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あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


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50   親友の彼氏の思惑 ③

 ダブルデート当日、龍騎と小鳥は落ち合ってから、美鈴たちと合流することにした。

 美鈴と食事をした際に、小鳥が美鈴の彼氏はもともとそのようなことを言う人だったのかどうか尋ねてみると、そうではないし、今回初めて聞いたと答えた。そのことを思い出しながら、目的地に向かう電車の中で龍騎に尋ねる。


「まさか、向こうが私たちに気づいているということはないですよね?」

「あの時、いきしがいたなら気づかれていた可能性はあるかもしれないが、彼はそこまで鬼化が進んでいなかったし、俺の気配くらいではわからないと思う」

「妖怪が見えるからと言って、鬼がそれに気づかないことはあるんですか?」

「あるよ。小鳥だって今までは妖怪を見えないふりをしてきたのに気づかれなかっただろ?」

「……そういうことですか」


(見えている見えていないは、相手の反応を見て判断していたのね)


 小鳥は今まで妖怪が見えないふりをしてきたおかげで、妖怪たちに絡まれずにいたことを思い出した。


「じゃあ、私たちが普通にしていれば、美鈴の彼氏は鬼だとわかっていることに気づかないと思って良いですか?」

「完全な鬼になっていれば別なのかもしれないが、彼はそうじゃないから大丈夫だと思う」

「あたしが守ってあげるから心配しなくていいわよ」


 龍騎と小鳥の後ろを歩いていたいきしが笑顔で言った。今日のいきしは洋服姿だが、スタイルの良さと美貌のため、歩くだけで目立っている。


「本当は背負っていくか、姿を隠してもらうか迷っていたんだが、いきしは姿を隠すのは下手なんだ」

「そういえば背負っていましたね」

「人間タイプだとこのタイプにしか変身できないし、物に変化させてもどうしてもサイズ感がおかしくなるんだ」

「物だといきしさんの本来の大きさになってしまうんですね」

「そうよ。人間の姿になるのは簡単なんだけど、物になるのは難しいのよね。あと、動物も無理」


(妖怪だからって何にでも変化できるわけじゃないんだなぁ。……ってそれはそうか。元々は、いきしさんは日本刀なんだもんね)


 生死(いきし)は日本刀の妖怪だ。人間の姿に変化できるのは今でいう擬人化というものに近いのだろうが、物から物に変化するのは難しいようだった。


「そういえばぽちたちは人間になれるんですか?」


 送り犬や猫又たちが人間に変化しているのを見たことがないなと思った小鳥が尋ねると、龍騎が答える。


「化け猫は人間になれるけど、たまたちは猫又だから無理らしい。送り犬のぽちについては、理由はわからないが人間になれない。犬の姿のほうが色々と都合が良いのかもしれないな」

「ぽちはそのままで十分可愛いですしね」

「可愛いは関係あるか?」

「私の中ではあります」


 待ち合わせの場所に近づいてきたので、いきしが二人から離れて話しかける。


「あたしは離れた所にいるから」

「目立たないようにしろよ」

「わかっているわよ」


 そう言っていきしは背負っていたリュックの中から麦わら帽子を出して深く被り、マスクをつけた。最近は日差しも強くなってきたので、麦わら帽子を深く被っていても日焼け対策だということで不審者扱いされることはないだろう。


(帽子とマスクって警戒されることもあるみたいだけど、今回は目を出しているし普通だよね。徹底的に日焼け対策している人はもっとしっかり日焼け対策しているもの)


 待ち合わせ場所は駅のすぐ近くにある公園での噴水前で待ち合わせることになっている。小鳥たちが着いてから少しして、美鈴たちがやってきた。


 いつもよりも少し濃いめの化粧にフェミニンな格好をした美鈴は、笑顔で小鳥たちの所に駆け寄ってきた。


「お待たせ! ごめんな! いつくらいから待ってたん?」

「少し前かな。まだ約束の時間になってないから気にしなくていいよ」


 小鳥と美鈴が話していると、美鈴の彼氏は龍騎に話しかける。


「はじめまして。美鈴から聞いてたんやけど、すごい男前やね」

「はじめまして。どう聞いていたかは知らないんすけど、ありがとうございます」


 龍騎が苦笑して軽く一礼すると、美鈴の彼氏は眉根を寄せる。


「……何だろう。何か胸が苦しい気がする」


 その言葉が聞こえた小鳥は、慌てて美鈴の彼氏に目を向けた。すると、龍騎の周りには白い光が、美鈴の彼氏の周りには黒い靄がかかっているように見えたのだった。



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