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夜遅くに帰ってきたアイテール様とヴァン、ルミエールにそれぞれの国の対応について教えてもらった。
まず、【獣王国】はジェラルドに聞いた通り【エルフの国】に対しては賠償金と医療知識の開示を求めたそうだ。【魔国】に対しては今まで無かった貿易の交渉を求め【空の国】に対しては、機械の技術を求めることにしたそうだ。
【水の国】のイネスと虹の妖精のシェルはそれぞれの国の代表が代わりに交渉することになっていて詳しくは決まっていないが、賠償金と何か有益な条件を求めることになるだろうとの事だった。
「レイラは何か欲しいものある?」
報告を聞いた上でアイテール様が私に聞いてくれる。
「例えば【空の国】からは、ジェラルドと連絡できる通信機とかどうですか?」
「そうだな【魔国】に自由に出入り出来る魔法陣とかもありだな」
ルミエールとヴァンが提案するとディザもそれなら、と提案してくれる。
「【エルフの国】からは、薬学を教えてもらえば?せっかく世界樹のまわりに貴重な薬草が沢山生えているんだし使わない手はないよね」
ブラックなディザがチラリとお目見えしてるけど、大丈夫かな。
「うん。ジェラルドとお話しできる通信機は欲しいかな。後、【魔国】へも遊びに行きたいな。でも、薬学はルミエールに教わったらいいような気がするんだけど…」
「【エルフの国】の薬学は、私の知識よりも深いのですよ。ですから、【エルフの国】の薬学について学ぶ機会は貴重だと思いますよ」
なんと、ルミエールの知識よりも沢山学べるのなら【エルフの国】の薬学を学んだ方がいいかな?でも、独りで勉強するのは嫌だな…とディザを見ると満面の笑顔で「僕も一緒に行こうかな」と言ってくれたから大丈夫そう。
「それじゃあ、レイラからの要望はそんな感じで後はパパに任せてくれるかな?」
「うん。パパにお願いする」
そう言えば、アイテール様も満面の笑みで頷いてくれた。
「それから、ジェラルドの事だけど…レイラの番としてちゃんと認めるけども!レイラが成人するまでは嫁にはやらないから、そのつもりで」
ちょっと涙目のアイテール様に言われてビックリした。
「まだ、お嫁に行くとかあまり良くわからないけど。お嫁に行くまでは、この世界樹のお家に居たいしパパやディザ、ルミエールとヴァンと一緒に居たい」
そう呟けば、アイテール様が私をギュウと抱き締めてくれる。
「アイテール様。レイラは、まだ成人前だから番への執着心が薄いんですよ。だから、そんなに心配はいらないと思いますよ?」
ディザの言葉に一瞬固まったアイテール様は「そうだよね…」と気づいたようでホッとしていた。確かにジェラルドの事は好きだけどアイテール様やディザと同じくらいの家族愛なんだよね。いつか、これが番への愛情に変わるのかな。
「そうは言っても、オンディーヌが言っていたように番についての知識を教わった方が良いだろうから【獣王国】のミレイユ妃にはお願いしておくね」
アイテール様は、ちゃんと私の将来の事を考えてくれているんだな。と、とても嬉しくなった。
「それから、【魔国】のルシファーとリリアン嬢が結婚式には是非来て欲しいって言っていたよ」
「わぁ、もう結婚式が決まったんだ!良かったね」
他人事ながらとても嬉しいな。
「魔王の悲劇については魔国中に広まっていたらしくてね。早く結婚して国民を安心させたいと言うのもあるみたいだよ。まあ、早くと言っても半年先みたいだから招待状を待とうね」
それにしても、国民から祝福されているなんて素敵だと思う。
「パパ、ウカ様のところへお礼にいきたい」
ウカ様のお陰で今回、無傷で生還できたと言っても過言ではない。やっぱりちゃんとお礼をしたい。
「そうだね。ウカには私からもお礼をしたいと思っていたんだよ。連絡入れておくね」
お礼はやっぱりいなり寿司で良いのだろうか?イオリさんに相談してみよう。
「それから今回は、【エルフの国】でゆっくり出来なかったから日を改めて観光に行こうね」
今度は、ディザと観光地をチェックしてから行きたいな。ルミエールにもおすすめを聞こう。
「【空の国】のヴィクトリアとキアランから、今度ゆっくりお茶をしたいと伝言を預かったぞ」
ヴァンに言われて「ありがとう」とお礼を言う。ヴィクトリアとは、一度ゆっくりお話したいと思っていたんだよね。気が合う気がするの。
そう言えば、【獣王国】のロシエル様達と女子会やパジャマパーティする約束もあったね。
「フフフッ。レイラ、することが一杯で忙しそうだね」
ディザに言われて「うん!」と元気に頷く。楽しみなことばかりで困っちゃうな。
「とりあえず、今夜はもう遅いから早く寝ようか」
久々にアイテール様とディザと三人で川の字になって寝れそう。まずは、ディザとハーブを浮かべたお風呂に入ろう。




