表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/70

44   親友と鬼 ➂

 龍騎に家まで送ってもらっている途中で、美鈴からメッセージが返ってきた。『今日は彼氏が家に泊まりに来てんねん。さっきまでは夜景を見に行ってたんよ。綺麗やったし、また場所教えるな』と書かれていた。


(もしかして、龍騎さんも夜景を見に行こうとしていたのかも)


 そう思うと、小鳥は龍騎に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「本当にごめんなさい」

「どうしたんだよ」

「せっかく計画を立てたのに駄目になって……」

「小鳥のせいじゃないだろ」

「中止になったのは私のせいです」


 小鳥が落ち込んでいると、龍騎は苦笑する。


「悪いと思うんなら気にしないでくれ。途中で中止になったのは残念だが、楽しかったことは確かだから」

「……じゃあ、ご迷惑でなければ、美鈴が素敵な夜景スポットを教えてくれるそうなので、今度一緒に見に行ってくれませんか」

「迷惑じゃない」


 信号待ちで車が停車した時、龍騎は笑みを浮かべて小鳥に言った。


「ありがとうございます」


 高鳴る胸を押さえたあと、龍騎に非礼をすることを詫びて、小鳥は美鈴にメッセージを返したのだった。




******



 週明けの昼休み。小鳥は早速美鈴に探りを入れてみた。


「土曜日は突然メッセージを送ってごめんね。邪魔しちゃった?」

「ぜんぜん! 休みの日に小鳥からメッセージをもらうなんてなかったし、うちは嬉しかったよ」

「なら良かった。考えてみたら、美鈴の彼氏がどんな人なのか聞いたことなかったよね」

「簡単には話してるけど、詳しくは話してへんね」

「差し支えなかったら教えてほしいんだけど」

「なに? ねろてんの?」

「ねろ?」


 小鳥が聞き返すと、美鈴は苦笑する。


「ごめん。狙ってんの? って聞いてん」

「そんなんじゃないよ! それに美鈴の彼氏が私を相手にするわけないし!」

「なにを言うてんの。小鳥はうちと違って可愛いし性格もええから好きになってまうよ」

「どっちとも美鈴には敵わないから、彼氏さんは私を好きにはならないと思うけど、褒めてくれてありがとう」

「どういたしまして」


 美鈴はおどけたように言うと、持参のお弁当の箱を開けながら話す。


「彼氏は普通の人やで。一般企業の営業をしてる。だから、出張でこっちに来たりするんよ」

「……営業さんなんだ。すごいね。……って、美鈴もそうか」

「そうやで。だから別にすごいってわけやないけど、事務員さんにはすごいってなるんかな? うちにしてみれば、事務員のほうがすごいと思うよ」


 美鈴は笑顔で答えたあと首を傾げる。


「何かあったん?」

「……どうして?」

「なんか元気なさそうに見えるから」


(まさかあなたの彼氏が悪いことを考えているかも、なんて言えるわけないよね)


「うーん、そろそろ私も彼氏を作りたいなあって思って」

「え? どうゆうこと? 神津くんと進展したん?」

「違います!」


 美鈴の様子がいつも通りで安堵した小鳥は、また話題を美鈴の彼氏の話題に戻した。

 小鳥が美鈴から聞き出した内容では、美鈴の彼氏、外間光輝が鬼になっている……、正確には鬼になりかけている理由は掴めなかった。


(会社で嫌な思いをしていて、誰かを恨んでいるとかかな?)


「そうや。良かったら今度、ダブルデートせーへん?」

「相手がいないんだけど……」

「何言うてんの! 神津くんがおるやん!」

「ええっ!?」


 驚く小鳥の横で小鬼が嬉しそうに「ピー!」と鳴いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ