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「ルシファー、君も来るだろ?」


「勿論だ」と答えたルシファー様も一緒にオディロンさんの部屋に転移することになった。


転移した部屋で待機していたらしいオディロンさんがガックリと肩を落とした。


「おい…。本当に来たのかよ」


オディロンさんは今日一番のとばっちりかもしれないね。アイテール様(神様)と魔王様が自分の部屋に居ると想像したら…辛い。


「あっ!ルシファー様、魔力抑えてくださいね」


私の声に「あぁ…」と答えて魔力が小さくなる。きっと、リリアンさんの事で頭が一杯なんだろうな。顔色の悪いオディロンさんには申し訳ない。


「1階の医務室へご案内します。レイラとディザはどうするの?」


そんな状況でもちゃんと私達を気にかけてくれるオディロンさん。ディザが「カフスしとこうか」と、取り出したカフスを耳につけて医務室へと向かう。


ちょうど、到着したヴィクトリアとキアランさんが医務室に入るところだった。ヴァンが毛布に包まれた女性をベッドへ座らせている。青白い顔をしていて、焦点の合わない瞳は虚ろだ。


「リリアン!」


側に駆け寄ったルシファー様がリリアンさんを抱き締めるが、残念ながら反応はない。


「すまない。私がもっと早くに迎えに行けばこんなことには…」


言葉を詰まらせるルシファー様が見ていて痛々しい。そんな空気はお構いなしにお爺ちゃん先生が登場した。


「ちょっと診察しますからね。離れてもらえますかな」


お爺ちゃん先生に呼ばれてリリアンさんに外傷が無いか確認をしていく。うん、外傷はなさそう。


「外傷は無し、脈も正常。少し栄養失調気味である…と。心の底に閉じ籠ってしまったようですな。ふむ…あんた、ちょっとこっちへ来なさい」


お爺ちゃん先生が怖いもの知らずなのか、ルシファー様を呼びつける。


「ほれ、彼女の両手を握って少し魔力を流して…違う!少ぉしじゃ!そう、しっかり目を合わせて。魔力を乗せて名前を呼んでやりなさい、心の底から声を届けるんじゃ」


お爺ちゃん先生の指導を真剣に聞きながらリリアンさんに声をかけるルシファー様。


「リリアン…リリアン!迎えに来た…遅くなってしまってすまない。一緒に【魔国】へ帰ろう…リリアン」


ルシファー様がリリアンさんに声をかけ始めると、リリアンさんの曇って何も映していなかった瞳が少し反応し始めた。


「リリアン!わたしだ、ルシファーだ!迎えに来た」


漸くルシファー様と目を会わせたリリアンさんは何度か瞬きするとフワリと微笑んだ。


「これは…夢かしら?ルシファー様がいらっしゃるなんて素敵な夢ね。あら?何故……泣いていらっしゃるの?」


ルシファー様は、リリアンさんを抱き締めると「夢じゃない」と呟いた。


抱き締められたリリアンさんは、一度目を見開くとポロポロと涙を流し始めた。


「ルシファー様…私。ずっとお待ちしておりました。いつか、必ず迎えに来て下さると…それだけを信じて待っておりました」

「迎えに来るのが遅くなって、本当にすまない…」


漸く再会した二人を少しソッとしておいてあげようということでオディロンさんの部屋に戻ってきた。


「よかったわ」と涙ぐむヴィクトリアを隣で見つめるキアラン。なんかこちらも良い雰囲気だなぁ。


「で?結局、どうするんだ?」


オディロンさんに聞かれて皆、ソファに座って相談を始めた。


「リリアンは、このままルシファー様に【魔国】へと連れて行って頂こうと思います」


キアランがそう言うとヴィクトリアが補足する。


「明日、(わたくし)の名の元にキアランのご両親であるリース公爵夫妻と叔父の王弟殿下を王宮に召集し、事の顛末をお聞きしたいと思っております。事と次第によっては【魔国】に謝罪をさせて頂きたいと考えております」

「それなら、私が同席しよう」


ヴィクトリアの話にアイテール様が同席を提案して明日の午後に【空の国】の謁見の間にて話し合いが持たれることが決まった。


難しい話が続いているせいか、私は眠くてコクリと船をこぎ始めていたようだ。


「レイラ。先にディザと一緒に帰って寝なさい」


アイテール様に抱っこされて背中をトントンされたらいつの間にか眠ってしまったようだ。


その後、リリアンさんはルシファー様に連れられて【魔国】で療養することが決まった。


また、明日の【空の国】での話し合いの内容やキアランに対する賠償問題等を夜遅くまで話し合ったそうだ。

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