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5巻出版御礼SS 「道なき道って道だったら道はあるんだよ?」

本日10月25日に「ひとりぼっちの異世界攻略」のコミックと文庫共に5巻が同時発売になりましたヽ(=´▽`=)ノ


そんな訳でありがとうございますの言葉だけではと、お礼投稿させて頂きました。本当にありがとうございますm(_ _)m


まあ、告知付きですが(笑)


ある日 魔の森に閉ざされそうなしょぼい道



 コツコツと、ただコツコツと泥に塗れて石を並べる。


 俺にはそんなことしかできないから、貧しい村のために何もできないから。


 魔物の棲まう深い森に覆われて、やがて消えてしまいそうな小さな村。祖父や父が切り開いてきた村のために、俺は何もできはしないから。


 だからコツコツと、ただコツコツと土を均し石を並べていく。


 誰も知らない消えそうな小さな村の、誰も通らない忘れられた路を……その先に何の望みもないのだとしても。


 ああ……なのに、なんで道路が。って、魔物!


「ちょ、石を表面に均したってすぐに捲れるんだから、大事なのは圧地であっちからゴブを追い込んで踏み締めた所を棒で叩くと圧地圧地されて、火を付けると熱っちっちで魔石が落ちてるんだよ?」


 ずっとずっと村から伸ばしてきた路は、何故だか見たこともない知らない立派な道路へと繋がり……ゴブリンが叩かれる。って、ゴブリンごと整地!?


「うん、だからこのしょぼい路は拡大するからね? うん、大事なのはいかにゴブをこっちに追い込んでコツコツと強く強く叩き続けるかなんだよ? 地道だな?」


 この路ができたって、もし完成したって何の望みもないことを知りながら……それでも諦められなかった。深い森に閉ざされそうな小さな小さな村。祖父や父が切り開いた何よりも大事で、だけど森に飲み込まれるしかなかった村……なのに森が消えていく。


 くるくるくるくると巨大な大鎌が廻る。空を旋回しながら、鉄の斧ですら折れ曲がる強固な魔の森の樹をあっさりと斬り払う。


 それは誰もが夢見たように、だけど誰にも叶えられなかった夢のように。


 何もかもを飲み込む魔の森の侵略を止め、切り開きたいと願う辺境の叶わぬ夢物語のままに。


(((……♪)))(((グギャアアアーー!)))


 だけれど森に棲まう魔物が溢れ出す。だから禁忌の森で、絶望の樹海。


 そんな魔の森が……木材に加工されて積み上げられ、溢れ出す魔物の群れは……圧地。


「うん、この地道に血路な緻密なる地圧が地均しには地味に重要なんだよ? コツコツボコボコ?」 


 追い込まれては叩かれて、ボコボコとゴブリン達が叩かれて……路へと変わる。


 路さえ通れば、魔の森を食い止められれば。そんな儚く悲しい辺境で誰もが夢見る夢は……悪夢だった。それは魔物の血で舗装される、夢も希望も殺し尽くすような真っ直ぐな路。


(((ギャアアアアァーー……)))


 希望なんて無いと知りながら、すがりつくように信じていた路が何処までも続いている。


「一体何を……」 


「いや、なんか村があるって聞いたから木材とか棍棒とか茸とか売れないかなって来てみた? うん、過剰在庫で物流飽和で、過疎った村じゃないともう売り切れないんだよ……なのに木材が増えてるな!?」


 木材があれば朽ち果てそうな村は直せる。そして茸があるなら病人達も働ける。武器さえあれば魔物とだって……って、魔物も森も絶滅中!? 


(((グギャアアアーー!?)))(((……♪)))


 それからは村長さんまで出てきて、急にできた路に大騒ぎで、なのに騒ぎを更に大騒動に変えるように茸や木材や棍棒が積み上げられて……そして村中が泣いている。俺もきっと……ずっと泣いている。


「おお、やっぱり白菜有るんじゃん!」(((……?)))「そんなもので、こんな高価なものを頂くわけには……」「いや、雑貨屋のお姉さんが昔あった村には有ったって言ってたんだけど、森に覆われて村ごと無くなったって聞いてたのに……なんか道を作ってる変なおっさんがいるって聞いたから、ワンチャンあるかもって変なおっさんを見に来たら変だったんだよ……うん、なんかずっと泣いてるし? 顔が悪いからなのかな? まあ、泣くから余計不細工なんだよ……泣いてなくても変な顔だけど?」


 あの何処までも続く路を見た時から、あの樹海が消え去るのを見たときからずっと……涙が止まらない。って、うるせえよ! 変な顔じゃねえよ!! ……ないよね!?


 そして村には鉄より硬い魔の森の樹で作られた城壁までできて、積み上げられた木材と茸と棍棒……そして何処までも行けそうな路。


 真っ黒な大鎌は消えて、真っ黒な少年のそばに三人の真っ黒な幼女が纏い付き。その影は白菜を抱えて魔の棲まう暗い森へと――道なき地に、血を敷き詰めて路に変えて歩き去っていく。


 森を消し、道なき路をただ歩いていく。


 その後ろ姿に村中が頭を下げる。泣きながらただ頭を下げる。その小さくなっていく黒い影に……でも、なんで来た路を戻らないんだろうな?


「木材ゲットだぜ! あっ、道端に魔石も落ちてた?」(((ギャアアアアァーー……(泣!))))


 いや、さっきまで道端どころか路もなくって、魔石だって落ちてもいなかったよな!


 あと、何で全員俺の顔の話スルーなの!? ちょ、下を向いて目をそらすって、普通だよね俺の顔!? って…………誰も目を合わせてくれないのは何っ!? 

 


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6月25日にひとりぼっちの異世界攻略コミック24巻が刊行されます。 公開された書影はこちら。

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― 新着の感想 ―
[一言] こっちで武器っ娘が登場か~ あれ?でもデスサイスの三姉妹のみ? モーニングスターっ娘は? コミックに合わせた登場なのかな?
[一言] 冬になって、鍋物を要求させることを見越して白菜を手に入れに来たというお話?とろとろに煮込んだ白菜は美味しいですからね
[良い点] コミック&文庫、発売おめでとうございます! [気になる点] 顔については意味は変わるけど遥くんも人の事言えないような……、おや?誰か来たようだ [一言] これからの季節、白菜は欠かせません…
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