表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/70

65   土蜘蛛の活躍?

「土蜘蛛が頬を叩くと邪気を祓ったりしたことになるの?」


 小鳥が小鬼たちに尋ねると、全ての小鬼が体を横に振った。


(これ、否定しているんだよね。じゃあなんで、土蜘蛛はオーナーの息子さんを叩いたんだろう)

 

「……様子を見に行ったほうが良いのでしょうか」


 外の様子に気がついたオーナーが、小鳥が座っている席までやって来て問いかけた。


「私が行きます。これでもお助け屋の助手ですから」

「ですが、小鳥さんだけでは危険です」

「たまたちも行くにゃん」


 カウンターの奥にいた、たまとみけが出てきて言うと、送り犬も小鳥の横にやってきた。


(見た目は猫と犬なんだけど、すごく頼もしいな)


「ピーッ!」

 

 小鬼たちも右腕を上げて参戦する意を示す。


「一人じゃないので大丈夫です。オーナーの目には見えない妖怪が出てきても駄目ですし、私に任せてください」


 心配そうにしているオーナーに力強く言ったあと、小鳥はたまたちと一緒に店の外に出た。


 人通りの少ない場所な上にオフィス街の裏にあるため、土日は閑散としている。そのため、土蜘蛛たちの姿を目撃されることもないが、万が一、誰かがいたとしても小鬼たちが目撃しないように阻止している。


 突然、棚や机の上に置いていたものが落ちる時があるが、それは必然的な物も多いが、小鬼のいたずらか妖怪たちにとって見られたくないものを見られないようにしている時が多かった。


「大丈夫ですか!?」


 小鳥が誠に駆け寄ると、彼は痛みと恐怖で失神していた。


「死んではいないから大丈夫にゃん。でも、やり過ぎだにゃん」


 たまが土蜘蛛を批難すると、土蜘蛛は胸の前で腕を組んで不機嫌そうになる。


「うるせぇな。これでこいつは鬼にならなくて済むんだから良いだろ」

「本当に鬼にならないんですか? あなたに叩かれたりしたら、逆に鬼になりそうですけど」

「ならねぇよ! そんなことになったら、鬼製造機だと言われていきしに殺されるじゃねぇか!」


(そうか。いきしさんは鬼を殺すために生まれたんだよね。……今でも、自分を生み出してくれた人の家族の仇を討つつもりなのかな。というか、人間が鬼になった時の寿命ってどうなるんだっけ)


 鬼になれば人ではなくなるため、寿命というものはなくなる。そのため、いきしが捜している鬼も生きている可能性が高い。


「おい、聞いてんのか!」

「聞いてます! ごめんなさい!」


 他のことを考えていたため素直に謝った小鳥だったが、道路にひっくり返っている真を見て、土蜘蛛に尋ねる。


「この人をどうするつもりなんですか?」

「ああ? 放っておきゃそのうち目が覚めるだろ」

「この炎天下の中、アスファルトに寝かせたままでいるつもりですか!?」


 初夏とはいえ、気温がかなり上がっていて、少し歩くだけでも暑い。遮る雲もない青空の下、熱々のアスファルトの上で寝かされていれば、熱中症になる危険性がある。それにたまたま通りかかった車などにひかれたりするかもしれない。


「いきしさんの名前を言ってしまったことや暴力をふるったことを内緒にしておきますんで、この人をお店の中に運んでもらえませんか」

「お前が言わなきゃいいだけだろ!」

「いきしさんには土蜘蛛さんが頑張っていたと伝えますから」

「……まあ、それなら運んでやってもいい」


 仕方がないと言わんばかりの発言だが、目が笑っているのでわかりやすい。


(単純で良かった)


 誠の体を担ぎあげ、店の中に入っていく土蜘蛛を見ながら、小鳥は胸を撫で下ろした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ