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ウェスタの美味しい晩御飯を食べてディザとお風呂に入って一緒のベッドで寝る。パパのおやすみのキスは無いけど、ベッドに入ればおやすみ3秒グゥだ。
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多分…これは夢…
どこからか…唸り声が聞こえる…
大きな黒い生き物が…鎖に繋がれている…
瑠璃色の瞳が…こちらを見て…
涙を流した…
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「おはよう、レイラ」
「おはよう…あれ?」
朝の挨拶をする私の寝癖を直しながらディザが「どうしたの?」と聞いてくる。
「何か、夢を見ていたんだけど…忘れちゃったみたい」
うん、全然思い出せない。直前まで見ていた夢を思い出せないって良くあるよね。ディザとそんな話をしながら朝食を食べて朝の日課になってきたお散歩に行った。
今日は、アイテール様がお昼ご飯の時間にはお仕事を終えて来てくれた。
「レイラ。ディザと一緒にお勉強したんだって?」
アイテール様に言われて、昨日ディザと相談したギルドの話をすることにした。
「あのね、アイルパパ。レイラ、ギルドに登録しに行きたいんだけど、行ってもいいかな?」
そう言うと、ディザが説明を補足してくれた。
「昨日、世界樹の世代交代で世界中を訪れることになると説明したんですが、その時には観光や美味しいものを食べたいね。と言う話になりまして、出来れば自分で稼いだお金を使いたいと言うことみたいなんです。きっと、アイテール様がお小遣いをくれますよ。とは言ったんですけどね」
ディザがそう説明すると、アイテール様はハァ。とため息をついた。
「ビックリした…。私は、てっきりレイラが早く独り立ちをしてここを出ていきたいと思っているのかと…」
そう言われた瞬間、アイテール様の服をギュッと握ってイヤイヤと頭を振っていた。
「あぁ、レイラ。ごめんね、そんなことはさせないから大丈夫だよ。私の早とちりだった」
背中をポンポンとされて、アイテール様の顔を見る。
「ディザの言う通り、お小遣いをあげるつもりでいたんだけど。レイラは、自分のお金が使いたいんだね」
「うん…あのね…。パパやディザにプレゼントやお土産を買うのは自分で稼いだお金がいいの」
アイテール様を見上げると手で目元を覆っていた。
「ハァ。そんなこと言われたら駄目なんて言えないじゃないか」
「アイルパパ、本当に?ギルドに登録してもいいの?」
アイテール様の膝の上でピョコピョコ跳ねながら聞いてしまう。
「いいよ。そのかわり、一人では絶対にギルドへ行っては駄目だよ」
「ハイッ!」と手をあげて約束する。
「レイラ、妖精達が一緒に行ってくれるって言っても付いていっちゃ駄目だからね」
「え?なんで?」
ディザに言われて首をかしげる。
「妖精達は、気紛れだから。気になることがあったらレイラを置いて何処かへ行っちゃうんだ」
なんですと!妖精さんは、信用できないと言うことなの?気紛れにも程があるよね。私が一人でOh!と嘆いているのをよそに、アイテール様とディザが相談をしている。
「近い内にギルドへ行って登録してしまおうか」
「そうですね。何処のギルドにしますか?」
ディザの問にアイテール様が考えている。
「そうだねぇ、隣の獣王国のギルドがしっかりしているから、そこかな?」
「オンディーヌ様がいらっしゃる水の国のギルドも良いかと思いますが」
相談の結果。獣王国のギルドは、大きくてしっかり管理されているからそこに行ってみることになったみたい。この世界に来て街に行くのは初めてだからとても楽しみ。
でも今日は、森の精霊が生まれたか見に行かなくちゃね。森の中にはまだ、動物が居ないからとても静かなんだよね。風で木の葉が揺れる音はするけど、鳥の声すらしない森の中はとても寂しい感じがする。早く動物達が来てくれることを私は、とても楽しみにしているの。




