両陛下に真実の愛の本当のところを教えてもらいました
ええええ!
私はもうルードの婚約者になっているの?
私はルードを振り返った。
「いや、その……」
ルードが口を濁してくれた。
「そうだ。連れてくるまでにずいぶんかかったの」
皇帝陛下まで、おっしゃるんだけど。
そんなに前に決まっていたの?
私は全く知らないんだけど。
私はエルザ様を見た。
「まあ、仕方がありませんわ。決まった後、エレオノーレが亡くなったり色々ありましたから」
「えっ?」
その言葉は私にとって寝耳に水の話だったのだ。
「私とルード様の婚約の話はお母様が亡くなる前に決まっていたのですか?」
私は驚いて聞いた。
「まあ、クラウちゃんはやはり聞いていなかったのね。ルードには『早く話しておきなさいよ』って言っておいたのに」
エルザ様はルードにだから言わんことじゃないという顔をされた。
「えっ、ルードどういう事なの?」
私がルードに聞くと
「いや、申し訳ない。クラウが忙しそうにしていたから言いそびれた」
ルードが申し訳なさそうに言ってくるんだけど、
「この子ね。子供の頃、カッセルから帰ってきてから、あなたのことが大好きになっていたのよ」
エルザ様が言われたことが私には信じられなかった。だって、私にあんな風に意地悪ばかりしていたルードが私を好きだったなんて!
「まあ、男の子が好きな子をついいじめてしまうというのはよくある事じゃない」
エルザ様が言ってくれるんだけど……
「それで、この子が8歳の時に婚約者を決める段になって、あなた以外と婚約するつもりが無いって言い張って聞かなかったのよ」
「えっ!」
私は思わずルードを見た。
ルードは目を泳がしている。
なんか絶対に嘘くさい。
でも、陛下も皇后様も否定されないし、二人して頷いていらっしゃるんだけど……
「それで私とエーリックの間ではそうするしかないかということで、一応あなたのお母様の了承も取ったのよ」
「本当ですか?」
私は全く聞いていなかった。そんなことがあったら教えてほしかった。
「あなたにエレオノーレが教えなかったのは、その頃は丁度あなたのお祖母様が亡くなったところでドタバタしていたからではないのかしら。あなたがもう少し大きくなってから話すつもりだったみたいよ。でも、その後すぐにエレオノーレが流行病で亡くなったでしょ。だからあなたに話していなかったんだと思うわ」
エルザ様は説明してくれた。
「あのう、でも、私、当時は男爵家の令嬢で、ルード様の婚約者には到底身分が釣り合わなかったと思うのですが」
私は聞いてみた。
「まあ、元々その方の祖母のエデルガルトは、ライゼマン公爵家の出だ。いざとなればライゼマン公爵家の養子となれば問題はあるまい」
皇帝陛下がおっしゃるんですけど、
「でも、あの祖母は帝国を出奔したのですよね。陛下を振って」
私は思わず口が滑ってしまった。
「クラウちゃん!」
エルザ様に叱責されて
「申し訳ありません」
思わず私は両陛下に頭を下げた。
「いや、誤解しているようだが、エデルガルトの孫のクラウディア、儂とエデルガルトは婚約していたが、別に愛し合ってはいなかった。家のため婚約はしていたがな。
儂は伯爵家の出のこのツェツィーリアの方を好ましく思っていたし、エデルガルトはオイシュタットを愛していたのじゃ」
「「「えっ!」」」
私たち三人はその言葉に唖然とした。
「儂がツェツィーリアを愛してしまったのが早かったやもしれん」
「そうなのよ。それで、伯爵家の私と陛下が婚約できるように、エデルガルト様が一芝居打ってくださったのよ」
両陛下がなんかとんでもないことをさらりとおっしゃってくれたんだけど……
「じゃあ真実の愛というのは嘘なんですか?」
私が驚いて聞くと
「いや、エデルガルトは情熱的な女で、オイシュタットを愛していたのは事実だと思うぞ」
「本当に二人は仲良くしていたわ」
皇后陛下まで言われた。
「私たちはよく4人で遊びに行ったのよ」
「そうなんですか!」
エルザ様も驚いて聞いていた。
「周りを誤魔化すのはそれが一番だったからな」
「じゃあその時から、お義父様とお義母様は相思相愛で」
「そう、オイシュタット伯爵とエデルガルト様も愛し合っていたわ」
「じゃあそのまま結婚すれば良かったのではないのですか?」
驚きから立ち直ったルードが聞いてくれた。
「当時は儂の父もライゼマンの前当主も厳格な方での。到底許されるような状況には無かったのじゃ」
皇帝陛下はおっしゃられた。
「でも、お義父様。それではオイシュタット家の降爵は必要なかったのではないのですか?」
エルザ様が聞かれた。
「当然儂は反対した。でも、父と公爵が譲らなかったのだ」
「エデルガルト様には本当に申し訳ないことをしたわ」
「父が亡くなった後にエデルガルトとオイシュタットには元に戻すようにカッセル国王に話すと言ったのだ」
「でも、お二人とも、陛下が属国とはいえ他国の内政に関与するのは良くないとおっしゃられて」
「男爵の方が余計な社交が無くなってエデルガルトと一緒にいる時間が増えてこれはこれで楽しいとか抜かしておったのじゃ」
陛下が苦虫をかみつぶすような顔でおっしゃられた。
「私と陛下は分刻みのスケジュールに追われておちおち逢瀬も楽しめなくなったのに」
「本当にうらやましいと妬んだのじゃ」
二人して言ってくれるんだけど、それでもお二人はとても仲睦まじそうだった。
「それで、そのままにしておいたのだ。クラウディア嬢が継母に虐められているになんて思ってもいなかった。本当に申し訳なかった」
「本当にごめんなさいね。あなたは田舎でエデルガルト様のようにのびのび元気に過ごしていると思っていたのよ」
両陛下に頭を下げられるのはとても居心地が悪かった。
「いえ、そのような事は」
「まあそういうことだから、儂らの結婚できるようにしてくれたエデルガルトらの孫は儂らにとっても恩人の孫なのじゃ」
「だから、大船に乗ったつもりでお嫁に来てね。反対は一切させないから」
二人して言ってくれるんだけど……
ええええ!
私ってルードの婚約者に決まってしまったの?
というか私が8歳の時からルードの婚約者だったなんて今初めて聞いたんだけど……
私は頭の中が真っ白になっていた。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
いきなりの真実を知らされて、驚くクラウ。
どう動く。
この続きは今夜です。
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果たして、お義兄様の想いはエリーゼに通用するのか?
山場です。
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