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第8話 [放課後デート①]

 その後は普通に教室へ戻ったのだが、なんだか三人が視線をバチバチと交わしていた。

 何かあったのだろうか。

 授業はダラッと受けて放課後。


「姉貴! 行きましょう!!」


 さっき私と放課後にオススメの本を見に行こうと言ったので、テンションが上がっているようだった。

 バックに最低限の教科書を入れ、教室を出た。


「チッ」


 クラスメイトの誰かから舌打ちをされる音がした。まあクラスの中心人物がとられたようなものだから仕方があるまい。

 今度対策も考えるか……。


 教室を出るとちょうど真雪ちゃんにバッタリとであった。


「あ、フミちゃん! 今日図書委員があるんだけど一緒に来てくれないかな……」

「あー……今日はちょっと用事があるから……。また今度行くから!」

「そっかぁ……絶対だからね!!」


 それだけ言い残し、真雪ちゃんは図書室へと走り出して行った。

 走っている際、真雪ちゃんについている二つの爆弾は縦にものすごい揺れていた。華織は睨んでいた。


「旦那様!」

「あ、海宝さん」


 これまた偶然に海宝さんに会った。


「申し訳ございませんが今日は家の用事があるので付き添いはできないのです……」

「いや……別に付き添いとかいらないから……」

「それと華織さん?わたくしがいないからといって、変なことをしないでくださいね?」

「へへへへ変なことなんかしねぇよ!!」


 動揺している……。華織は私に何か変なことをしようとしていたのか……?


 私は少しずつ華織から距離を離した。


「ちょ……姉貴! そんなことしませんから!!」

「ほんと……?」

「ほ、ホントデスン……」


 私はさらに距離をとった。


 妙にカタコトだったから明らかに何かしようとしていたな…?


「嘘嘘、ほら行くよ」

「姉貴……!」


 やれやれと思いながら私たちは近くの本屋へ向かうことにした。



〜〜



「えへへ〜! 姉貴の腕〜」


 現在私たちは本屋へ向かっているのだが、華織が私の右腕に抱きついて頬ずりをしている。たまにクンクンと匂いを嗅いでいる。

 それはちょっと恥ずかしい。


 人通りが多くなってきており、私たちチラチラと見る人が多かった。

 私のような地味女子になぜこの美少女が抱きついているのか。他にも様々な疑問を抱いているのだろう。


「あの……華織……?」


 私は我を忘れているであろう華織に話しかけた。


「むふふ〜!!」


 案の定、返答はなかった。まあ我を忘れていたら返答なんか期待しないほうがいいだろう。


 さてこの状況をどうしようか。

 華織は本当に幸せそうな顔をしているから……まあ別にそこまで嫌でもないからいいか……。


 私はそのまま歩みを進めた。



〜〜



「ほら、ついたよ」

「ハッ! あたしは一体何を……」

「忘れたとは言わせないぞ」


 学校から一番近い本屋についたので華織には私の腕から離れてもらった。

 離れる時には名残惜しそうにこちらを見つめていた。


「んー……。どれがいいかなぁ……」


 私たちは店内に入り、ラノベのコーナーでうろうろとしていた。


「姉貴が選んだものならなんでもいいですよ!」


 華織は親指を立ててニカッと笑っていた。

 華織は絶対昔からアウトドア派だな。オーラがにじみ出ている。


「と、なると難しいのはまだ早いな……。これかな」

「これですか?」


 手に取ったのは異世界ファンタジー系の作品。ざっくりまとめると、ファンタジー世界におけるゼリー状の魔物に転生するやつ。

 ここまで言ったらわかるだろう。


「内容面白いし、飽きないと思うからね」

「じゃあ買ってきます!!」

「え、ちょ、待っ———」


 華織はダッシュで小説を買いに行ってしまった。

 私は走り去っていった方向に手を伸ばしたままフリーズしていた。


「……他にもオススメあったのになぁ……」


 まあ、いっか!

ランキング載っててびっくりしました。


10位以内に入ってみたいので高評価ください(懇願)。

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