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あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


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51   親友の彼氏の思惑 ④

「大丈夫ですか?」


 小鳥が尋ねると、美鈴の彼氏の桐谷は小鳥に冷たい目を向けたが、すぐに何事もなかったかのように笑顔で答える。


「大丈夫。なんか一瞬しんどくなったんやけど、今はマシやし」

「マシってどういうこと? 体調悪いん?」


 美鈴が心配そうに桐谷を見上げると、彼女の頭を撫でながら微笑む。


「大丈夫だよ。一瞬やったから」

「病院行ったほうがええんちゃう?」

「大丈夫やって」


(私に向けられた眼差しは明らかに悪意があった気がする)


 二人のやり取りを見つめながら、小鳥はそんなことを思った。それと同時に小鳥と龍騎のスマートフォンにメッセージが届いた。

 それぞれが開けてみると送り主はいきしで『その男、小鳥に敵意を向けているわね』と書かれていた。


『私もそう感じました』と小鳥がいきしと龍騎にメッセージを送ると、龍騎から『今日は中止にするか?』と送られてきた。


(初対面なのに敵意を向けられている理由が、さっぱりわからない。どうせだもの。今日のうちに、はっきりさせてしまいたい)


 小鳥はメッセージは返さずに、龍騎を見つめて首を横に振った。


「……わかった」


 龍騎は苦笑して頷くと、美鈴に声をかける。


「大丈夫そうか?」

「本人は大丈夫やって言うてるけど、うちは何とも言えへん」

「大丈夫やって。ほら、せっかくプラン立てたんやから行こか」


 桐谷は美鈴の手を取って歩き始める。


「待って! みんなで行こうな」

「二人の邪魔したらあかんよ」


 小鳥たちと一緒に行こうする美鈴に、桐谷は子供に言い聞かせるように言った。


(プランを立ててくれたのはありがたいけど、雰囲気的に自分たちのデートを邪魔されて不満って感じが見え見えだなあ)


 言い出したのは美鈴であって小鳥たちではい。


「俺たちも行くか」

「はい」

「ほんまごめんな!」

「気にしないで」


 彼女たちを気にして振り返る美鈴に、小鳥は笑みを返した。



******



 その後の桐谷は自分の立てたプラン通りに動き、小鳥たちのことなどお構い無しだった。特に小鳥に対してはどこか冷たい態度が垣間見えた。そのことに小鳥だけでなく、龍騎も美鈴も気づいていた。


 デートプランといっても大きなショッピングモールに行き、美鈴に何か買い与えようとするだけで彼女も困っていた。

 挙句の果てに昼食の場所は「千夏さんはオシャレな店より庶民的なフードコートのほうが似合うわぁ」と言った時には、さすがの美鈴もムッとした顔になって桐谷を窘めた。


「なんなん。失礼な言い方に聞こえるわ。フードコートの何が悪いん?」

「好きなもん選べるからいいじゃないっすか」


 美鈴と龍騎に言われた桐谷は何も言い返すことなく口を閉ざした。その後はフードコートで休憩となり、それぞれが好きなものを注文して席に着いた。少しして呼び出しベルが同時期に鳴った美鈴と龍騎が席を立つと、桐谷は美鈴の動きを気にしながら小鳥に話しかける。


「可愛いって聞いてたけど大したことないなあ」

「何が言いたいんですか」


 聞き返した時、小鳥たちの横のテーブルに誰かが座った。桐谷はそんなことを気にする様子もなく話す。


「あのさあ、美鈴はあんたのこと鬱陶しいおもてんで」


(鬱陶しいと思っているってことよね)


 ニヤニヤしながら小鳥を見つめる桐谷を見た小鳥は、彼が鬼になりかけている理由がわかったような気がした。

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