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まさか異世界で3倍速いとディスられるとは思ってなかったよ。俺通常型なの?


38日目  朝  冒険者ギルド 訓練場



 見学。見て学ぶ、見ることにより自分の経験や知識にし役立てる、見た事のない物を見知ったり、客観的に見ることで理解したり、見て学ぶとても多い。そして今見ている者はこの世界で最強の技量、迷宮皇の剣技、戦いの技術としてこれ以上の物は無いんだろう。でも見えないんだよ?


 目には見えている、目に映ってる、ただ気が付いた時には斬り終わっている?


 Lvはまだ17、使役されてLv1から生まれ変わったらしい、だから元迷宮皇のアンジェリカさん。年齢も17らしい?まだステータス的には強くない。


 そして、その技に打ち合えているLv18、自称モブで強くなれないチートも持たない遥君。


 一歩だけ歩くと剣は振り終わっている。


 半歩を揺れる様に動き一閃する。


 舞踏の様に、舞っているかの様に。


 其処にあるのは冷酷で精密な優雅さ。


 一分の狂いで命を落とす剣戟の舞。


 そう動きが鋭利過ぎて見切れない。


 優雅に見えるが鋭利過ぎる動作の重ね。


 だから見切れない。目に映ってるだけで見えていない、見切れていない。


 私よりもSpEは低い、三分の一も無い。動きは私の方が3倍以上速いのに速さに付いて行けない。


 せーので剣を振り始めれば、3倍以上速い私が斬られる。


 私に無駄が多いのだ、あれは無駄をすべて削り落とした剣技の応酬だ。


 踏み込みも、溜めも、振り被りも、力みも、振りも、振り切りも無い、振ってさえいない、剣先が最短距離を無拍子で滑る、一拍の間も半拍の間も無く動いた時には斬り終わっている。斬ると思った時に斬り終わっている、だから強い。


 私は打ち合えない、速度が3倍あっても私の十分の一の手数で斬っちゃうのだ。だから切り遅れる。


 ウエポンスキルでもあの速度に対応できない、寧ろ発動したら止める事が出来ないウエポンスキルなんてカモられるだろう。その動きしかできなくなるのだからカモだ、ネギ付きだ、もう鍋に飛び込むようなものだ。


 だからLvの壁を打ち破れる、あれはLv差が有っても当てる事も除ける事も出来ずに斬られる。


 きっとウエポンスキルなんて無駄な動きの塊にしか見えてないのだろう、剣技とは別物なんだ。


 一歩出す足運びも遅い、腕の振りも遅いし、肘の伸ばしも遅いし、手首の返しも遅い、肩の絞りも遅い、重心の沈みも遅いし、剣の軌道だって遅い、降り抜きも遅い、一つ一つは削りきった無駄のない動きでも私より遅い、ただ其の総てが同時に終わる、それが速いんだよ!私が斬ろうと動作を始めた時には斬り終わってるんだよ。


 延々と繰り返される斬撃の応酬、極限まで切り詰められた技が乱れ散る、銀閃だけがただ目に映る。


      ・

      ・

      ・


 ようやく終わったみたいだ?ボコボコの遥君がとても悪そうな笑顔をして話しかけて来た。


 「委員長も訓練頼んだら?勉強になる?って言うかボコられる?って言うか苛め?まあ、虐待だけど為になる?みたいな?」


 ボコられた遥君は休憩するみたいだ、ボコらせる気満々だ。でも絶対に貴重極まりない経験だ。


 「う~ん、きっと掠りもしないけど、Lv差が有るから万が一が危ないよ?訓練って言っても?」


 「え~と?無理?甲冑さんアイテムチートだからLv差が有っても倒せないよ?しかも掠りもしないどころか掠る気がしない?から?」


 無理らしい。掠る可能性すら見つけられないらしい、あの速度で戦う遥君でもだ。そのうえ、当てても無理だそうだ、チートな甲冑みたいだ。其れってどうやったら勝てるの?稽古になるの?ボコられるだけなの?


    ・

    ・

    ・


 ボコられました。私はもちろん女子全員ボコられ、20人総がかりでもボコられました。


 魔法無しでは戦いを交える事すら出来ない程に一方的です。


 魔法も避けたり、斬ったりしちゃいます、ちなみに当たっても効果無効らしいです、きっとこの人世界最強です。


 現在は柿崎君達までボコられています。


 あの5人は近接戦最強の筈なんだけど?近接戦でやられちゃってるよ?誰も動きに付いて行けない。速度には付いて行ける筈、3倍速いんだよ?でも動きにすると付いて行けない、動けば動く程に差が開くだけ。動作が小さく、無駄が無く、美しい、奇麗なのだ。機能美を重ね合わせ作り上げられた造形美を舞う様に繋ぎ併せた究極の美しさがそこにある。


 そして皆が倒れ伏す中一人佇むアンジェリカさん。見惚れる、羨望し、驚嘆する、人は此処まで強くなれるのだと。


 Lvの高さによる強さなんて強さの一つでしか無いのだと。


 私達はもっと強くなる事が出来るのだと。


 勿論、全員で醜く力押しで押し潰せば、犠牲も構わず群がり尽くせば倒せるのだろう、Lvの力で死兵と化せば圧殺できるのだろう、膨大な被害も厭わなければ出来る。もしこの人が敵だったら其れでしか倒せない、戦っては勝てない。潰すしかできない、この人と戦ってはならないのだ。


 そしてそんな凄い強さを持った人を、誰かさんがチートアイテムで固めてしまってるのだ。貢がされたらしい、、、使役者なんでしょ?


 私も皆もボコられては挑み、またボコられる。


 アンジェリカさんは丁寧に、伝えようと、教えようと、導こうと、して見せようと、教本の様に剣を振るい、技を見せ、技を返して見せてくれる、25人を同時に相手しながら、皆に指導してくれている。それ程迄に差が有るんだ、Lvではない強さに。



 因みに、残る4人は遥君にボコられている。頭は未だ焼かれて無いみたいだ。泣いてるけど。


 私達は未だ強くなれる。


 私達はもっと強くなれる。


 小田君達は精神的に強くなっただろう。


 後で聞いたら、恐怖耐性が取れたらしい。


 怖かったんだろう、頭燃やされるのが。


 結界魔法もレベルアップしたそうだ、「集中結界」と「複合結界」と言うスキルも取れたらしい。


 いろいろ強くなっただろう。特に耐性が。


 うん、みんな少しだけ強くなれた、そしてまだ強くなれる。


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