ルード視点 北の森に魔物が大挙して現れたので、それを制圧するために向かいました
今回のクラウ襲撃の主犯格のロメウスは中々捕まらなかった。
まあ、教会が必死にかくまっているはずだ。
騎士団が大司教が反対する中で大聖堂の端から端まで捜索したが見つからなかった。
北の森に逃げ込んだという目撃談があって騎士団が探しに出たが、まだ見つかったという報告は無かったのだ。
俺はこれで教会が諦めるとは全く思っていなかった。教会は聖女を俺の配偶者にして帝国内の影響力をどうしても強めたいみたいだった。
絶対に次の一手を打ってくるはずだ。
俺はクラウには言わなかったが、クラウの護衛を5人体制にして寮の内外も護衛させるようにしたのだ。
教会が狙うとしたら絶対にクラウだと思ったのだ。
クラス内には無敵のコンスがいるし、放課後は俺が守る。
こうしておけば教会も中々クラウを襲えないはずだ。
しかし、教会の出してきた手は俺の想定外のことだった。
北の森に大挙して魔物が現れたというのだ。
ロメウスを捜索していた騎士団が襲われたらしい。
多くのけが人が出た模様だった。
まさか、魔物の大発生に教会が噛んでいるとはさすがの俺も思わなかった。
直ちに帝都にいる騎士団の大半と地方にいる一部の騎士団の派遣が決まった。
それと同時に聖女を中心とした癒やし魔術部隊と聖騎士団の派遣を教会に要請したのだ。
しかし、教会はその要請を蹴ってくれたのだ。
聖女をないがしろにする皇家の要請には応えられないと。
俺はそれを聞いて完全に切れていた。
どのみち俺と聖女の婚約を俺が頷かないからそういう姑息な手段で脅してきたのだ。
こちらが折れるのを待っているらしい。
「どうするつもりなのです?」
俺は王宮に飛んで帰って一応父と祖父に聞いた。
「ふんっ、教会がそのつもりならこちらはこちらの戦力だけでやるまでだ。帝都周辺部に総動員令を出した。スタンピードは絶対に北の森で叩き潰す」
鎧を着た父が言った。
皇太子自らが出陣するつもりらしい。
皇太子直属の第一騎士団1万名にも出撃命令が出ていた。
「では、父上。俺も出ます」
俺は父に申し出た。
「しかし、ルード、あなたはまだ学生では無いですか」
母が言ってきたが、
「コンスが行く気満々なのです。下手に暴れると北の森が廃墟になります」
「コンスを押さえるために出るというのか? でも、学園の守りはどうするのだ?」
父が聞いてきた。
「騎士達を5名残していきます。魔物は一気に殲滅した方が良いでしょう」
「それでは少ないでしょう。私の騎士を5人ほど派遣しましょう」
母が言ってくれた。
「しかし、母上の守りが薄くなりませんか?」
俺が心配して言うと
「なあに、心配するな。まだ儂がいる。近衛の残りと儂がいれば魔物の大群が皇宮に襲いかかってもなんとかしてやるわ」
おじいさまはまた自分は現役のつもりでいるのだ。
まあ、戦力にはなるとは思ったが。
俺はその足で学園に帰った。
学園ではコンスが出る気満々で鎧を着て出撃の準備をしていた。
馬も乗馬部から調達してきたらしい。
「えっ、ルードも出るの?」
鎧姿の俺を見て心配そうにクラウが聞いてきた。
「ああ、コンスを押さえる人間もいるだろう」
俺が言うと、
「ふん、よく言う。足手まといになるなよ」
コンスはやる気満々みたいだった。
なんで、魔物の大群が現れたかよくは判らなかったが、教会がらみだったら、碌な事では無いような気がした。
そう簡単には殲滅はできないだろう。
学園からは俺を含めて10名が出ることになった。
そのまますぐに出撃して現地の騎士団と合流するのだ。
「クラウ、すぐに帰って来るから」
俺は不安を首を振って頭の中から追い出すと、クラウにそう言った。
「うん、待っている」
そう言ってクラウが俺を見上げてきた。
クラウの緑の瞳はもの言いたげに潤んでいて、そのピンクの唇は俺を誘っていた。
俺はそのクラウの唇に自分の唇を重ねたのだった。
その瞬間クラウの目が限界まで広がった。
「キャッ」
「ええええ!」
「ヒューヒュー」
女どもの悲鳴と男達の歓声が響く。
「じゃあ、言ってくる。後は頼んだぞ」
俺はクラウの護衛につく騎士達に手を振ったのだ。
唖然としていたクラウは俺が歩き出すと
「ルード、絶対にすぐに帰ってきてね」
俺に言ってくれた。
「ああ、瞬殺で魔物達をやっつけてくるさ」
俺は格好つけてクラウに言い放った。
「クラウ、心配するな。私がいる限り、無敵だ」
コンスが俺に続いて言ってくれた。
というか、俺がせっかく決めた後に言うな!
俺は文句をコンスに言いたかった。
まあ、最大の戦力がコンスなのは違いないが……
俺たちは騎乗した。
俺は俺に手を振るクラウに手を振ると、一目散に北の森に向かったのだ。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
最後の山場です。
今週中に完結する予定です。
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