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ネコは異世界で闊歩する。  作者:


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第17話 街に潜入である。

「ほう、ここが……」

「えぇ、私達商店の拠点がある街、ブルラゼです。」


 空はすっかり日が落ち、夜へとなっていた。道中大きなトラブルが無かったからマキリーの言った通りであるな。

 しかし、ゴブリンやコボルトと言ったゲームでも御なじみの魔物が現れたのであるが――


「む、あのみょうちきりんな小人?はもしかしてゴブリンであるか?」


 大群とはいかないまでも、20体ほどのゴブリンが馬車の前に立ちはだかる。盗賊の真似事であるか?

 初めてのゴブリンとの遭遇に少なからず興奮を覚えたのは吾輩だけであって、マキリーは大きな反応を示さない。それどころか、馬車の馬でさえ、ゴブリンを見ても動揺せず変わらぬ歩調で歩いている。


「えぇ、そうです。しかしゴブリンはスライム同様よく見る魔物なのですが……?」

「知らんある。吾輩は見聞こそあるが、実際にゴブリンは見たことはないである。」


 我ながら苦しい言い訳かもしれないが、それ以上マキリーは追及してこなかったので一安心。別に転生者であることを隠す訳ではないが、ばれたことで何が起こるかは分からない以上、下手にばらすわけにもいかないだろう。

 

「まぁ……ネコさんはそのくらい辺境の土地にいたんでしょうね。さて、ゴブリンですが、ネコさんはそのまま休んでいてください。パム、頭を下げなさい。」


 パム?名前の様なものを呼ぶと馬が、その名に反応し、マキリーに言われた通り頭を下げる。……お前、パムって名前だったであるか?

 パムが頭を下げるとマキリーはどこからか現れた剣を掴み、片腕で横に薙いだ。

 するとどうだ。ゴブリンが一斉に体に一筋の切り傷を受け、地面に伏したではないか。これがマキリーの力であるか!?……恐ろしい。


 ――てなわけで、コボルドもゴブリン同様に対処され、そのレベルの魔物などマキリーの中では大事では無いらしく、彼女が全て対処した。

 無表情でいとも簡単に魔物を薙ぎ倒す様は見ていて怖かったである。


「さて、ネコくん。ここで問題があるんだ。」

「問題であるか?」

「うん。あそこに門番がいるだろ?」


 流石に数刻と経てば復活したのか、荷台から顔を出したニアは一方を指差す。

 その方向には2人の男が立ち、お揃いの装備を身に着けている。あれがニアの言う門番であるか。夜中であるのにご苦労なものである。


「いるであるな。それで?問題とは?」

「君だよネコくん。魔物だということ忘れていない?」


 あっ確かに吾輩魔物であるな。見たこともない魔物がいる馬車を門番が通すわけがないであるな。


「だけどまぁ、安心していいよ。彼らを出し抜くのはそう難しいことじゃない。……と言う訳で、まずは収めてもらった荷物全部出してくれ。」


 なるほど、荷物でパンパンなはずの商人の馬車がすっからかんだと怪しまれてしまう恐れがあるであるな。

 言われた通りマジックボックスからニアたちの荷物を全て外に出す。改めてよくこんな大量の荷物を収納できたであるな。感動するである。


「で、ネコくんには荷物の影に隠れておいてほしいんだけど……もしかしたら隠れる用のスキルやら魔法やら持ってないかな?」


 隠れる用の魔法にスキル……ふむ、うってつけのものがあるであるな。


「シャドウダイブが使えるであるぞ。」

「ほう!闇魔法か。それは好都合だ、それで隠れておいてくれ。」


 無言で頷き、シャドウダイブを発動させ、大きな木箱の陰に隠れる。そして同時に、スキル気配遮断を発動させる。このスキルの事をニアに教えなかったのは――まぁ別に信頼してない訳じゃないけど……手札は隠しておくに越したことは無いであるからな。


 影の中でも振動は伝わってくるようで少しガタガタ動いた後、ぴたっと停止したかと思うと遠くから男女の話すような声が聞こえる。男の方は聞いたことがないものであるが、門番であるな。女の方はもちろんニアの声。


 声だけは分かるであるが、それだけだ。何を話しているかなんて全く聞こえない。

 聞いてみたいのに聞こえないとは何とも歯がゆいであるな。しかし、門番に吾輩がいることを知られたとしたら後が恐ろしいである。だからここは耐えるである。


 む?声が止んだであるな……おっと馬車も動き出した。

 

「ネコくん、もう出てきても大丈夫だよ。」


 ノックするような音に加え、ニアの声もしたので言われた通りに吾輩は影の中から飛び出す。

 馬車の中だから外の様子は分からないが、賑やかな人の声が聞こえる。

 どうやら吾輩は、街の潜入に成功したようであるな。

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