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あやかしのお助け屋の助手を始めました  作者: 風見ゆうみ


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40   座敷童の悩み事 ②

 らおはオーナーの家に住みついている座敷わらしだ。そこを出ていくとなると、オーナーの身に何か起こるのではないかと不安になった小鳥は、わこに詳しい話を聞いてみる。


「座敷わらしがいなくなった家って良くないって聞いたことがあるんだけど、それは大丈夫なのかな」

「そうだね。ぼつらくするとかいういいつたえはるあるけれど、あたしたちのばあいは、いえがすみづらくなったからはなれるんだよ」

「住みづらいって……、もしかしてオーナーの息子さんが関係しているとか?」

「うん。あたしがことりのいえにきたのも、あいつがいたからだよ」


 わこはあっけらかんとした口調で言った。


「そんなに嫌な人なの?」

「いやっていうか、びょうきでもなんでもないのにはたらかないんだ」

「心の病気とかではなくて?」

「うん。そんなんじゃない。ただのわがままだよ」


(そういえば、らおくんもオーナーの息子さんのことを好きじゃない感じだったな)


「こんなことを言うのもなんだけど、それでオーナーが不幸になったりしないよね?」

「うん。それはだいじょうぶだよ。そうならないようにらおがずっとそばにいたんだから」


(……ということは、らおくんもちゃんと考えて行動しようとしてるってとこかな)


 小鳥はわこに話を聞かせてくれたお礼を言ったあと部屋に戻って、座敷わらしについての伝承を改めて調べてみた。

 座敷わらしが家からいなくなる理由は住みにくくなったからと書いてあるものが多かった。


(今までは我慢できていたのに、よっぽどのことがあったんだろうな)


 もやもやと考えていると、小鬼がスマートフォンで文章を打ち、ウキウキした様子で小鳥の目の前に持ってきた。


『あしたのでーとはどんなふくをきるの?』


「そうでした!」


 らおのことが気になってすっかり忘れていたのだが、明日は『あやかし』で待ち合わせ、らおに話を聞いたあとに龍騎とデートすることになっていた。


「約束の時間は夕方だし、明日、着ていく服を買いに行かなくちゃ! ……というか、どこに買いに行けばいいんだろう!」


 『あやかし』に着くまでは自分のことを優先させてもらおうと思い、小鳥は『デート服 おすすめ』と打って検索をかけたのだった。




******



 次の日、小鳥は朝から服を買いに出かけ、当日予約が可能だった美容院に行き、気合を入れた状態で『あやかし』に向かった。約束の時間よりもかなり早くに来たため、まだ龍騎は来ていない。ホッとするようなそうでもないような複雑な気持ちになりながら、小鳥はオーナーに挨拶する。


「こんにちは!」

「こんにちは、小鳥さん。今日は一段と素敵ですね」

「あ、ありがとうございます! 似合わないんじゃないかと思ってドキドキしていたんですよ」


 いつもはガーリータイプの服装だが、今日は少しでも大人っぽく見えるようにモノトーンでシックに決めていたので、お世辞でも褒められたことはとても嬉しい。


「こんにちは、ことり。きょうもかわいいね」

「あ、ありがとう!」


 突然、姿を現したらおは、カウンターに座ると笑顔で促す。


「ぼくにききたいことがあるんでしょ? こっちではなそ」

「あ、はい!」


(わこちゃんから話を聞いたのかな)


 小鳥はごくりと唾を飲み込んだあと、らおの隣に座ったのだった。

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