・・」


「ただの魔法の暴走で私の張った結界を軽々と吹き飛ばし、城に大穴を開けることができると思っているのなら舐められたものだな・・・何をした?」


 そ、そうだよな、魔王様の結界は一級品というかたぶん世界最高レベルのものだと思う、普通は結界に当たった瞬間に弾かれたり消えたりするよな。


 俺は六色魔法陣の調整をしていたらこうなった事を話した、ただユニークスキルのことは出さず。


「禁呪レベルだな。だがその程度で簡単にできるようなものではないはずだが・・・」


 魔王様は俺の話を聞いて目をつぶって何かを考えている。


 これはユニークスキルのことがバレたか・・・いや何かスキルを獲得したぐらいはわかっちゃったんじゃないかと思う。


 禁呪か・・・確か威力が高すぎたり効果が異常すぎて危険視された系統外の魔法のことだな。


 これは確実にユニークスキルが悪さしちゃってる感じだ。


「ナイン、お前はここの修理を責任を持ってすること。終わるまでは訓練も外出も禁止だ」


 そう言うと魔王様はストレージから一本のシャベルを取り出すと俺に手渡し、転移でどこかに消えていく・・・。


 ・・・このシャベルで俺にどうしろと?


 俺は壁の大穴を眺めながら、どうやって直せばいいのかを考えていた・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ