SpecialThanks SS 棍棒売ったら茸の伝道師だった件?
昔々……って言うか半年くらい前 辺境 何処かの何処にでも有る村
村に見知らぬ男の子が木箱を置いて、その上には3本の棒。でも、それは見ただけで力強さを感じる威圧感……なのに安い。1本がたったの4,000エレ、しかも3個セットで買うとさらに安い!? って、何で9,998エレなのよ!? どうして最後だけ8なの!!
「こ、これは何ですか?」
「これはね、精魂込めて作り上げられたかどうかは全く定かではない棍棒さんで、懇懇と怨恨の渦巻く混沌で混乱中の森にいっぱい落ちてるんだよ?」
やはり棍棒。しかも森に落ちていたならばスキルの付いた魔力武器……それがこんな値段で……しかも、何でセット?
「えっと……武器ですよね?」
「ふっ、その見識の浅さが浅はかさであかさたなとは一線を画する画数も浅いに違いない思い違いで、重いけど太めの丸っこい棒は全て棍棒で最も単純明快ゆえに世界最古であろう打撃武器な生活用品で、古来から振れば棍棒、払えば棍棒、突けば棍棒、麺を打ってたら麺棒なんじゃないかとも言われる万能道具なんだよ?」
だけれど魔の森は魔物の巣窟、そこに棍棒が落ちているものだろうか。
村で戦闘スキルを持つ者は自警団の一員、私だってそうだ……だからわかる、これは凄く良い武器だと。
「お、落ちてたんですか?」
「うん、地面とか地面に立ってる何かの手の中とか、色々多岐に渡り多用な各種解釈的な様々な意味合いにおいて落ちてたんだよ? うん、重力に惹かれし物全てが万有引力だったんだよ」
この武器が有ればどれだけ誰かを救けられるだろう。そして、どれだけ有利に戦えるだろう……だけど、これはこんな価値のものではない。何も知らない男の子から、こんな値段で買ってしまって良いものではない。
だって、この男の子は森に落ちていたと言ったのだから。それは、あの危険な森に入って命懸けで手に入れた物だという意味。その意味がわかる者ならばこんな値段で買い叩いて良いはずがない。
「安すぎるよ──うん、その値段は安すぎなの」
適正な価格なら、私には到底手なんて出せない。この武器が有れば村を守れるのに、無理すれば3個セットだって買えちゃうのに──そう心の中で囁く醜い私の声が嫌いだ。
「いや、だっていっぱい落ちてたから有り余ってて……うん、やっぱり面倒だからお値段据え置きで、今なら3個セットを買ったら、更に3本セットでオマケに棒も6本付けて12点セット? うん、やっぱ値段も高いかな? 仕入れも仕入先をボコっただけで無料だったし?」
なのに積み上げられる武器。棍棒は間違いなく邪鬼の棍棒、だとすればあの棒は凶獣犬鬼の物……眩暈がする。どれだけ必死で醜い心の声に抗っているのかなんて知りもしないで、12本セットにした上に値段まで下げ始めている。つ、ついに8,889エレ……何でどうして最後を揃えられないの!!
誰だって故郷や家族を守りたい。そして死にたくないから武器は欲しい……それは、もう請い縋ってでも欲しい。当たり前だ、それは命を守る武器なんだから。醜い心が、いっぱい有るなら良いじゃないかと囁く。1本くらい、1セットくらいって心を乱す。
「いや、そうなると在庫のバランスがアンバランスで、売り切りたい意志と気持ちがアンビバレンスだからアンビリバボー特価で棍棒9本に棒6本で良いか?」
なのにまた増えてる。15本に増えたのに、未だ値段を下げようかと値札を7,770エレに! 何でそこだけスッキリ!?
「安すぎるの! それはもっともっと高値で売れるから、それ一本すらこんな金額では買えないものなの。貴重な武器なんだから!」
血を吐く思いで語る。心の中の私が、これだけの武器が有れば村中が武装できると唆かし、こんな好機は2度と無いと囁きかけてくる──そう、それで私の村は幸せになれるだろう。
だけど他の村だって町だって、みんなそうなんだ。私だけが、私達だけが得をするっていう事は、他のみんなが損をするっていう事。
「他の村……いえ、町なら買える……きっと喜ばれるから。これは、それだけの価値が在るものだから」
いつか──いつの日か、一生懸命に働いて堂々と手にしたい。そう思って未練がましく視線を向けると、さらに積み上がる山のような武器……ナニコレ?
「もう、一山価格で5,001エレぽっきりなんだよ! いや、他の村にも町にも、もう売ってきたんだよ? うん、それでも減らないのに……しかし、これでも売れないとは恐ろしい村なんだよ。よし、ならば驚愕のスペシャル値下げでドドーンと……」
「やめてーー! 買います、買いますからこれ以上値下げしないで!! って、もう一山価格が半額に!? って端数切らなくって良いです! サービスももう充分だから、充分すぎだから!! この村にそんなに人いませんからーーっ!!」
叫んだ──きっと最後は泣きながら叫んだ。
そしてグシャグシャな掻き乱された心と、混乱した頭で放心していたら……そこには、いっぱいの武器と一緒に「特典おまけな茸の詰め合わせ『森の恵みっていうか蔓延ってるんだよ! な、御裾分け』みたいな?」って書かれた超高級茸が山のように。
それは村の病人が全員治って駆け回れるくらいの量が……そして、もう居なくなってしまった男の子。
その後、村中の人を集め説明して、お金を掻き集めて手分けして必死で探した。だって何のお礼も言えなかった、村中のお金を差し出して頭を下げても全然足りないのに──私はありがとうすら言えなかった。
そして、どの村でも町でもみんなが探していることを知った──「黒い髪の、黒い瞳の男の子を知りませんか」って。
──それは、後に「茸の伝道師」とも「棍棒拾いの殺戮者」とも、沢山の名と共に言い伝えが広まっていく。それが誰かは誰も知らない物語、そして犯人が誰かだけは推理する前からわかっている、そんな辺境のよくある伝説。
SpecialThanks 心からの感謝をとお礼のSSを投稿させて頂きました。
誤字ぺったんのゆき様、そして沢山の誤字指摘をして下さった皆様に心からの感謝をm(_ _)m
『誤字修正が面倒だから、こんな面倒な作業に作者の時間を使って欲しく無いから』
そんな言葉で始まる「誤字ぺったん」と言うサイトが有り、そして大変助けて頂きました。
それは便利で助かると言うだけでなく、独りで書いてるわけではないんだなと心から励まされ、おかげで今日まで書き続けることが出来たと心より感謝しております。
『もし作者のこんな面倒な作業の時間が減れば……そう、もっと小説が読めるかも知れないのです!
更新を待ちわびてる読書狂い達にとって、追いかけてる作品の最新話ほど欲しいものがあろうか?
いや、無い!
もっと作者が楽になるといい。
もっと作者が増えて欲しい。
もっともっと名作が読みたい。
そしたら、もっと本好きが増える。
物語は書けない、ありふれた一モブ読み専なれど、何かしら創作活動に貢献できないかなと作ってみたわけです。
このサイトが少しでも創作活動の役に立って、なろうを盛り上げる力になれれば幸いです。』
こんな素敵な言葉で作られたサイトに、どれだけ沢山の作者様方が励まされ感謝されたことか。代表するのはおこがましいのですが、誤字に関してだけは間違いなく第一人者ですので勝手に代表させて頂きお礼をw
ゆき様、そして誤字ぺったんしてくださった皆様に、本当にありがとうございましたと深謝をm(_ _)m
そんな訳でSpecialThanksなSSでした(*´ω`*)
みたいな感じでノクターンの方で細々と迷走しつつ日刊で更新させて頂いております。もし万が一何かの間違いで御気に入って頂けて、お付き合い頂ければ本当に幸いです。
五示正司
とか良い話風に終わったら誤字ぺったんがw
修正させて頂きます(笑)
本当に沢山の修正に感謝を、ありがとうございます。




