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あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


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48   親友の彼氏の思惑 ①

 オーナーの新居探しはスムーズに進み、値段については改めて龍騎の祖父と契約の際に話すことになった。


「りゅうき、いろいろとありがとう」


 微笑んで礼を言った、らおの頭を撫でて龍騎も笑みを浮かべる。


「これでお前も暮らしやすくなると思う。新しい家でもオーナーを頼んだぞ。何かあったらすぐに連絡してくれ」

「うん。まかせて」


 らおとオーナーに見送られて『あやかし』を出た小鳥たちは駐車場に向かって歩きながら話をした。


 龍騎は美鈴に自分はかまわないが、小鳥が嫌がるのではないかという話はしてくれたらしい。


「嫌だったら断ればいい。彼女たちと一緒に行くということは、会社の人間にも知られるだろうし」

「頼めば内緒にしてくれると思うんですけど」

「それが無理っぽいんだよな」

「どういうことです?」


 苦笑する龍騎に小鳥が焦って尋ねた。


「彼女は小声でお願いしてきたつもりだったみたいだけど、周りに聞こえてたんだ」

「そ、そんな!」

「聞こえていた人間には言いふらさないでほしいとお願いしておいたけど難しいだろうな」


(美鈴には龍騎さんとのことを隠しておいてほしいってお願いしていたのにどうして!?)


 一瞬だけ美鈴を責める気持ちが浮かんできたが、すぐに小鳥は首を横に振る。


(ちゃんと言っておかなかった私が悪いんだ)


 自分を責めていた小鳥に龍騎が話しかける。


「確信はないんだが、野岡さんは俺と小鳥をくっつけようとしているんじゃないかと思ってる」

「……え?」

「最近、俺に小鳥の良い所を話してきたりしていたんだ。聞かなくても知ってとことは多かったけど、仲が良いんだなとか友達を褒められるって良い人だなって思ってたくらいだっただけだった。だけど、今回の件で思ったんだ。わざと周りに聞こえるように俺に話をしてきたんじゃないかって。俺と小鳥が仲が良いことは知ってるみたいだし、周りに認知させたかったんじゃないかな」

「……そんな」


(美鈴は私の背中を押そうとしてくれていたから、その可能性は十分にありえる。私はそんなことを望んでいないのに!)


 美鈴に隠していることがあるとはいえ、そこまでされるとありがたいとは思えなかった。


「まだわからない。俺が勝手にそう思っただけだから、機会があったら本人に確認してくれ」

「そうします」


 小鳥は頷いたあと、龍騎に頭を下げる。


「ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

「迷惑なんかじゃないから気にすんな」


(それは、どのことを言ってくれているんだろう)


 そう考えた小鳥だったが、街灯の明かりに照らされた龍騎の笑みが眩しくて確認することができなかった。


 龍騎に送ってもらったあと、美鈴に連絡しようか考えたがやめておいた。大事なことは顔を見て話したほうが良いと思ったからだ。いつもよりも遅くなった夕食をとり、お風呂から出たところで疲れた様子の小鬼が近づいてきた。


「どうしたの?」

「ピー」


 小鬼は弱弱しく返事をしたあと、小鳥のスマートフォンを触りメッセージを打つ。


「……どういうこと?」


 小鬼からのメッセージを読んだ小鳥は驚きの声を上げた。小鬼が小鳥に伝えたのは、美鈴の彼氏が小鳥と龍騎が恋人同士になるように動けと急かしているとのことだった。


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