表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/75

仄暗い闇の中で10

 距離を詰めてくるデカゴブリン。


 俺は付かず離れずの距離を保ってストーン・バレットを撃ち込んでいく。


 これを何度も繰り返す、ほとんどは避けられるか弾かれるかだがちょこちょこと当ててイラつかせる。


「グギャ!お前ウザい、動くな、殺させろ!」


 段々とデカゴブリンの顔が歪んでいくのがわかる。


 焦れてきたところで一気に近づき、大振りになったデカゴブリンの一撃を避けて膝に一閃、振り回してきた大剣を潜りさらに接近すると思いっきり剣を振り上げた。


 手応えあり、デカゴブリンの大剣を持った右腕を切断すると右腕は大剣を持った振った勢いのままどこかに飛んでいく。


 だが痛覚が無いのかこのデカゴブリンは嫌がったり叫ぶ事がない。


 ただ、これでリーチと戦闘力は下がった!


 俺はさらに剣を振る、振り上げた剣を振り下ろし左太腿を切り裂く。


 前にグラリとバランスを崩すデカゴブリンの股下をくぐり抜けて後ろに回り、今度は右の膝裏に剣を突き立て、強引に横に剣を振る。


 足が半分ちぎれかけ立っていられなくなり、デカゴブリンは前のめりに倒れた。


 すかさず正面に回ろうとするがそこに腕が振るわれ俺は距離をとる。


 あれ?右腕、斬り飛ばしたよな?


 距離をとった俺が見ていると、千切れかけた右足もくっついて、五体満足なデカゴブリンが立ち上がってこっちを向いた。


 これは、超速再生とかのやつじゃね!?


「おい!ずるいぞ!そういう超速再生みたいな能力は、ここで出てきちゃいけないんだぞ!それは最強種のドラゴンとかでも瞬殺しちゃうようなチート主人公が見せ場を作るために出てくる能力だぞ」


 まずいぞ、こいつズルい!


 このまま戦っても倒せる気がしない。


 こういう超速で再生する魔物の倒し方っていうと一撃で消滅させるような魔法ってのが一般的かもしれないが俺にはそれができない。


 腕輪外して超級魔法ぶち込めば消滅させることはできるかもしれないが、大抵はコアが残って復活するってのがお約束だ!


 ん?そうか、コアか。


 取り込んでるダンジョンコアをなんやかんやすればどうにかこうにかできるかもしれん。


 ダメだ・・・あいつのズルさで頭が回らん。


 落ち着け俺、再生はされたが持っていた大剣はどこかに飛んで行った、武器がなくなっただけマシだと考えろ。


「グギャグギャ、お前じゃ俺に勝てない、子供柔らかくてうまい、諦めろ」


 すきなこと言ってくれる。


 俺は掴もうとしてくるデカゴブリンを避けつつ、ストーン・バレットを撃ち込んでいく。


 ストーン・バレットが当たった部分は軽く抉れるが直ぐに再生する。


 このデカゴブリンは、何をしても痛がらないし血が噴き出ない。


 よしだんだん冷静になってきた。


 普通のゴブリンは血が出るし、再生能力があるトロールでも切断した部分は再生なんかしないし、血が出る。


 こいつは、もう生物としての魔物じゃなくて、レイスなどに近い実体を持たない魔物に近いんじゃないだろうか?再生時の黒い煙も魔素だと考える。


 ダンジョンコアを中心に、魔素が集まって構成されている魔物と仮定する。


 ならば、ダンジョンコアがどこかにあるはず。


 お約束としては頭、胸、鳩尾部分などの身体の中心線にあるはず。


 ストーン・バレットを当て続ける中で、唯一ガードが硬くなる部分を見つける。


 心臓部だ、とりあえずここを潰してみるか。


「ファイア・ランス」


 俺はファイアランスをデカゴブリンの顔に向かって放つ。


 今までと違う魔法で一瞬デカゴブリンの注意を誘い全力で突っ込んでいく。


 デカゴブリンはすぐに炎を払うと俺をつかもうと手を振り回してくる。


 懐にはもう簡単に入れさせてはくれないか。


 俺はデカゴブリンの手を斬り払いながら、大きくデカゴブリンが腕を叩きつけてきたのをジャンプで躱し、その手を踏み台にして顔面に剣を突きさす。


 顔の中心部分から上に斬り上げると同時にデカゴブリンから離れる、何かに当たる手ごたえがない、ここじゃない。


 顔を潰されたからなのか少しの間デカゴブリンの動きが止まる。


 俺はすぐさまデカゴブリンの後ろに回り込み、背中から胸につき抜けるように剣を全力で差し込む。


 キン・・・


 手ごたえあり!ゴブリンの胸からつき出ている俺の剣先に弾かれて、ダンジョンコアだと思われるものが飛び出して飛んでいく。


「グギャァァァァァァ!!!・・・ガアァァ!」


 ここで初めてデカゴブリンが苦悶の声を上げる。


 俺は剣を引き抜くとダンジョンコアが飛んでいった場所まで移動する。


 どこだ?確かこのあたりだったはず・・・あった、そこには丸くて白い珠が転がっていた。


 その珠の周りには黒い霧のようなものが漂っている、これがダンジョンコアのなりそこないってやつか。


 俺はすぐにアイテムボックスから魔王様にもらった宝珠を取りだしそれに近づける、いまいち使い方がわからないが勝手に魔素を吸収するってことはこれでいいんだろう。


 すると宝珠と接触したダンジョンコアが一瞬で宝珠の中に溶け込むようにして消えてしまった。


 透明でガラス玉だったような宝珠はダンジョンコアを吸いこんだことにより白い珠に変化した、見た目は宝珠がダンジョンコアになったような感じだ。


 さっきまでの黒い靄は出ていないし、これで大丈夫なはずだ。


 宝珠を布に包み直して俺はそれをアイテムボックスにしまう。


 後ろを振り返るとデカゴブリンが蹲って苦悶の声を上げている、まだ消滅していないのか・・・。


 デカゴブリンの身体からは黒い靄が漂いだしている。


 たぶんダンジョンコアによって身体を構成していた魔素が、ダンジョンコアがなくなったことにより身体の形を保てず空気中に溶け出しているのだろう。


 このままはさすがに良くないな。


 俺は五式の指輪を起動させ長く苦しまないように魔法を起動する。


「ヴェリアス・レイ」


 輝く魔法陣から六色の魔法が飛んでいく。


 これで倒せるかはわからないが少しでも早く苦しみから解放してあげたいとは思う、苦しませて喜ぶ趣味は俺にはないのだ。


 デカゴブリンに着弾するとデカゴブリンの身体を削っていく、かなり魔素が吹っ飛んでいるような感じだが一発じゃ無理か。


 俺はデカゴブリンが消滅するまでさらに四発のヴェリアス・レイを撃ちこんだ。



 デカゴブリンを消滅させた俺はそのまま魔窟内で座り込んで休憩をとっている。


 本当につかれた、まさかあんなズルいゴブリンが出てくるとは思わなかった。


 もう一度言わせてほしい。


 一瞬で切断部位が再生するような魔物は、最強種のドラゴンとか瞬殺するチート主人公が、どんな敵が来ても瞬殺してしまう戦闘のあっけなさを改善するために作者が取り入れる要素だから!


 ふぅ・・・魔力がすっからかんだ。


 戦闘中に魔法を使いまくったこと、最後に五発もヴェリアス・レイを使ったのがかなりきいた。


 どんだけ密度の濃い魔素で構成されてたんだよ、そりゃゴブリンが異常な強さになるのも納得だ。


 少しの間はここで休憩するとしてこれからどうするか。


 一、ここが何処に繋がっているかの調査

 二、ここを埋める。

 三、帰る


 うん、三の帰るだな。


 ここの調査はギルドがしているからそのうち何処につながっているかはわかるだろう、気にならないといえば嘘になるがそれは俺がやる仕事ではない。


 埋めるのは問題外、冒険者の遺体があるしここにはあるし探索体も魔窟に入っている、巻き込んでいき埋めなんて洒落にならない・・・何より俺にそんな力はない。


 俺の目的はダンジョンコアもどきを回収して戦争とか争いを回避することだ、目的も果たしたしちょっと休んだら帰ろう。


 ここにはヒカリゴケがあるといっても先まで見通せるような明るさはない、このヒカリゴケも魔素を吸いこんで発光しているのだろうか?


 ちょっと持って帰って研究者とかに売ったら高く買い取ってくれないかな・・・いやダメか、珍しい物だったら出所を聞かれてしまう。


 もうちょっと明かりが欲しいところだが調査隊が来ると光で発見されてしまう可能性があるから明かりはつけられない。


 さて帰ろう、念のため索敵を行い周囲に気配がないのを確認する、大丈夫だな。


 入ってきた通路の方向に向かっていると、索敵に気配が入ってきた。


 俺は急いで壁際によると、身をかがめて隠れる・・・入ってきたのは三人の冒険者だった。


「何だここは?ここだけ明るい。・・・ヒカリゴケか?」


「気をつけて!血の匂いが濃くなっている。」


「おい、ここに死体があるぞ!・・・これはゴブリンに食われたのか?ゴブリンの死体もある。ゴブリンの首が綺麗に落とされているだと!?」


 あっ、ヤバい。


 後ろからゴブリンの首を一発で斬り落としたからな、あんな綺麗な切断面ができるのは高位冒険者ぐらいだろう、ここに誰かがいると思われてしまった。


「ヤバいのがいそうだ。警戒を怠るな!」


 ただ彼らは目がまだ暗闇に慣れていないはずだ、見つかる前に逃げよう。


 俺は足音を立てないようにゆっくりと壁際を通路に向かっていく。


 フードを被っているからまずバレないとは思うが・・・。


 俺は周囲を警戒している冒険者に見つからないように通路に入って行った。


 ここからは魔道ランプの明かりがある、他の探索隊がくる前に急いで戻ろう。


 俺は地図を見ながらチェックポイントを逆走していく。


 途中で疲れたときには脇道に入って休憩をとる、流石に長時間暗くて狭い魔窟内を動き回ってると精神的にキツいな。


 魔窟の中で寝る気にもならず、俺はゆっくりとだが出口に向かって歩いて行った。


 数時間後、やっと出口が見えてきた。


 疲労と眠気でふらふらしながら出口へ向かう、ここで一度気合を入れ直す、遠足は家に帰るまでが遠足だからな、大抵は気が緩んだ時に事故に合う。


 見つからないように慎重に出口を出て、索敵で気配が近くにいないことを確認してまた柵の端っこをよじ登りやっとこさ脱出できた。


 町まで帰る元気はないので、俺は遺跡の転移魔法陣まで歩いていく。


 転移魔法陣に着くと直ぐに転移を行い、俺は深羅の森の別荘でゆっくりと睡眠をとった。

改稿

ここで第三部終了になります。

ここまでお読みいただきありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ