表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/321

笑ってお迎えと怒って説教は似ても似つかないと思う。



34日目  最果ての迷宮 56F



 55Fのスパイク・バッファローと56Fのメタル・マイマイに手間取りまだ56階、小田君達の踏破した最下層の46Fからいまだに10階しか進めていない。


 遥君が落ちてもう一週間、私達が下層を目指して6日目、なのにたった10階。


 迷宮は一度踏破した人にだけその階の扉が開きそのまま降りれるのだけど、迷宮が死んでしまい扉が開かなくなった、街まで補給に行くのにも時間が掛かる、今戻ると46階から歩き通さなきゃいけない、魔物は出ないが結構な距離だ、食料は10日分しか持ってきていない。


 このまま行っても、2~3日が限界だろう、このまま行くか?一度戻るか?買い出し部隊を出すか?


 「このまま行って、食料が無くなったら引き返せばいいよ、46階の扉は空いたままだし、56階までは魔物が居ないんだから1日ちょっとで戻れるよ。」


 「うん、買い出し部隊を出して、残りの戦力で57Fに行くのは危険だよ?スパイク・バッファローに追い掛け回された時みたいに人数不足で支え切れなくなるよ。」


 「そーだねー、前衛が減るとスパイク・バッファローの二の舞、後衛が足りないとメタル・マイマイの二の舞だよ。」


 やっぱり分散は危険だ、55Fのスパイク・バッファローには前衛が蹴散らされて苦戦したんだ。斜形陣で流して牛の背後から攻撃までは良かったんだよ、牛が後ろ蹴りするまでは、、、だって、今時牛なんて見る事無いんだよ?牛が後ろ蹴りするなんて知らないよ?農業科とか無いんだから?それで前衛が足りなくなって追いかけられて撤退、倒すまで更に丸1日。


 次の日は56Fでメタル・マイマイ。鉄の甲羅のカタツムリ、物理攻撃が通らなくて、魔法戦になったんだけど魔力切れ、MP茸を食べながら頑張ったんだけど倒し切れなかった、前衛の攻撃で殻に引っ込むから被害は無かったんだけど時間が浪費させられた。


 終わってみればもう深夜、明日は57F、まだ偵察も出来てないし、魔力の回復にも時間が掛かる。


 だって、世の中遥君みたいに大量のお塩なんて輸送して無いんだよ?


 サイクロプス戦、ウェアウルフ戦、そしてスパイク・バッファロー戦で前衛の装備も危なくなってきている、修理だって必要だ。


 明日偵察して、相手によっては一時撤退も有りえるだろう、こんなに頑張って、みんな限界まで戦って10階しか降りられてない。


 まだ、56層おそらく遥君は未だ40層は下に居る筈、100層以上有ったとしたらどれ程遠いか分からない。


 「今日はゆっくり休んで、明日遅めに起きてから偵察を出します。それで、危険そうなら一時撤退します。」


 みんな、頷いてくれる。分かってくれている。でも、誰からも返事は返ってこない、口に出したくないんだ。


 「先に後衛優先で食事して、寝ちゃってねー」


 「「「了解。」」」


 みんなゴソゴソと動いていく、疲労も限界に近いかも知れない。帰還すべきだろう、皆も解っている。


 恐らく明日が限界だ、それ以上の無理はさせられない。


 56層でこんなにボロボロなんだ、こんなに魔物が強いんだ。


 100層なんて、100層なんかで生きてるなんて、1週間もの間、たった一人で。


 きっと、私達よりボロボロなんだ。


 きっと、私達より疲労しきってる。


 きっと、私達よりとっくに限界だ。


 今も生きてるなんてとっくに限界を超えている。


 そう思ってしまうと、そう考えが過るから、みんな戻りたがらない。


 自分たちが限界なのが解っていても、もっと酷い限界で戦ってるからと。


 今日も、島崎さん達のレベルは上がっていた、どれ程の経験値が分配されてきてるのだろう?


 島崎さん達は自分のレベルが上がる度に心配そうな顔をして、焦りを感じているみたいだ。


 だって、それ程の経験値が分配される魔物はどれほど迄に強く、どれだけの数を倒し続けてるのか?


 きっと、限界なんてとっくに超えて、たった一人で帰ってこようとしてるんだ、皆の所に。


 100層だとしても、長期戦になる。


 準備を、計画を見直さなきゃいけない。


 だから。だから、撤退しなきゃいけないんだ。


 だって此処にいる。此処に有る命は、絶対に守らなければならないから。


 遥君に命を捨ててまで守られたんだから、私達はみんな。


 その遥君を迎えに行くのに、被害者なんてぜったいに出せない。


 万が一でも危険なら撤退させるんだ。


 そうじゃ無いと、きっと遥君に怒られるから。


 そうじゃ無いと、顔向けができないから。


 笑ってお迎えしに行かないといけないんだよ、私達はみんなで。



誤字ぺったんさせて頂きました、いつもありがとうございますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6月25日にひとりぼっちの異世界攻略コミック24巻が刊行されます。 公開された書影はこちら。

i970590/


アニメ公式ページ
アニメ公式ページはこちら

オーバーラップストア購入ページ
オーバーラップストア購入ページはこちら

アマゾン購入ページ
アマゾン購入ページはこちら

既刊一覧ペタリ

i947047/
i970596/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ