表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/100

98

アフタヌーンティの準備をカネルと一緒にしていると【エルフの国の世界樹】が来たよと、ディザが呼びに来てくれた。


「外のウッドデッキでお茶にすることにしたよ」と言うディザに連れられてデッキに行くとジェラルドが誰かに挨拶をしていた。


「あれ、誰?」

「忘れちゃった?この間、会ったよね?」


ディザに言われて思い出した。あれは、クリストフ王太子じゃない?


「レイラとジェラルドに謝りたかったんだって」


眉毛が下がりきったクリストフ様は、こちらに歩いてくると膝をついて頭を下げた。


「世界樹の愛し子様。この度は、私の父オルデニルが大変申し訳ありませんでした」


残念ながら「無事でしたから大丈夫ですよ」と笑って言えるほど私は聖人君子では無い。


「オルデニル元王には、どのような処罰が与えられるのですか?」


私の声に身を固くしたクリストフ様は、顔を上げて答えてくれた。


「元王は、アイテール様のご指示の元【空の国】の時空牢にて終身刑となりました。それが、彼にとって一番苦しい刑になるだろうとの事です」


良くわからなくて首を捻っていたらディザが説明してくれた。


「彼の王は、不老不死を願っていたでしょ?だからそれを叶えてあげる一方で、不老不死の王として【エルフの国】を治めると言う願いは叶わない。薬学にも携われない。つまり、何もない時間の止まった空間で死ねないまま叶わぬ夢を見続けると言う訳」


ええ、とても良い笑顔で説明をしてくれました。まぁ、エグイ刑をアイテール様も考えたよね。


「ジェラルドは、オルデニル元王の事は許すの?」


一番の被害者は、ジェラルドだからね。


「俺は、一国の王子だからな。許さない訳にはいかないんだ。国としては、賠償金と【エルフの国】の医療知識の開示を条件に和解することにした」

「まぁ、落としどころとしてはそんなもんだよね」


ディザもウンウンと頷いている。


「私は……」


うん、賠償金とか良くわからない。こういうときは。


「えっと。アイテール様に任せます!」


パパに丸投げしとけば後は、良しなにしてくれるでしょう。


「うん。僕もそれでいいと思うよ」


ディザのOKも出たところで、もう一人のお客様にディザと挨拶に行く。


「お待たせ」


ディザの声にフワリとはにかむのは、【エルフの国の世界樹】。ただし、見た目はディザと同じくらいの年齢に見える。【獣王国】のビーストのように成人男性ではなかった。


「愛し子様、一部欠損はありましたが。無事、世代交代が終わりました」

「ご苦労様でした。私の事は、レイラって呼んでね」


世界樹の根を燃やしてしまった分、成長しきれなかったんだね。お互いに苦笑いをしてしまった。


「さぁ、座って。お茶を飲もう」


ディザの掛け声で皆、席に着く。今日は、ラベンダーとエルダーフラワーのハーブティとティースタンドが用意してある。


「それで、レイラ。【エルフの国の世界樹】には、なんて名前をつけてあげるの」


皆が一息ついたところでディザが聞いてくる。【エルフの国の世界樹】もワクワクしながら私を見ている。


「アールヴァル。少し長いから皆にはアルって呼んで貰うのはどうかな?」


昔、何かで読んだ本に乗っていた名前にしてみた。


「アールヴァル…アールヴァル。ええ、しっくり来ました。ありがとう」


フワリと笑う笑顔は、中性的なエルフのような顔立ちでとても美しい。


「アルね。うん、いいんじゃない?」


ディザも「言い名前をもらったね」とアルと笑いあっている。


「今度、【エルフの国の世界樹】にもお茶しに来てね。内装も綺麗に整ったからお泊まりも出来るよ」

「わぁ、お泊まり行ってみたい」


普通に5歳児が食いつくとジェラルドに止められてしまった。


「いくら世界樹と言っても、俺の番を他の男のところへは行かせられない」


そう言ったジェラルドに驚きながらアルが謝る。


「ジェラルドは、レイラの番だったんだね。気が利かなくてごめんね。良ければ、ジェラルドも一緒に遊びに来て欲しいな」


ニッコリ笑うアルにジェラルドが頷いている。隣でクリストフ様がジェラルドにお祝いを伝えている。


「まぁ、竜族の執着には気を付けないとね。僕らは世界樹だから恋愛感情とかさっぱり分からないから、嫌なことがあったら注意してね」


ディザ達、世界樹には恋愛感情は無いんだ。知らなかった。


「そうだな。俺の番への執着は強いと思うんだが、レイラの負担にはなりたくないからな。やり過ぎだと思ったら俺も注意してほしいな」

「へぇ、番至上主義の竜にしては物わかりが良さそうだね」


ジェラルドはいつでも私の事を最優先で考えてくれるからね。私の嫌がることは早々しないだろう。


そんな話をしてアルとクリストフは帰って行った。クリストフは王の座を継いで当分は忙しいみたいだけど落ち着いたら、またお茶をする約束をした。


ちなみに、アルは私とディザの茶飲み友達として暇なときは遊びに来るって言っていた。確かに、ディザにしても私にしても世代交代以外には特に仕事って無いから暇なんだよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ