表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
314/321

SS 文庫9巻&コミック11巻同時出版御礼SS 本日3月25日より発売ですヽ(=´▽`=)ノ


ある日 とある町



 子供の頃に見たお芝居の勇者様は、強くて優しくて子どもたちは誰もが憧れた。


 そして誰もがそうなりたいと願いながら、現実の中で夢は夢物語へと変わりゆく。


 それでも僕は諦められなかった。


 あの日の感動を胸に、あの時の思いを忘れられなくて。


「無茶だ、もういいコリン」


 だから僕は小さな町のちっぽけな勇者でいい。あの日憧れたお芝居の中の勇者様みたいにはできないけど、誰かを守る勇者に憧れて見習いだけど冒険者になったんだから。


「早く、早く中へ!」


 だから扉の前で守る。その勢いだけでも殺して少しでも魔物の数を減らし扉を守る、今はみんな森の魔物退治で町には冒険者がいない。だから、みんなが戻ってくるまでは……だって、町には戦えない人か老人や子供しかいないんだから。


「無理です、ここで止めないと扉が保ちません」


 だから積み上げる。扉を守る障害物を、魔物の躯を積み上げて扉を死守するのが僕の役目。それは外からでしかできないことだから。


「いいから逃げるんだ!」


 僕のいた村も勇者様に守られた。子供だった僕は避難させられて知らなかったけど、僕と変わらない子供がたった一本の棒で村を守ってくれたんだって後から教えられた。


「もう、扉は開きません。閂を掛けて、急いで!」

「コリン……す、すまん……済まない……」


 だから僕は知らない勇者様の話を大人たちに聞いて回った。その話を聞いて、いつか僕もってずっと練習してきた。


「ひゃっはーー、今宵の剣はハードラックとダンスっちまったぜ!」


 見た事もない、だけど沢山聞かされた僕の知らない物語。


「えっと、先ず目に砂をっと」

(グギャアアアアアーーッ!?)

「で、足をかけて転ばせて、障害物にして……下に注意を向けて、もう一回砂っと」

(((ギギャアアアアアーーッ!!)))


 お芝居で見た振り付けのままくるくると舞い、剣を振るって踊るように逃げる。


(ギギャッ!!)


 そして落とし穴にハマったゴブリンの頭を……ゴブリンの頭は友達(ドライブシュート)


(ガガガアアアアーーッ!)


 右に行くように動いて、ヒョイッと左に。そして剣を突き出しておくと勝手に刺さるゴブリン。何度も何度も見てきたお芝居の演目のまま、ずっと見てきた黒髪の道化師のように魔物達をおちょくって遊ぶ。


 本当は怖いけど笑い、本当は凄く痛いけど戯けて微笑む。


「僕は勇者じゃないけど、棒じゃなくって剣があるんだ」


 諦めない、お芝居で見た道化師はずっとずっと笑っていたんだから。魔物に囲まれて襲われながら、それでも諦めたりなんかしないで笑っていたんだ。だから、僕も!


「シャイニング・ケンカキーック!」


 お芝居を見た後は子供たちはみんなやっていた。みんなみんなフランケンシュタイナーや旋風脚や毒霧を真似して、いっぱい遊んだんだ。


「回り巡る流転のシャッフル、超高速回転ローリングソバットー!」


 だから、僕はまだ戦える。だから、僕はまだ笑える。


「ちゃんと最後まで、殺り終えるまで戦い続ければ……大体の魔物ってみんな死んでるんだよって!」


 回る、回る、もう力が残ってないから。もう、膝が崩れ落ちそうだから……笑って回る。


「ひゃっはああああああああっ!」


 笑って叫ぶ。本当は勇者様も怖かったんだろうか、本当は道化師だって……痛くて泣きそうだから、笑っていたんだろうか。


「お前は消滅だああああああああっ!!」


 そしてゴブリンが怯んでいるのがわかる。目を見開いて、血まみれで笑ってる僕を見て恐怖しているのが感じられる……此処で、また目潰しと? 


(((ギャアアアアアーーッ!!)))


 笑う。だけどもう足が止まってしまった……だから立つ。もう、動けないからお芝居で見た変な格好で、魔物達を笑い睨みながら殺すことだけを考え待ち構える。ただ、みんなが帰ってくるまで、ただそれまでこの扉は……絶対に……。


「コリン、大丈夫か!」(((ギギャアアアアアーーッ!!)))


 子供の頃に見たお芝居の勇者様は、強くて優しくて子どもたちは誰もが憧れた。


 そして、誰もがそうなりたいと願い――そして、それは現実になり、夢は物語へと変わりゆく。


「「「シャイニング・ウィザードーーっ!!」」」(((グガアアアアアーーッ!!)))「み、みんな!」「無理すんなよな」「でも、よく頑張ったな」


 一気に全滅していく魔物達。そこには沢山の勇者たちが空を舞う――だって、この街の子なら誰もが、みんな黒髪の道化師に憧れた輝ける(シャイニング)魔法使い(ウィザード)なんだから。


「ぼ、僕も戦う……まだ戦えるんだ……」「コリンは勇者ごっこ下手なんだから無茶すんなよな」「「「そうだそうだ!」」」(((ゴギャギャアアアアアーーッ!!)))「後は任せろ」「「「倒してしまっても構わんのだろう!!」」」


 一番良いところ持っていかれた!! うん、僕はシャイニング・ケンカキックしか覚えられなかったから、勇者ごっこでも……やっぱりシャイニング・ウィザードも練習しないと駄目なのかな(泣)


【そうして異世界の小さな町に「門前の小僧、習わぬシャイニング・ウィザード」と諺が生まれる。そう、生まれたけど誰にも意味はよくわからないらしい? みたいな?】



本日3月25日、「ひとりぼっちの異世界攻略」の文庫9巻とコミカライズ11巻が発売ですヽ(=´▽`=)ノ


本当にいつもありがとうございますm(_ _)m


 五示正司

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6月25日にひとりぼっちの異世界攻略コミック24巻が刊行されます。 公開された書影はこちら。

i970590/


アニメ公式ページ
アニメ公式ページはこちら

オーバーラップストア購入ページ
オーバーラップストア購入ページはこちら

アマゾン購入ページ
アマゾン購入ページはこちら

既刊一覧ペタリ

i947047/
i970596/
― 新着の感想 ―
[良い点] 全部! [気になる点] 続きが気になります [一言] 小説も漫画もWeb版も全部面白くて何回も読み直してます。今、丁度小説の読み直し中です。これからも続き楽しみにしています。 遥くんが…
[一言] 精神・思想汚染が深刻やなあ
[良い点] 発売おめでとうございます。明日か明後日買ってきます [一言] あれ、これ未来の話ですね?初めてでは?以前に孤児っ子ちゃんの昔話みたいなのは大人ぶってただけの現在だったし。まあ、子供たちも元…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ