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「レイラ様、タンサンスイを使ったジュースは出来たのかしら?」
オンディーヌ様に聞かれたから、アイテール様に下ろしてもらってジンジャーエールの瓶を持って側に行く。
「オンディーヌ様。ジンジャーエールって言うの、飲んでみて」
と言って、氷の入ったグラスに半分くらいまで入れて渡す。オンディーヌ様は、匂いを嗅いでから一口飲むと口にてを当てて驚いたよう言った。
「ジンジャーエール、とっても美味しいわ。このシュワシュワがタンサンスイなのね」
「へぇ、レイラちゃんが作ったの?俺にもちょうだい」
バッカス様にもジンジャーエールを渡すと一口飲んでビックリしていた。
「これはピリッと辛口でなかなか美味しいね」
「ジンジャーエールでお酒を割っても美味しいんだよ」
そう言うと、早速お酒を注いでジンジャーエールで割って飲んでいた。なかなか、好評のようで良かった。
ディザは、オンディーヌ様とティターニア様に森や泉の様子や私との生活の話をしているようだ。
アイテール様の隣の席に戻るとバルドル様とバッカス様と人の国に世界樹が無くなった後について相談をしていた。ちょっと、難しい内容だったから話に入れない。
アレス様を見ると泉の方を見ている。もしかして、バーベキューのコンロを見てるのかも。
「アレス様。あれは、バーベキューをするためのコンロなんだよ」
そう言うと、不思議そうにこっちを向いて
「バーベキューって、何だ?」
と聞かれたから、アレス様の手を引いてバーベキューコンロの所まで連れていく。
「ここで、この串に刺したお肉や魚介類、野菜を焼いてタレを浸けて食べるの。アレス様は、お肉と魚介類どっちが好き?」
「俺は、肉が好きだな」
『良ければお手伝いしますよ』
ウェスタがフワリと現れて、お肉の串を焼いてくれる。
『レイラ様は、どうします?』
「レイラはね、貝を焼いて醤油を垂らして食べたい」
完全に浜焼きの注文だけど、ハマグリに似ている貝があるから食べたくなっちゃったんだよね。
『ウィンナーも焼いておくよ』
「ウェスタ、ありがとう」
ウェスタといつもの会話をしていたら、アレス様が隣に膝をついて私に聞いてきた。
「妖精たちと仲が良いんだな」
「ウェスタには、お料理を教えてもらったり一緒に作ってもらったりしているの。あのピクルスは、ウェスタに教えてもらって一緒に作ったでしょ。手まり寿司は、今朝、手伝ってもらってレイラが作ったの。後で食べてね」
テーブルの料理を指差して説明をする。
「レイラは、料理をするんだな。後で、頂こう」
アレス様は、フワリと笑って頭を撫でてくれる。撫でてくれる手を見上げて気づいた。バーベキューの煙で上着、臭くなるよね。
「アレス様、上着脱がないと煙で臭くなっちゃうかも」
私が、ワタワタしながら伝えると「あぁ、そうだな」と言って上着を脱ぐとアイテムボックスにしまった。中に着ていたワイシャツのボタンを2つほど外して袖も少し折り返している。色気が駄々漏れでお子様には目の毒です。
『はい、焼けましたよ。そちらのソファにかけてお食べください』
ウェスタがそれぞれのお皿に盛り付けて泉の側に置いてあるソファのテーブルに置いてくれる。
「いただきます」
香ばしい匂いがしている貝をフウフウして食べる。少し焦げた醤油と貝の出汁がとても美味しい。アレス様もお肉を美味しそうに食べている。
「こうして外で焼いて食べるのも旨いものだな」
「うん。好きなものを焼けるのが良いんだよね。アレス様も貝食べてみる?」
思いの外、貝が美味しかったからアレス様にも勧めてみた。
「とてもいい匂いがするな、食べてみるか」
『じゃあ、貝焼きますね』
ウェスタが楽しそうに貝を一杯焼いてくれる。
『レイラ様、ピザもありますからね。食べ過ぎちゃダメですよ』
「手まり寿司も食べるから、あと少しだけね」
そんな話をしていたら、アイテール様がこちらに来て私の隣に腰を下ろす。
「アレスと仲良くなったのかい。珍しいこともあるものだ」
なんで?と首をかしげる私の頭を撫でながらアイテール様がアレス様の事を教えてくれる。
「アレスは、基本。無口で表情が動かないから怖がられるんだよ。子供嫌いだからよく泣かせてるし」
「えぇ。アレス様は優しいし、ちゃんとお話聞いてくれるよ」
口を尖らせながらアイテール様に言うと
「レイラが可愛いから特別なんじゃない?」
と笑いながら言う。反対側に座っているアレス様を見ると、私をジーと見ている。
「レイラと話をしていると心が安らぐ。可愛いしな」
と言って、ニヤッと笑った。ビックリしていたらアイテール様が「アレスが冗談言った」と言って爆笑していた。




