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爆笑しているアイテール様は置いておいて。アレス様を見ると無表情でこちらを見て。


「可愛いと思ったのは、冗談じゃないぞ」


と言ってきた。これは、無表情じゃなくて真剣な顔だよね。コクンと頷いてニコッて笑った。


「アレス様、レイラが作った手まり寿司食べて」


ここは、話題を変えようとアレス様に言うとアイテール様が話に食いついてきた。


「レイラは、お料理上手なんだぞ」

「あぁ、さっき料理をすることは聞いた」


そう言うと、アレス様は私を抱っこしてテーブル席に戻った。何故か、お膝の上に座らされてしまったけど。


「だいぶ、気に入られたみたいだね。手まり寿司は、これで良かったかな」


と、バルドル様もちょっと驚いているけど嬉しそう。手まり寿司のお皿を取ってくれた。


「ありがとう」


お礼を言って、どれを食べようかな?と悩む。


「どれがおすすめなんだ」


アレス様に聞かれて「うーん」と悩む。


「アレス様には、アボディと海老のお寿司と生ハムとクリームチーズのお寿司がいいかな?」

「レイラは、どれにする?」

「レイラはね。金糸卵にイクラのお寿司とサーモンのお寿司にする。お醤油を浸けて食べてね」


アレス様がお皿に取り分けてくれる。本当は、ワサビも用意したかったんだけど見つからなかったんだよね。やっぱり、お寿司にワサビは必須だと思うんだよね。


アレス様が、アボディと海老の手まり寿司を一口でパクリと食べると。「うまい」と小さい声で言っていた。マヨネーズがあればもっと絶妙な美味しさになったと思う。


「良かった」と言って私もお寿司を食べ始める。レモンとはちみつの酢飯の代わりもサッパリと食べられて美味しいかも。今度は、ちらし寿司を作ってもいいな。


二人で「美味しいね」と食べていたら、みんなも気になったらしくあっという間に手まり寿司は売り切れた。ウェスタが、みんなが手まり寿司を食べ始めたタイミングで貝のお吸い物を配ってくれた。そちらも好評だったみたいで、私は大満足です。


その後もアレス様とバルドル様が側にいて、今度行く予定の獣王国の話や、狐族の領地について話をしてくれた。狐族の領地は、やはり日本のと言うか江戸風と言ったら良いだろうか。和風の匂いがプンプンする。絶対に狐族の領地へは、連れていって貰おうと思う。


パーティーのご飯を色々食べて、いっぱいお話したら。だんだん眠くなってきた…。


「レイラ、あそこのベッドで少し寝よう?」


いつの間にかディザが来て、少し寝るように言ってくれるけど。まだ、この楽しい時間を終わらせたくなくてイヤイヤと首を振るとアレス様が抱っこしてくれる。


「じゃあ、俺と一緒に寝るか?デザートの時間になったら起こしてやる」


そう言われると安心してアレス様に抱っこされて大きなベッドに寝かされる頃には、既に寝てしまっていたみたい。


ーーーーー


悲しい…咆哮…



私の…魂が揺さぶられる…



光の届かない…深い深い暗闇…



黒い生き物…怪我をして…



赤い血が…流れている…


ーーーーー


~Side-アイテール~


始めに異変に気づいたのは、レイラの様子を見ながらベッドで酒を飲んでいたアレスだ。


「アイテール」


低い声に呼ばれてアレスを見るとレイラの額に自分の額を合わせる所だった。


ガタッと椅子から立ち上がると急いでレイラを見に行く。レイラは、眠ったままスーと涙を流していた。


スッと額を離したアレスは、眉間にシワを寄せてコチラを見る。


「誰か、捕らわれている者の強い思念とリンクしていたようだ。あれは…」

「アレス。レイラは」


アレスの肩を強く掴んでしまう。


「悪意の有るものでは無かったが、レイラの存在に気付いた者だ。注意が必要だろう」

「そうだな。ディザ、気づいていたか?」


ディザに聞くと、何かを考えていたようで私と目を合わせると頷いてこう言った。


「先日、起き抜けに夢を見たが覚えていないと言っていた事があったのですが。その後、すぐに夢の気配を追いましたが全く残骸が見受けられなかったので問題ないと思い。護りを強化するに留めました」

「いや、対応は間違っていない。今後も、レイラが眠る際には気を付けてやってくれ」


以前、レイラを夢に捕らえようとした者達とは別だろう。アレスによれば、地下牢と思われる場所に捕らわれている者だろうと言う。大きな生物だったと言っていたから魔物だろうか、これだけ神々が集っている中で思念だけとは言え入り込むのは難しい。きっと、レイラとの波長が余程合う者なのだろう。


「アイテール。みんなでレイラ様に加護を与えるわ。少しは護りが増えれば気休めになるでしょう?」


オンディーヌに言われて、短く息を吐く。


「あぁ、頼む。感謝する」


そう言えば、張り詰めていた空気がすこし穏やかになった。



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