表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/70

49   親友の彼氏の思惑 ②

 小鬼が知らせてくれた内容は、仲間の小鬼が龍騎にも知らせてくれたらしく、しばらくして龍騎からメッセージが届いた。どうして彼が自分たちをくっつけようとするのかはわからないが、それを知るためにも小鳥が迷惑でなければ、ダブルデートをしてみたほうが良いかもしれないという内容だった。


(鬼の目的を知るチャンスだと思えば良いのよね)


 会社の人にばれないように気をつけながら龍騎と会うことにも疲れてきていた。仮の婚約者でもあることだしと覚悟を決めた小鳥は、美鈴からの誘いを正式に受けることを龍騎に伝えた。そのことについての龍騎からの返事を見て小鳥の胸は高鳴る。


『じゃあ、やり直しのデートとは別でよろしく』


(また二人でおでかけするってことだよね)


 そう考えただけで小鳥の胸はじんわりと温かくなる。


「ピー?」


 ベッドの上に寝転んでニコニコしている小鳥を見て、小鬼たちは不思議そうに小鳥を見つめた。



******


 次の日の昼休み、小鳥が美鈴にどういうつもりなのか、詰問口調にならないように気をつけながら問いかけると、彼女は苦笑して答える。


「ごめん。おせっかいやってことはわかってたんやけど、えらい彼氏が小鳥と神津くんをくっつけたらどうやって言うもんやから、あたしが背中押したほうがええんかなっておもてしもてん」

「どうして彼氏さんは私と神津さんをくっつけようとしているのかわかる?」

「わからん。あたしが小鳥の話をようするんよ。だから、友達やったら応援したれっていう意味なんかなって思ってたんやけど」


 美鈴は手を合わせて謝る。


「ほんまにごめん! 近いうちに夕食とデザートおごる!」

「そこまでしなくていいよ」

「あかん。あたしの気が済まへんねん。小鳥は優しいから許してくれてると思うよ。やけど、それじゃああかんねん。もっと厳しいせな!」

「うーん。よっぽどのことがない限り、私は美鈴と友達でいたいからなぁ」

「それはうちもやで。やから、ご飯おごらせて。小鳥に嫌な思いをさせたことをチャラにしろなんて言わへんし! 自己満でごめん!」


 結局、美鈴に押し切られる形で、明日、美鈴と夕食をとることになった。


(美鈴と二人で出かけるのは初めてだし、こんな時だけどちょっと嬉しいな)


 そう考えたあと、美鈴にダブルデートというものはどんなことをするのか尋ねてみる。


「ダブルデートって二組でどこかへ行って遊ぶんだよね?」

「そうやと思う。映画館に行ったり、遊園地に行ったりとか色々ちゃうかな」

「今回はどこに行こうと思ってるの?」

「うちの彼氏が決めてくれるみたいなんやけど、それでもええ?」

「かまわないし、決めてくれるのはありがたいけど、どこへ行くか教えられずに当日を迎えるのは嫌かな。あと、苦手なものもそれぞれ違うし、行きたくないところもあるかもしれないから伝えても良い?」


 行ってみてのお楽しみというのもあるのかもしれないが、美鈴の彼氏を警戒している小鳥には、行く場所がどこかわからないと一緒に行きたいとは思えない。

 行く場所を決めてもらう人間が我儘を言うなと言われるかもしれないが、小鳥が勇気を出して口にすると、美鈴は苦笑する。


「そりゃそうやんな。やったら神津くんにも聞いといてくれへん? あの人目立つし、人の多いとことか嫌いそうやん?」

「そ、それはそうかも」


 特に若い女性の多い場所なら、龍騎の容姿なら注目の的になるだろうと納得した小鳥は、その日の夜に龍騎にどこに行きたいか聞いてみた。


 龍騎からの返信には『人は多すぎず少なすぎずだと助かる。あと、絶叫マシーンは乗りたくない』と書かれていた。


(龍騎さんって絶叫マシーン苦手なんだ)


 ここは深掘りしてみるべきか悩んでいると、美鈴からメッセージが届いた。気にしていたらしく、彼氏にくっつけようとする理由を確認してみたら『美鈴の周りの人が幸せになってくれたら嬉しいんだ』と返ってきたとのことだった。


(本当にこの気持ちだけなら鬼になる理由がわからない。逆にめちゃくちゃ良い人だよね)


 そう考えた時、またメッセージが届いたので確認する。


『姿を隠させるが、生死(いきし)も連れて行く』という龍騎からのメッセージを見た小鳥は、自分が龍騎の助手でもあることを思い出して気を引き締めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ