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ほんのちょっとちょびっとだけのちょっぴり。


28日目   ダンジョン 最下層



 黒い、漆黒の、暗黒の、影?


 只、黒く、暗く、闇、そう、人型の闇。


 黒いんじゃない、光を吸い取り、消し去るような闇。


 まあー、フードつきの黒マントの俺が怪しいとか言うと怒られるだろう。


 だって、だいたい何時も俺が怒られるのだから。


 闇の人にだって怒られるかもしれない。


 「鑑定。」


 NAME --       デュラハン リッチ ノーライフキング 


AGE  --

Lv  27            


Job  最果ての迷宮 迷宮皇


HP      --          

MP      --      


ViT     179      

PoW     259      

SpE     291        

DeX     297            

MiN     297            

InT     315              

 Luk      99


武技    ??????????

 魔法    ??????????

 スキル ??????????


 称号 ??????????

 Unknown   ??????????


装備    ??????????



 鑑定できてる?名前もジョブも、ってジョブ有るの?俺無いのに?しかも、皇。エンペラークラス?


 強いのはわかる、Lvは27なのに、凄まじく強い。


 PoWもViTもゴブリンエンペラーより無いが、他が圧倒的だ。


 しかも、種族が3つ?


 属性は闇だろう。


 デュラハンは騎士。頭ついてるけど?


 リッチは魔法職、おそらく魔道士か賢者かそれ以上。


 ノーライフキングは不死の王、不死身だ。


 そして最悪は「?」さんだ。


 武技も魔法もスキルも見えない。


 称号やUnknownまで持ってる。


 超チートだ。


 多分、オタ達が集まっても負けるような只の最強だ。


 何とか君みたいなチート殺しではなく、本当に強い。


 強い理由が有るんじゃない。只強いのだ。


 何も無くても強いのに、「?」付だ。


 俺の「樹の杖?」とかもそうだ。高Lvの物は鑑定で「?」になる。


 つまり、技も魔法もスキルも装備も最強なんだろう。


 そして、嫌なのが遠近両戦できて、速くて賢い。


 止めに器用で、運もある。


 まあ、運だけは勝てるのだが、それも何時もの事だが、強いなあーこれ、、、。



 でも歩いて行く。


 扉を開けてからずっと。


 歩み寄る。


 リッチとノーライフキングの属性持ちだ。


 魔法の遠距離戦なんて負けるに決まってる。


 絶対、魔法無効で不死身じゃん?無理だよ!?


 デュラハンさんにも勝てる気はしないが。


 戦いにはなるだろう。


 物理無効でも殴り殺せる。


 剣を持ち佇む姿を見ただけで、強い。別世界だ。


 怖しい死神の様な姿だが、その立ち姿が美しい。


 その目の前まで歩く、髑髏の眼には闇しかないが。


 見詰めあい、その距離が無になる。


 「神眼」でも、残像しか見えない速さの剣戟、只速く、只々美しい。


 予備動作も、初期動作も、無駄な動きも、不要な力みも、精神の揺れも、微塵の非も過も無い只の動作。


 只、斬る。


 それ以外の何も無い、削ぎ落とされた斬戟。


 神速とは此れだろう。


 斬り終りしかないのだから。


 動いた時はもう斬り終わっている。


 始めも、間も無い。終りしかない。


 斬り始めと斬り終りがまったく同時だ。


 「神眼」には、おそらく未来視がある。


 ほんのちょっとだ。


 ちょびっとだ。


 その、ちょっぴりで斬り合う。


 見えないんだから。


 見えたときは斬り終わってるんだから。


 只、払う様に振り続ける。


 剣戟を払い落とすように。


 不死の王なのだから無限の時を持っているのだろう。


 だから、無限に斬り合う、永遠に斬り合う、永劫の斬り合い、終りなんか無いんだろう。



 もう、どの位経ったかなんで解らないし、どうでも良い。


 今は、無限なんだから。


 でも残念な事に俺は有限だ。


 何時か体力が切れるだろう。


 何時か魔力が尽きるだろう。


 何時か精神が果てるだろう。


 何時か意識が落ちるだろう。


 でも、それまでは無限だ。


 数え切れないほど斬り合い。


 瞬きも出来ないほど斬り合う。


 那由他の時を斬り合い。


 刹那の時を斬り結ぶ。


 その間だけは無限だ。


 無限なのだろう。


 もう、とっくの昔に筋力とか関係無くなっている。


 思った瞬間に斬り。


 感じたままに斬り。


 身体の速度では無い。


 思考の速度でだ。


 有り得ない速さで。


 動かしていたら間に合わない。


 操るんだ、思考の速度で。


 身体速度なんて関係ない。


 思考の限界速度で。


 延々と斬り会う内に、この髑髏には殺気が無いことに気付く。


 その間も無限に斬り合う。


 恐らく殺気の元は闇だ、その闇の殺気で切り落とせているのだ。


 その間も永遠に斬り合う。


 この髑髏なら殺せた筈だ、いとも簡単に、何回でも、何回でも、何回でも、何回でも、何時でも。 


 その間も永劫の斬り合う。


 闇が薄れている?


 微かに。


 僅かに。


 些かに。



 だが、確実に。


 樹の杖が削り取り、奪い取り、吸い取っている?


 不死の闇属性を削り取る?神聖属性か?


 だが斬り合う度に。


 剣を併せる度に。


 鎬を削る度に。


 交える度に。


 討つ度に。


 虚度に。


 そうして、今がいつなのか知らないが、


 闇が消えた。


 闇は凌げた、だが、


 この髑髏の斬は凌げない。


 髑髏の斬には、、、、あれっ?


     ・

     ・

     ・


 やっと解った。


 ずっと、ずっと、ずっと、此処で、髑髏はずっと殺されるのを待ってたんだ。


 いつか、いつの日か、いつかきっと、終わらせてくれるのを待ってたんだ。


 じゃなければ、戦いにもならずに斬られている、闇に操られていても、闇に従わず、闇に抗っていたのだろう。


 いつか、闇と自分を殺してくれる者を待ちながら、ずっと、ここで。


 「、、、、使役。」


 髑髏には最初から攻撃する気なんて無かったのだ。


 だから戦えた。


 髑髏には最初から戦う気なんて無かったのだ。


 だから斬り合えた。


 髑髏に生きる気なんて無かったのだ。


 だから、、、。



 使役した。


 殺したくなかった。


 何故か、殺してはいけないと思った。


 やっと、闇から抜け出したんだから。


 せめて此処から出してあげたくなったんだ。


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