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王都動乱18

「ナイン、起きてください!王都がすごいことになっています!」


 どれぐらい寝たのだろうか?セリスが枕元で何か言っている・・・いや、まだ大丈夫だ、寝よう・・・。


「起きてください、魔族が捕まって王都に英雄が誕生したと話題になっています」


 英雄?あの影族の男だろ?あれ捕まえたぐらいで英雄だったら俺なんか英雄×四だぞ・・・自分でも何言っているかわからない。


 身体を右に左に揺すられて俺はやっと体を起こす、めっちゃ眠い・・・。


「おはようセリス、魔族はそりゃ捕まるさ、俺が死なない程度にボコボコにして暗殺者さんたちに見つかるようにしておいたんだから」


「やっぱり・・・ナインはいいのですか?」


 何がだ?元々そんな感じの計画だったんだから良いことでしょう。


「いいんじゃないですかね。・・・それよりもまだ寝ててもいいですか?」


 俺がウトウトしながらセリスにお願いする、やっぱ子供の身体は不利だな、睡眠に弱すぎる。


「本当にどうでもよさそうですね・・・本当はナインが英雄になるはずだったのですよ?」


「魔族はそんなに甘くないです。あの程度を捕獲した程度で英雄と言われて戦場に立たされるんじゃ割に合わないし、それで調子乗ったらすぐ死んじゃいますよ」


 魔族を捕獲した英雄さんたちは今後とてもおいしい思いをすることだろう。


 だが、見た感じよくて、まあ誰だかわからないけど暗殺者さんの冒険者ランクはDぐらいだと思う。


 影族のデカい男が本調子なら・・・たぶん初見の影を使ったスキルで瞬殺、もしくは致命傷を負わされていたんじゃないかな、それほど夜の森での影族は驚異だ。


 俺もほとんど不意打ちみたいな感じで人数減らしておいたから楽ができただけで、よーいどん、で戦闘が始まったらもっと時間がかかっていたと思う。


 おいしい思いをした後には、必ず難しい危険な依頼が回ってくるだろう。


 だって英雄だから、おいしい思いができたのは英雄として期待されてたからであって、ただでおいしい思いができるわけじゃない。


 それに今回捕獲したのは影族だ、俺が知っているぐらいだからもうみんな知っているだろう。


 影族を夜の森で確保する、かなり難しいことだ、めちゃくちゃ過大評価されてしまうんだろうな、英雄さんにはご愁傷様と言いたい。


「そうですか・・・それと課外授業は中止になりました。捕らえられた魔族には仲間がいるようで、まだ森に潜伏している可能性があるそうです」


「計画通りってことだね。これで暗殺計画は白紙に戻ってくれればいいけど。」


 まずは第一段階として、魔族の脅威があることは示せた。


 自分達から魔族領に攻め込んで魔族に喧嘩吹っかけたんだから、反撃されるって危機感を持ってもらいたいものだ。


 権力争いなんてしている場合じゃないし、戦力になりえるセリスを殺そうと思う奴らも減るだろう。


 後はこのタイミングで森に魔族がいたことを勘繰ってくれればいいのだけど。


 後二週間が俺の護衛契約期間だから、その間に何とかできるかな・・・


 まだ眠かったけど、渋々起きて辺りを見回す、キアリスさんがいないな。


「キアリスさんは?」


「キアリスは情報収集のために、屋敷を離れています」


 そっか、俺はどうするかな?


 課外授業はないから今日は学園は休みとして、キアリスさんが帰ってくるまでは・・・屋敷でダラダラしよう。


 俺がダラダラしたいわけじゃない、護衛だしキアリスさんがいないからこれも仕事のうちなのだ。


「じゃあキアリスさんが帰ってくるまでは家で大人しくしていよう。捕虜の魔族から出てくる情報も気になるし」


「そうですね。森で何があったか聞かせてくれますか?」


 俺は森に入ってから暗殺者達を混乱させたことを話す。


 エヴァさん達の事も俺の事情以外を話しておく。


「これからの流れは魔族が現れたことで、私の暗殺計画はなくなると思います。そして王国の防衛に主軸を置き、国力の回復を測ると思います。」


 うん、ただセリスの魔眼は制御できないから防衛には向かない。


 セリスを危険視している貴族も、セリスに構っている暇も余裕もなくなるはずだ。


 これでほぼ王国の方は大丈夫だ、後はエヴァさん達がどう動いてくるかだな。


 俺とセリスはキアリスさんが帰ってくるまで暇を持て余し、魔力制御の訓練や昼寝などをして過ごした。


 まあ俺が眠かっただけなんだけどね。


 キアリスさんが帰ってきたのは夕方になってからだった。


「セリス様、ナイン様、お待たせしました。」


 三人で俺の部屋に集まって、すぐにキアリスさんが話し始める。


「当初の予定通り貴族たちの混乱は予想以上に大きくなっています。セリス様暗殺はほぼ白紙に戻ったといっていいと思います。ただ、魔族とつながっていたと思われる貴族が出てきました。」


 やはり出てきたか、いるよな自分の欲望のために国裏切っちゃう人。


「魔族と繋がりか・・・それは捕獲された魔族とってことですか?」


 魔族と繋がりがある、影族か魔王軍か、どっちについているかで状況は変わるな。


「影族です。ただ、魔族がいうには途中で意見が変わってそれ以来つながりはなくなったということですが・・・」


「影族側の狙いは何だったのでしょうか?セリスの暗殺?それならもっと早く動きそうなものだけど」


 初めから影族が動いていれば簡単にことは済んでいるんじゃないのかな。


「いえ、魔族の狙いはセリス様の確保ということでした。権力争いがほぼ決着がついた時点で貴族が裏切った形になります。」


 ということは魔族とつながっていたのは主戦派ということか。


「元の予定では主戦派の主張と同じく、影族は人族を魔族領に送りこみセリス様を魔王への対抗策として考えていたそうです。ただ権力争いにほぼ決着がついた時点で主戦派が裏切り、セリス様暗殺に乗りだしました。」


 貴族に裏切られて、このままだとセリスが暗殺され戦争が起きない、だから自分たちだけでセリスを確保するために森に潜んでいた。


 魔王様への対抗手段として使うつもりだったのか、いや、人族に対して良い感情は持っていなかったんだ、セリスの魔眼を魔王様だけじゃなく、人族に向けても使うつもりで貴族を利用していたが土壇場で先に裏切られたってところか。


「問題は・・・魔族ですらも魔眼の有用性を認識しているということが貴族たちに広がってしまったことですね。魔眼の有用性に懐疑的だった貴族も魔眼を評価しだすのも時間の問題だと思われます」


 そうなってしまうか。


 魔族ですら魔眼が魔王に対して有効だと言ったようなものだ。


 今までは権力争いで魔眼を持ってきただけで、その評価は実際はそれほど貴族たちの中では高くなかった。


 セリスを暗殺しようとしていたのもある程度使えるが戦争を起こしてまでわざわざ使うようなものではないと認識されていたからだ。


「魔族を捕獲した英雄たちはどうなっています?」


「英雄になったのはEランク冒険者八人です。明日にでも王城に呼ばれて歓待を受けることになっています・・・ただ、暗殺を請け負うような冒険者ですから、元から素行が悪く冒険者ギルドとしても手を焼いていた方々だったみたいですね」


 ため息交じりにキアリスさんが答える。


 まあ、そうだよな、普通にやっていれば子供の暗殺なんかに手を出さないだろう。


「森に大量の人族がいたのは、不審だったと思いますが、それは話題になっていないのですか?」


「そこは、魔族の件でうやむやになっていますね。関わっている貴族達が全員口を閉ざしているので話題にすら上がらなかったそうです。」


 そうか、とりあえずわかったことは人族からの暗殺はなくなったと見て良い。


 はぐれ魔族の影族はある程度潰すことができた、他に仲間がいてもすぐには動けないだろう。


 あと一つ、魔王軍、ここが一番厄介だ、規模も戦力もずば抜けて突出しているといっても過言じゃない。


 王都内にいる限りは仕掛けてくることはないと思いたい。


 俺たちはその後も少し今後の方針の話をすると、セリスとキアリスさんは自室に戻って行った。


 それを見送ると、考えを纏めるために俺は風呂に入って考える。


 やっぱり、俺の知らない魔眼の秘密が何かあるな。


 セリスやキアリスさんも知らないみたいだし、人族には伝わっていない、だが魔族には伝わっている。


 そうじゃなきゃはぐれ魔族やエヴァさん達魔王軍が、たった一人の魔眼の事でここまで動くはずがない。


 魔王様に通用する魔眼、とんでもない代物であると考えた方がいい、だからセリスが制御できないのではないか。


 人族から暗殺される危険はなくなったと思ってもいいだろう。


 だが生きている限り、人族にはいいように使い捨てられる可能性があり、魔族には狙われ続ける。


 何だこのクソみたいな設定。

改稿

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