お見合いパーティーと乱入者 4
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マリッジブルーどころか、それの未満も未満、お見合いパーティーブルーな、ふざけたことを言うお兄様はそのあと完全に家族に無視をされて。
朝食を終えたわたしたちは、昼からはじまるお見合いパーティーの準備に取り掛かった。
すでに使用人たちが庭にテーブルと椅子をセッティングしてくれていて、キッチンではパーティーに出す軽食などが着々と作られている。
お餅をアピールするのだと言い出したお父様たちによって、昨日つかれたお餅を使った料理やお菓子もあった。
うちの国の貴族は新年パーティーで食べたからおなじみだろうけど、国外から訪れる人の反応はどうだろうか。
……これはまた、新年パーティーのようにお餅アピールが必要かしら?
なんて思いながら、キッチンに行ってつまみ食いさせてもらったのは内緒である。お餅はね、作り立て一番おいしいのよ。
冷めたら美味しくないから、容器に一応保温の魔術もかけておくけど、やっぱり、作り立てよりは味は一段落ちる。ま、それでも美味しいけど!
薄いグリーンのテーブルクロスが目に楽しい庭では、一足早くに手伝いに来てくれたアンネリーエがティーカップの数の確認をしてくれていた。
今日のアンネリーエは、薄ピンクの華やかなドレスの上に、お見合いパーティー参加者ではないことを示すため、白いふりふりのエプロンを身に着けている。
「ありがとうね、アンネリーエ。お礼に、お兄様が作った『乾く君』の試作品を一つプレゼントするわ」
「それが何かはわかりませんけど、キール様が作ったものなら何でも貰って毎日拝みます」
アンネリーエも徹底していると思う。
「拝まないで使って……」
アンネリーエのお兄様へのファン心が天元突破して崇拝までしはじめている。怖いから戻ってきてほしい。このままなら宗教すら起こしそうだから。
「それにしても、今日のキール様はアンニュイで素敵ですね」
「パーティーがはじまれば、いつものキラキラ笑顔に戻るわよ」
「それもそれで素敵です」
なんでもいいのか。
わたしは、はあ、とため息をついて、テーブルの上に飾られている花を確認しに行った。
うちの使用人たちはみんな優秀だから、花がしおれているなんてことはないでしょうけど、こういう最終確認もお仕事の一つなのである。
主人一家からオッケーが出てはじめて使用人たちは安心するらしいからね。
「お嬢様、早く来てください。お化粧をはじめないと間に合いませんよ」
わたしを探しに来たギーゼラが、こちらに駆けてきながら言う。
今日は他国の方々も来るから、わたしは聖女として注目されるのだ。
そのため、ギーゼラがきつさ二割減メイクを施すと息まいていた。
「わかったわ。アンネリーエ、ごめんね、ここ任せてもいいかしら? もうすぐお母様が来ると思うから……」
「お任せください!」
アンネリーエに謝って、わたしはギーゼラに連れられて邸に戻る。
今日は忙しい一日になりそうだった。
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今回ちょっと短めなので明日も投稿します!







