王都動乱22
このまま魔王様の攻撃を受け続ければ簡単に押し切られてしまう、守勢に回るんじゃなく攻勢に出ないと。
俺は魔法を構築する。
「メギド・バースト」
超級火属性魔法を魔王様に放つ、魔王様の真下に魔法陣が出現し炎の柱が包み込む、範囲を少し拡大して半径四メートルほどの魔法陣だ。
俺はすぐさま魔王様に突っ込んでいくが、炎に包まれた魔王様は火傷どころか鎧や服にすらノーダメージだ。
何だ?超級魔法で何事もなかったようにしていられるのは不自然だ、何かをした様子すらなかったはずなのに。
ガキッ!
雷鳴の剣と魔王様の持っている剣が激しくぶつかり合う。
俺は全力で動き、剣を連続で叩き込む、雷鳴の剣の特殊効果の雷撃は魔王様には全く届いていない、何か無効化する方法があるのか?
だが、近接戦を行っている限りは魔王様も超級魔法は使いにくいはずだ、剣の腕では若干俺の方が優勢だ。
俺は自分がエヴァさんやクリスさんにやられた隙なく近接戦で押し込んでいく方法を取り、魔王様に魔法を使う暇をなくさせる。
お互いが斬り、弾き、受け流す攻防が続いていく。
少しづつ、少しづつだが攻撃の回数が俺の方が多くなっていき、魔王様が守勢に回る回数が多くなってきた。
ここだ!一瞬の隙を突き、俺はがら空きになった魔王様の懐に飛びこみ、全力で剣をふるう。
バチッッ!
だが、俺の剣は何かに阻まれるように魔王様に触れる直前で弾かれ隙をさらしてしまう。
あわてて全力でバックステップをするが振るった魔王様の剣が俺の上半身を浅く斬り裂く。
斬り裂かれた防具が吹っ飛んでいき、鮮血が舞う。
「くっ・・・」
俺が離れた瞬間に魔王様は魔法を放つ。
「アーリィ・ライトニング」
魔王様から高速の雷撃が飛んでくる、何とか弾くが威力に押されて俺も体勢を保てない、二発、三発と飛んでくる魔法を弾ききれず、魔法が掠ると全身に雷撃が走り激痛が襲う。
これか!溶岩の壁を撃ち砕いたのはこの魔法か。
何か、何かしないとこのまま押し切られる!
俺は手に持っている雷鳴の剣にどんどん魔力を通していく、通す魔力が高くなれば多少は弾きやすくなるはずだ。
俺の魔力は有限だが、この体質のおかげで魔素の吸収率が異常に高く、実質無限に魔力を使えるはずだ。
魔法を弾きながら魔力をどんどん通していく、通した魔力を圧縮、さらに魔力を通してこの剣の限界まで魔力を込めてやる!
だんだん雷鳴の剣のバチバチが激しさを増し、たぶんだが俺三人分、三ナイン分の魔力を通した時。
パリン!
という軽い音とともに、バチバチが消滅する。
不味い、ぶっ壊れたか?いや、感覚的にはまだまだ魔力が通せる問題ないはずだ。
音と同時にバチバチはなくなったが、魔王様の魔法を弾く感覚がものすごく楽になった。
「馬鹿な!第一封印を力技で破壊するだと!?」
魔王様が何か言っているのが聞こえ、攻撃が一瞬止まる。
めちゃくちゃ体が痛い・・・切られたところもジンジンするし。
第一封印か良いことを聞いた、この剣は初めから強すぎておかしいと思ってたんだ、何かあるな。
「ヒール」
魔王様が動揺している隙に回復魔法を掛ける、傷は回復してるが、体の重さが取れない・・・たぶんそろそろ俺の身体の限界に来ているのだろう。
後は魔王様を斬ろうとしたときに弾かれたあの何か、あれは結界か?何かしているようには見えなかったが・・・。
わかったことは・・・勝機はこの剣にあるってことだな、今まで冷静だった魔王様が動揺したんだ、それと第一封印という言葉、一があるなら二もあるはず。
俺はどんどんと剣に魔力を込める、スポンジが水を吸いこむようにどんどん吸っていく。
「ナイン、それ以上はやめておけ!」
それに気がついた魔王様はここではじめて自分から動いた。
一瞬で俺の傍まで来ると攻撃を開始するが、俺はそのすべての斬撃を弾き、受け流して守勢に回る。
俺は攻撃よりも剣に魔力を通すことを優先した。
「フェザー・ライトニング」
魔王様を中心として光の羽が降ってくる、この魔法は雷属性の超級魔法で、一つに触れると強力な電撃が襲い掛かり、さらに他の羽が誘爆する広範囲殲滅魔法だ。
本来は対象相手を中心に使う魔法だが、これを自分中心に使ってくるなんて、何としてでも止めたいみたいだな。
「ディヴァイン・フィム」
俺はすぐさま時空魔法を唱える、薄いカーテンのようなものが俺を包み込むと、それに触れた雷の羽が誘爆して周囲一面を雷の嵐があれ狂う。
俺が使ったのは超級時空魔法ディヴァイン・フィム、空間を断絶して防御するのであらゆる攻撃を無効化できるはず。
俺が対魔王様として考えていたのがこの時空魔法だ、魔力消費はバカ高いが、空間に干渉することができるから、魔法に対しての防御は有効だと思ったんだ。
誘爆が終わると、そこに立っているのは無傷の俺と無傷の魔王様、地面は焼け焦げて魔王様を中心に真っ黒に焼け焦げている。
「これも防ぐか・・・ナイン、お前は本当に人族か?」
「そうですよ。これもギリギリでしたけどね。俺だってまだ死にたくないので全力で抵抗させてもらいます」
「だがこれで終わりだな。無限牢獄」
瞬間、俺を囲むように結界がはられる。
しまった!全く油断していなかったのに、結界が発動している、やはり魔王様のユニークスキルは結界系か!?
これは、勇者が瞬殺されたパターンだな、正直かなり警戒していたがノーモーション、溜めもなく発動できるとは思わなかった。
俺はすぐさま結界を斬り裂くために攻撃を開始する、だが結界は全くといっていいほどびくともしない。
「無駄だ、この結界は破れない。お前も見ていただろう?勇者が閉じ込められた結界と同じだ」
それでも俺は斬りつける、弾かれるような感覚もなく、そこに何もないような手ごたえ自体が全くない。
「くっそ、斬れろぉ!!」
俺は全力で剣に魔力を通す、何度も何度も斬りつけるが壊れない。
その時、魔力を通していた剣からパキパキと音が聞こえてくる。
魔力を通しながら剣を見ると、刃の部分が剥がれ落ちて真っ白な刃が出てきている、これはまさか魔王様が言っていた封印が解けてきているのでは?
その剣を結界に全力で叩きつける。
ギチィ!
「!!」
手ごたえがあった!何かを斬りつけている感覚がある!
パキパキと銀色の剣の表面部分が剥がれ、金属とは違う陶器のような真っ白な刃が姿を現す。
「まさか!?全ての封印が解けたというのか?」
焦る魔王様を、俺は見ると、ニヤリと笑った。
これは来たか!?結界を使って俺を閉じ込めて何もさせない状態だというのにこの焦りよう。
そして全力で結界無限牢獄に真っ白な剣を叩きつける。
少しの手ごたえの後、結界は跡形もなく斬り裂かれ消滅した。
慌てて下がる魔王様を俺はすぐさま追いかける、魔王様は下がりながらアーリィ・ライトニングを使ってくるがこの剣なら簡単に弾き飛ばせる。
二発ほど弾いた後、俺は魔王様に追いついた、魔王様は体勢が万全じゃない、さらに無限回廊を斬り裂いたこの剣ならさっきの防御も貫けるはずだ。
俺が魔王様に迫った瞬間、横から強烈な殺気がすごいスピードで迫ってきた。
まさかの伏兵か!?戦闘に集中しているとはいえ全く気がつかなかった!
俺は瞬間的に体の向きを変えると、そこには漆黒のフルプレートを着たロータスが迫ってきていた、何とかロータスの剣の一撃を躱すが、その瞬間腹に強烈な蹴りを受け俺は吹っ飛ばされる。
蹴りが入った瞬間に振り回した剣がロータスの鎧に微かに掠り、漆黒の鎧に傷をつける。
「ぐうぅ・・・」
強烈な蹴りを受け吹っ飛ばされた俺は体勢を立て直そうとするが身体がいうことをきかない。
吹っ飛ばされてゴロゴロ転がった俺は、すぐに立ち上がろうとするが身体が動かない!?
何だこれは、魔力切れの症状に似ているが魔力は勝手に補充されるはず蹴りは痛かったが致命傷じゃないし、何かされている感じもない。
「ナイン!!」
あれ?リルの声がする。
身体が動かず、何とか首だけ声の方に向けるとリルが走ってきている。
「何で・・・ここに・・リルが・・・」
声もほとんどでない。
傍に来たリルが何か言っているが、声が小さいのか何を言っているのか聞こえない、もうちょっと大きな声で話してほしい。
身体は絶好調なのに、だんだん意識が薄くなっていく、何だこれは?早く立ち上がらないと。
魔王様がいてロータスもいる、今までよりも頑張らないといけないんだ・・・。
俺はそのまま意識を失った。
改稿




