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115、キャンプ飯

 アイテムボックスの中にはいろいろと買い揃えているので、急遽バーベキューをすることになっても問題なく道具は揃っている。俺はまず低めの椅子とテーブルを取り出してテントのそばに設置し、テントに火が燃え移らないように少し離れたところで火を燃やすことにした。

 ちなみにダンジョンの中ではずっと昼間の層もあるけど、この層は夜にはちゃんと日が暮れるので、火は朝まで燃やしっぱなしの予定だ。


 皆で近くにある乾いた木と枯れ草を集め、そこに火魔法のファイヤーで火をつける。そして野営の時に使えると購入した、鉄製の調理台を火の上に設置した。

 これは下で火をつければ、フライパンや鍋などが火にかけられるから便利だと言われて買ったものだ。買った時は必要ないと思ったけど、今となっては買って良かったな。


 最近はお金も潤沢だし、一見必要なさそうなものでも買ってアイテムボックスに入れておけば良いのかもしれない。こうしていつかは役に立つだろう。


「まずは何から作るんだ?」

「火にかけられるのは二つだけだから、片方には鉄板を置いて肉を焼こうか。もう片方では米を炊いて良い? 焼いた肉と一緒に米を食べたら最高じゃない?」

「なんだそれ、最高すぎる!」


 俺の提案は皆にすぐ了承してもらえたので、俺は鉄板と大きな鍋を取り出して、鉄板はそのまま火の上に置いた。鍋は米の準備をしてからだ。


「俺が米を炊くから、二人には肉をお願いしても良い?」

「もちろん。どんどん焼くよ」

「俺も頑張って食べるぞっ!」

「ははっ、ウィリーは食べることに関しては頑張らなくても大丈夫」

「では僕が頑張ります!」


 ミルも頑張る必要はないほどにいつも食べてるよな……そう思いつつ、キリッとした表情のミルが可愛くて否定できなかった。


「じゃあお肉は色々とここに出しておくから、自由に取って焼いてくれる? タレとか塩、後は香辛料も出しておくよ」

「ありがとう。トーゴは米をよろしくね」


 肉はダメにならないようにと氷で冷やすようにして二人に渡して、俺は米をアイテムボックスから大量に取り出した。大きなボウルに入れて水で何度か洗い、綺麗にしてから鍋に入れる。


 一応米の炊き方はソフィアさんに聞いてあるので、なんとか上手くできるはずだ。水の量は米の量よりも少し多いぐらいで、鍋の蓋は少し開けるぐらいがちょうど良いんだよな。でも火力にもよるから、途中で確認しつつやってみよう。


「うおぉぉぉ、めっちゃいい匂いがしてきたぞ!」

「それってレッドカウ?」

「うん。ウィリーがステーキを食べたいっていうから。とりあえず一人一枚で四枚焼いてるよ」


 ウィリーとミルはもう待ちきれないようで、鉄板に近づいて焼ける時を今か今かと待ち構えている。


「トーゴ、米は炊けたか?」

「まだ火にかけたところだよ。数十分は待ってて」

「そんなにかかるのか!」

「料理には時間がかかるんだよ。……あっ、ウィリー、あっちからちょうどよく魔物が近づいてきてるみたい。倒してるうちに肉が焼き上がってるんじゃない?」

 

 俺のその言葉にウィリーは空腹だからか、捕食者のような目をして魔物がいるだろう方向を見つめた。そしてニヤリと笑みを浮かべる。


「俺が倒してくるぜ!」

「ありがと。ミルも一緒に行ってくれる? さすがに一人は危険だから」

「分かりました! トーゴ様とミレイアさんは料理をお願いします!」


 そうして凄い勢いで駆けて行った二人は、数十秒で魔物と出会い、さらに数十秒で魔物を倒したらしい。マップに映る魔物の反応が一瞬で消えた。


「ミレイア、もう倒したみたいだよ」

「え、もう!? まだ全然肉は焼けないよ?」

「時間稼ぎにならなかったね」


 俺とミレイアがそんな話をして苦笑を浮かべながら顔を見合わせていると、二人が駆けて戻ってくる音が聞こえた。


「もう焼けたか!?」

「まだ全然。二分ぐらいしか経ってないから」

「えぇ〜トーゴ、他に魔物はいないか?」

「今のところはいないみたい。じゃあウィリー、米が炊けたらスープを作るから野菜を切ってくれる?」

「分かったぜ!」


 ウィリーは意外にも素直に頷いたので、俺はまな板といくつかの野菜を出してウィリーに渡した。さらに切れ味の悪いナイフも渡す。ウィリーは力が強いので、切れ味が良いものを渡すとまな板まで切ってしまう恐れがあるのだ。


 まあ切れ味が悪くても、ウィリーなら素手でまな板をバキッと割れるだろうしあんまり関係ないかもしれないけど。


「ウィリーって料理できるの? というか私達って、一緒に料理するの初めてだよね」

「確かに言われてみれば」

「いつも買ってばかりですもんね!」

「俺は料理できるぞ。家でたまにやってたんだ」


 そうなんだ……確かに、手付きは悪くないかも。ちゃんとまな板も切れてないし大丈夫そうだ。


「ウィリー、ついでにこのお肉も最後に切ってくれる? これは一口サイズに切って焼こうかと思って」

「おうっ、分かったぜ」


 それからは皆で分担して調理を進めて、ウィリーが野菜と肉を切り終わった時にちょうどステーキが焼き終わって、さらに米も炊き上がった。

 米は火力が強かったのか、予想より早くに完成だ。多分おこげがかなり出来てるけど、まあそれも美味いから良いよな。


「じゃあさっそく食べようか」

「おうっ、もう腹が減りすぎて倒れそうだ」


 俺はウィリーのその言葉を聞いて、アイテムボックスからまずはウィリー用の大きな器を取り出し、白米を何人前だろうってほどによそった。そしてミレイアに頼んで、その上に一口サイズに切り分けたステーキを載せてもらう。これで……ステーキ丼の完成だ!

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