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王都動乱7

 ドワーフ族。


 身長は人族の子供より少し大きい程度でズングリした体型と髭が特徴の種族だ。


 この世界では国を持つことはなく、アース大陸、カース大陸全土に小さな集落を作って住んでいる。


 鉱石を使った物作りが得意で町に出てきて店を開いたり自身が冒険者となって鉱石やそれに使う素材などを取りに行くこともある。


「こんにちは。ここで武器を作ってくれると聞いてきたんですが・・・」


 そう言って俺はキアリスさんから貰った紹介状を渡す。


「紹介状?これはキアリスからの紹介状か・・・まあいいだろう。それでどんな武器を作ってほしい?」


 スーツを着崩した子供の依頼に胡散臭げな表情を見せる、まあそこら辺は慣れたものだ。


 俺はアイテムボックスの中からオーガの魔石を取りだして髭面のドワーフにみせる。


「この魔石を使って、俺の身長に合うような片手剣を作ってほしい。もちろん魔力を通せる物だ。」


 魔石を手にするとドワーフが驚愕の表情を見せる。


「これは・・・ランク的にはBレベルの魔石じゃないか!こんなものをどこで手に入れた。子供が簡単に手に入れられるものじゃないぞ」


 俺は念のため冒険者プレートを見せる。


「俺はEランク冒険者のナインです。まあ依頼で手に入れたって感じです。・・・それで、作ってもらえるんですか?」


「ああ、よし、俺はワンゴだ。作ってやるが、まず店にある剣を見てみろ、俺が作ったものだ。それで納得がいくなら俺が作らせてもらおう」


 まずは店の武器を見て、剣の出来に納得がいくなら依頼を任せてほしいということか?


 俺は近くにある片手剣を手に持ち鞘から引き抜く・・・全然わからんがよく斬れそうだとは思う。


「どうだ?普通の剣だが俺がしっかり鍛えているからな。そこらの量産品とはわけが違う。」


 自信ありげにワンゴさんが見てくるが、いや、さすがに良い剣だとは思うがそんな詳しくはわからないよ。


「良い片手剣ですね。こんな感じでお願いします。」


 俺は結構適当に頷いて注文をすることにする。


「先ほど言ったように、片手剣で俺の身長に合った物、刃は片刃で。魔石を使うのでもちろん魔力を通せるもので、頑丈でかなり魔力を通しても壊れないものをお願いします」


「強度と魔力を通せるものは問題ないがいいのか?ナインの背が伸びれば今の身長に合わせた剣は使いにくくなると思うが、この魔石を使うんだぞ?」


 確かに身長が伸びれば使いにくくはなるだろうがそうしたらまた作ればいい、今が合ってないしまともな魔力剣が雷鳴の剣しか持ってないことのほうが問題だ。


 あれは人前で使うにはちょっと派手すぎる。


「身長が伸びたら伸びたでまた考えます。今使いやすいものがないのが問題なので。」


「まぁ確かにそうだが・・・そこまでして作る必要はあるのか?例えばここの店にあるものでも十分な性能を持っていると自負している。ナインの身長に合ったものもあるぞ」


 ワンゴさんはそう言うが・・・一回試して見せないとダメかな。


 俺は先ほどの片手剣を持つと鞘から抜く。


「魔力を通してもいいですか?」


「ああ、いいぞ。」


 俺はゆっくり魔力を込める・・・なるほど、ワンゴさんが自信を持っておすすめするだけありかなり魔力が通りやすい。


 俺はどんどん魔力を通していくそうすると直ぐに限界がきた、剣が魔力に耐えきれなくなって自壊し始めたのだ。


「何だと!?・・・ここまでの魔力持ちか・・・納得した。是非作らせてもらう。」


 ワンゴさんは俺から崩れかけている片手剣を受け取るとまじまじと見つめる、壊してしまってすみません。


 俺は壊れた剣の代金を払おうとするが断られた。


「いいものを見せてもらった。勉強代として壊れた剣の代金はいらん。そうだな・・・出来上がるまで二日というところか」


 二日で出来上がるのか、剣てそんなに早くできるものだっけ?


 その後少し、片手剣の長さや形状の打ち合わせなどをして俺はワンゴさんの店を後にした。


 店を出た時にはあたりは薄暗くなってきていた、もうすぐ完全に日は落ちるだろう。


 明日からは学園での護衛があるため、俺は職人街を足早に歩いて帰途につく。


 途中酔っ払いに絡まれもしたが面倒なので走り去った。


 やっと職人街から大通りに出て貴族門まで歩いていくと出るときとは違った兵士さんがいた。


「こんばんは。冒険者のナインです」


 ギルドプレートとナイフを出して確認してもらう。


「君が護衛の冒険者か、聞いているよ。通ってくれ」


 昼間に会った兵士さんから話がいっているみたいですんなり通ることができた。


 貴族街に入った時には夕方から夜に変わっていた、暗くなった貴族街は人通りがほとんどなく道の端々に魔道ランプがついている程度で一軒一軒の貴族の屋敷が離れているので結構暗い。


 たまに通りかかる警備の兵士さんと挨拶をしながら、何となく俺は探知を使う。


 ほとんどが屋敷の中に気配がある、忙しく動いている気配は使用人の人達だろうか、人通りのほとんどない貴族街を歩いていると世界に俺一人しかいないような感覚に陥る。


 そのまま歩いていると、急激に動きだす気配が一つ入ってきた。


 明らかに道を無視した直線移動や上下の移動スピードも早い、貴族街におかしなのが入りこんでいるな。


 俺はすぐにアイテムボックスから暗殺者の衣を取りだすと纏い、フードを被り気配を消す。


 その気配と交錯するであろう地点を予測してそこに待機する、もうすぐ俺の少し前を横切るはずだ。


 剣を握るとそのまま気配を殺して、気配の相手が地面に着地する場所を微調整しながら待つ・・・見えた!


 黒いフードを被った人影が俺の二十メートルほど先に降りてくる。


 一瞬どうしようか迷ったが、俺は黒フードが着地した瞬間を狙って片手剣の横腹で殴りかかる。


 ギンッ!


「グッ!!」


 俺の横殴りに反応した黒フードは紙一重でガードをするが着地した瞬間を狙ったものなので体勢が悪く吹っ飛んでいく。


 あの不意打ちを防がれただと!?


 殺さないように剣の横腹で殴ったがスピードはそれなりに出ていたはずだ。


 黒フードは壁に激突する前に体勢を立て直して着地する。


 俺はすぐさま黒フードに追撃をかけようとするが、それより早く黒フードは身を翻し逃げていく。


 何の躊躇もない逃げっぷりだ、警備に見つかったら逃げると決めていたような感じだな。


 だが索敵の使える俺からは逃げきれない。


 俺は逃げた黒フードから見えない距離を保って索敵を使いながら気配を消して追いかけていく。


 黒フードは道を熟知しているのかジグザグに俺を捲くように逃げていく。


 俺を捲いたと思ったのか十分ぐらいすると気配が止まった。


 俺は気づかれないようにゆっくりと気配に近づいていくが、そこにいたのは、いや、あったのは貴族屋敷だった。


 まあそうだよな、貴族街だから貴族の屋敷があるのは当たり前、ただ気配はその貴族屋敷の中を移動している。


 これはしくじったか?貴族街を夜に走り回るのは怪しいっちゃ怪しいがただの貴族の密偵とも考えられる。


 俺は何が起きても良いようにそこでしばらく待機するが、一時間以上たっても移動しない。


 それどころか他の気配と接触している。


 ここの貴族が雇った予想の通り貴族の密偵ということでいいのだろう。


 俺は場所だけを覚えるとそのままセリスの屋敷へ帰っていく。


 一瞬聞こえた声から判断すると・・・黒フードはたぶん男。


 それにあの気配を殺したうえでの不意打ちはそうそう防げるものじゃない、何か気配を感じ取るスキルでも持っているのか。


 ただの貴族の密偵程度ならいいが・・・いや待て、それに斬りかかった俺もちょっと迂闊だったか?でもまともな職業の人は道を通ると思うし、逃げるってことは何かあるんだろう。


 ちょっとあの屋敷は気をつけておこう。


 屋敷に帰るとキアリスさんが出迎えてくれた。


「遅かったですね。剣の作成を断られてしまいましたか?もしそうなら今度私も行ってお願いしてみますが。」


 俺の剣の作成に問題があったと思ったのか心配そうにキアリスさんが聞いてくるがそこは大丈夫だったんだよな。


「いえ、剣の方は順調でした。ただ帰りに、怪しいのを発見してちょっと後をつけたりしていたので遅くなってしまいました」


 俺が正直に話すとキアリスさんは驚いていたが、夕食の席で改めて話すことになった。


 すぐに夕食に呼ばれ、貴族街で出会ってしまった黒フードのことをセリスに話す。


「そうですか・・・私には関わりがないとは思いますが、念のため用心しておいたほうがいいでしょうね、ただ貴族街でそのような行動を行うというのはただ事ではないかもしれません」


 少し考えるようにセリスは話だす。


 セリスがいうには、確かに密偵などは多く出入りしていると思われるが、大抵は商人や何かしらに変装して貴族屋敷に出入りする、それをしないで夜の貴族街を走り回るのはかなりの下策であり、密偵というよりも夜に紛れている仕事の人だろうと。


 キアリスさんもそれに同意している。


 それを行うということは暗殺家業やそれに近い人なんじゃないかということだ。


 そうなると、あそこで無理にでも捕縛しておいたほうが良かったかもしれない。


「このタイミングはちょっと怖いな。だが、たまたま発見できたのは逆に考えれば備えもできるってこと。今まで以上に気をつけておくということで。」


 俺たちは明日からの護衛の打ち合わせをしながら食事をおえた。

改稿

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