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王都動乱15

 俺は屋敷の自分の部屋に戻ると、アイテムボックスから深羅の森で狩った魔物の魔石を取り出す。


 ほとんどがCランク、何個かBランクの魔石が出てきた。


 まずはCランクの魔石でいいだろう。


 魔石を一つ手に持つと、紋章魔術で魔法陣を書き込んでいく。


 書き込んでいくのは時空魔法の『リジェクト・ケージ』だ。


 『リジェクト・ケージ』は時空魔法で対象物に対して一定時間結界を張れる。


 前から考えていたが自分より上の相手と戦闘になった時に剣と初級魔法だけじゃかなり厳しい。


 ただどうしようもないのは事実でそれを覆すには、腕輪を外すか、雷鳴の剣を使うか、その両方か、となる。


 その時はそれができる時間があれば良いが、エヴァさんみたいに俺の事を熟知している場合はさせてもらえないのは本当にまずい。


 ちょっとぐらい時間あるだろうと甘く考えてたのが馬鹿だった。


 完全な俺の油断であり甘さだ。


 EランクやDランクの冒険者を一方的にボコボコにして調子に乗っていたのか、気が緩んでいたのか。


 今回ワンゴさんに作ってもらった魔力剣があるから一方的にボコボコにされるのはある程度防げるとは思うが、相手も良い武器を持っているならそのアドバンテージも無くなってしまう。


 で、俺が考えたのが時間稼ぎだ。


 予め紋章魔術で『リジェクト・ケージ』を刻んだ魔石を服の何処かに仕込んでおけば、そこに魔力を流すだけで魔法を使うよりも簡単に『リジェクト・ケージ』が発動できる。


 本来は魔石を使う必要はないのだが、魔石を使うことによって効果を上げることができる。


 ただ魔石が使い捨てになってしまうから、この使い方をする人は金持ちの貴族でもほとんどしない。


 紋章魔術は魔法よりも効果が落ちるので、Dランクの魔石で刻んだ術者の魔法と同程度、Cランク以上なら術者の魔法を超える効果になる。


 これさえあれば斬り合いの最中でも発動できるから、一瞬は時間を稼げるだろう。


 でも紋章魔術はほとんど使ってないから実験はしておかないとな、いざという時に魔力流せないとか洒落にならないし。


 間違えないようにゆっくりと刻んでいく、最低でも実験用が二つ、俺の分が一つと、セリスは魔力流せないからシルに渡すとして、後はキアリスさんにも渡して予備も欲しい。


 とりあえず多めにCランクのは十個、保険としてBランクで二、三個ってところでいいだろう。


 一つ目が出来上がると、俺は魔石を上着のポケットに入れて魔力を流してみる。


 魔力を流す関係上、離れたところでは起動できないのでどこに入れておけば発動できるかをしっかり把握しておかなければいけない。


 『リジェクト・ケージ』が発動する、ポケットは問題ないな。


 これさえあればエヴァさんの攻撃を少しの間凌ぐことができるだろう。


 ただ、戦う前提で準備をしているのがとても心苦しいが・・・。



 そこからの課外授業までの数日は準備をするのにじっくり時間をかけた。


 まあなるべく課外授業が始まるまでにはある程度混乱はさせるつもりだから、保険をかけている状態かな。


 魔石の使い方をシルとキアリスさんに教えて、セリスは使ってみたがやはり使えなかったので、セリスには予備を、シルには二つほどの魔石を渡した。


 セリス暗殺を仄めかす保守派の手紙は、キアリスさんから主戦派に伝わるように届けてもらった。


 キアリスさんの情報によると、森に何処からか捕獲してきた魔物を放つ計画もあるとのことだ。


 あくまでも課外授業中に魔物に襲われて死亡ってのを偽装するわけか。


 それを聞いた俺は、さらに予備として魔物除けの結界が張れる魔石も渡しておいた。


 捕獲した魔物もそこまで強力ではないだろうと予想する。


 王都で秘密裏にそれを行なっているなら正規の軍は出せない、連れてきたとしても良くてDランクの魔物だろう。


 それなら魔物避けの結界は十分効果があるはずだ。


 これでお互いの準備は整ったといっていい。


 課外授業に全ての勢力が集まるはずだ。


「準備は整いました。これから課外授業戦の詳細を詰めていきます。」


 俺は三人が揃ったタイミングで声をかける。


「まずは俺が課外授業前に森に入ります。予想としては、既に各種勢力が潜伏していると考えられます」


「そうですね。保険として後からくる人たちもいるかもしれませんが、それは確認の意味合いが強いでしょう。」


 うんうん、セリスも同じ意見だな。


「そこでまだ暗いうちに、各種勢力に俺が攻撃を加え不意打ちで混乱を与えます。ちょうど良いことに魔物を連れてきている連中もいるみたいですので、次いでに魔物も解き放ち各種勢力を争わせます。」


「そんなことができるんですか?簡単には行かないと思いますが・・・」


 簡単にはいかないと思うが、それは表立った戦力なら、だと俺は思う。


「簡単にはいかないでしょうが、あくまでも課外授業に集まるのは表立った戦力ではないはず。目標が同じでも別勢力だ、手柄を奪い合うことはあるのではないかと考えています。」


 俺がこっそり仕掛けて、保守派と主戦派を争わせる。


 乗ってこない連中だっているはずだ、だが自分が攻撃を受ければ剣を抜かないわけにはいかないだろう。


 攻撃されて、手柄を奪われるのを嫌って攻撃してきたと少しでも考える人がいればいい。


 魔物も解放してあげれば混乱は増す。


「そうすれば、後はそこに魔族を引きずり出します。」


「魔族を見つけることはできるでしょうか?」


「そこは任せてください。考えがあります」


 と言っても索敵で探すってだけなんだけどね。


 魔族が出てきたらこのセリス暗殺計画の主犯として全て擦りつける。


 はぐれ魔族の狙いはわからないままだが、王都に潜伏しているならこのビッグイベントに乗らないはずはない。


 そう思う理由として、エヴァさんがはぐれ魔族の存在を教えてくれたからだ。


 俺に手を引けと言ってきたのだからエヴァさんはセリス絡みで王都にいる、そのエヴァさんが気をつけろと言ってきたのだ。


 全く無関係とは思えない。


 こっちの情報を教えたお返しに関係ない情報を言ってくるとか流石にないだろう。


「ある程度、混乱させて収集がつかなくなった時点で俺はそこから抜けてきます。その後の課外授業がどうなるかわかりませんが、タイミング次第でなくなる事もあると思います。俺が戻るまでの護衛をキアリスさんとシルにお願いします」


 三人が頷く。


「何かあった場合には魔石は勿体ぶらずにバンバン使ってください。今回の俺達の目標は、全員の生存であって課外授業で魔物を狩る事じゃない」


 そして俺達は課外授業一日前に予定と目標を再確認し、俺は日が出ているうちから眠りについた。


 当日のまだ朝にならない夜中から俺は動き出す。


 ここ数日のキアリスさんの調査で魔物はすでに森の中に連れていかれ、多くの人族が森の中に潜伏している。


 名目上は課外授業のための危険防止として多くの人族が大型の魔物を事前に狩り出した、ということだ。


 装備をよく考えてみる。


 とりあえずは暗殺者の衣は確定として、剣は赤く光る魔力剣、仮面は前のとは違う露天で適当に買ったもの。


 服のポケットの中に魔石を入れて保険も掛けた。


 よし準備はOK。


 俺は部屋の窓から飛び出すと一直線に貴族街の道を無視しながら走りだす。


 索敵を使い誰もついてこないのを確認しながら、貴族門を飛び越える。


 町の中にも人影はほとんどない、月も雲で隠れていて隠密行動にはうってつけだ。


 町の外壁も飛び越えて町の外に着地する。


 しばらく走っていると課外授業で使う森に到着する、ここに多くの人族、俺から言わせてもらうと暗殺者どもがいるはずだ。


 俺は一度深呼吸をすると封魔の腕輪を一つ外してアイテムボックスの中にしまう。


 周りの魔素の流れが変わって俺に入ってくるのがありありとわかる。


 身体の痛みは・・・ほとんどない、多少は良くなっているのかな。


 索敵を使い森の中を確認すると、いるわいるわ、多くの気配が森の各所に固まって存在している。


 森に入りながらなるべく二つのグループが近くにいるところを探す。


 遠くの方にいくつかのグループが固まっているところがあるな、あそこにしよう。


 それにしてもはぐれ魔族は一人かと思っていたが、単独の気配はない、ということは来ていないかもしくは集団で行動している?


 今の俺の状態なら魔王様やその幹部レベルが来ない限りは何とか逃げることはできるだろう。


 魔族は種族ごとに特殊な能力を持っていることがあるから索敵には常に注意を払っておかないと足元をすくわれる恐れがある。


 固まっているグループの一つに近づいていくと、夜の番のローテーションなのかテントを張って冒険者風の男二人が焚火の前で小さい声で話をしている。


 一旦離れて、近くの別グループも覗いてみる。


 ここも同じような感じだが、大きな檻があり、そこには数体の魔物が入っている檻がある。


 これか・・・低ランクの魔物、それも動物型か、今は薬か何かで寝むらされているのかもしれない。


 さて、ここから始めようかな。

改稿

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