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俺も抱き合って歌って踊りたかったのに俺が居た時はおっさんしかいなかったよ!


68日目 夜 御土産屋 孤児院支店 



 オムイ様達と連絡が取れるまでに思いの外時間が掛かってしまったがやっと打ち合わせと相談も済んだ、もう王都は大丈夫だ。


 都民は誰も血も流す事無く飢える事も無く王都は解放された、遥君が望んでいた通りに。


 もう都民は野外に集まっては喜びの声をあげ、振舞われたお酒と開放感に酔いしれて歌い踊り出している、重苦しかった王都の雰囲気は一変し賑やかで楽し気な都会に変貌していた。王都の本当の姿は幸せそうな人々が抱き合って喜びあう幸せな街だった。


 争いなく終わったからだ、血も流れず騒ぎも無かったから素直に笑えるんだ。


 王都の門の前でバーゲンを開催して王都の奥様おばちゃん達に門を解放(突破)させた、既にお土産屋に押し入ろうとした憲兵隊も貴族の私兵も地下直行で遥君命名のおっさん地獄に突き落とされている。手薄な門の警護など万の奥様おばちゃん暴走スタンピードが止められる訳が無い、止める者は突き飛ばされ踏まれ踏みにじられて朽ち果てて門は瞬く間に突破されて行った。


 更にかば焼きの販売でかば焼きの匂いに誘われた老若男女が門から溢れ出してきた。私達のお口からも涎が溢れ出していた、みんな美味しそうに食べていた。味見もとっても美味しかった、みんな販売と味見で大忙しだった。


 遥君は王都で鰻と赤酒を見つけていたのだ、その時に王都は落ちていた。だってかば焼きだ! みんなでパタパタと団扇で扇ぎその匂いを風魔法で王都に流す、そりゃ~出て来ちゃう、もうあれこそが美味しい匂いだ。あれが耐えられるなんて鼻詰まり以外に在り得ないって言う位にいい香りだった!


 そしてこの騒動は絶対に上手くいくって最初から決まっている茶番なの、もうお膳立てさえすれば絶対に上手くいく。


 だって遥君が決め手と呼んだ「波及の首飾り MiN InT 50%アップ アンチレジスト 効果波及浸透」を持った図書委員ちゃんの扇動アジテーションだ、群集心理が巧みにコントロールされている。最初っから落ちていた、きっかけとタイミングを待っていただけ、もう落ちるって勝手に決められてたの。


 だから当然落ちた。あとはお芝居だけ。


 そうして開け放たれた門から近衛師団と辺境軍が旗を掲げ王都民の歓声に包まれながら入城した、そうして難攻不落にして鉄壁と謳われた王都は落ちた。


 鉄壁と呼ばれた堅牢な王都の城壁も王国の秘宝「究極の錠前プロテクション」の完全封鎖と完全防御を兼ね備えた完全侵入禁止の守りも「千古不易の罠」の無限の罠も意味を為さずに出番も無く落ちた。しかもさりげなく王国の秘宝の「千古不易の罠」なんてパクられたままだ!


 王様も予定シナリオ通り回復して王宮や王都から商国派も教国派も一掃された、貴族達も逮捕されるか無力化されている。


 王様はやはり毒を盛られていた、王家伝来の宝具で命は取り留めていたが致死量を遥かに越える毒に侵されていたらしい。でも辺境名物「茸の伝道師」さんに掛かれば即完治決定だった様だ、治癒用茸を渡されたオムイ様は涙を流し遥君の手を握って何度も何度もお礼を言っていた。遥君は手を握られて滅茶嫌がっていた。


 そうして堂々と旗を掲げて近衛師団と辺境軍が大軍で王宮を囲む様に王都に入城して来たのだから最早貴族からも抵抗すら起きなかった。そして王子さるも捕獲されたそうだ。


 そうして王が復活し王都は解放された、大団円だ。


 王都は拍手と喝采に包まれて人々は歌い喜びを叫びこんなに沢山の人が王都にいたのかと驚くほどに賑わっている、みんなが平和が来た喜びに湧き上がっている。


 これでもう王都は大丈夫。だから行く。


 「お留守番よろしくね、みんなもちゃんといい子に出来る? なるべく早くお迎えに来るからね」


 「「「「ちゃんといい子で待ってるよ、いってらっしゃい」」」」


 ヴィズムレグゼロさんは王宮の警護に売られて行った、遥君が渡した装備に身を包みそのマントにはドナドナと書かれていた。流石にちょっと可愛そうに見えた。


 妹のイレイリーアさんは子供たちと仲良くなって留守の間も面倒を見てくれるそうだ、エルフの巫女さんだったらしく魔法職だが結構強いみたいだし安心だろう。王家も第2師団も御土産屋の警護を買って出てくれた、このお土産屋は王都の恩人だからと豪華な警護が用意されているらしい。だからもう大丈夫。


 これでもう子供たちもは大丈夫。だから行く。今、王国で一番大丈夫じゃ無い事をたった一人でしている人の所へ。


 アンジェリカさんは先に辺境に向かった、一緒に出ても私達よりもアンジェリカさんの方が移動速度が速い。そして一刻でも早く遥君の元へ誰かに行って欲しい、だから真っ先に先行して貰った。


 だって遥君なら下手すればもう偽迷宮に着いているかもしれない、だって一人だと遥君は空を飛ぶ可能性がある。何で未だに着陸する方法が発見されていないのに気軽に飛んじゃうのかは分からないけど飛べば移動はとんでもなく早い、墜落も超高速らしい。そして結構痛いらしい。



 「じゃあみんな準備は良い? 完全武装状態で高速移動だから装備はきちんとできている?」


 「「「大丈夫、行けるよ!」」」

 

 みんな気が逸っている、遥君が一人戦っている、そこで待っている、たった一人で。だから気が逸る。


 「じゃあ出発します、先行は体育会系でお願い」


 「「「了解ヤー!」」」


 「「「「いってらっしゃ~い、お兄ちゃんにもお迎えを待ってるよ~って言ってね」」」」


 遥君が出立前に配っていた御手製の綺麗な可愛い子ども服を来た子供たちが笑って手を振る、フリフリな可愛いドレスにお澄ましな半ズボンスーツのおめかし正装でお見送りをしてくれている。だから笑顔で子供たちに手を振り返して答える。


 「「「「いってきます」」」」


 ちゃんと王都は遥君の願い通り誰も巻き込まれて怪我したり死んだりすることも無く、火災も騒乱も起こさせずにお祭り騒ぎで一気に平和になった。


 だから辺境に行く、そこに遥君はいる。


 私達が孤児を見て助けてって遥君にお願いした、きっとそれで遥君の計画はズレたはずだ。でも孤児院を立てて貧民街も整備してくれた、きっと私達がお願いなんてしなくてもしていたんだけど。って言うかお願いする前から何のかんのと理由を付けながら貧民街を改装していた、でもあれで1日はズレたはず。


 そして商国からの船が途絶えたのは小田君達が商国側まで攻め入っている、遥君はそれを聞いて驚きながら嬉しそうだった。小田君達が怒っている事に、自分達の意思で判断して戦っている事に。でもそれで小田君達の帰還が遅くなる、遥君の計画がまたズレたはずだ。


 だからきっと遥君は1人で何もかもを無理矢理守り抜いて何もかもを無理矢理幸せにしようと戦ってるはずだ、だから私達が守るのは遥君だ!


 異世界の事なんて何もかも他は全部遥君に投げちゃっていい、私達は自分自身を投げちゃう遥君だけを守る。


 だってもう私達は知っている。


 遥君はどうしようもなくなれば自分の命も使い切ってしまう、遥君は死ぬと分かっていても他人の命を守ろうとしちゃう。


 だから毎晩延々と話し合われた女子会の総意は私達だけは他の何を置いても遥君を守る事。


 だから毎日延々とLv上げをし武装を整え訓練を重ねて来た、それは遥君のために戦うため。


 それが女子会決定だ。


 「先頭交代しま~す。前異常無しで敵影無し」


 「了解、次は使役組でお願い。出過ぎないでね」


 「わかってる、速度このままで良いの?」


 「うん。疲労させたら駄目、遥君は万全でって言ったから」


 「「「「了解」」」」


 遥君の隣りにいられなくたってリスクを減らせるだけで良い、敵を分散させられるだけでも良い、囮だって陽動だって何でも良い、ただ役に立ちたいの。


 何もかもを背負わせたくないの。


 ほんのちょっとでも手伝いたいの。


 だって遥君は戦闘こそが危険だ、それは遥君のLvやHPや色々な問題は山積みだけどそれは良い。


 遥君がたった一人で死を決意する事が嫌なの。 


 あの時みたいにたった一人で死にに行かせたくないの。


 遥君はきっと最後はそうする。


 だから最後の局面を迎えさせなければいい。


 私達が遥君の手札カードに成れれば後は遥君がきっととんでもない手で相手を騙して叩き潰してくれる。


 だから最後まで遥君の手札カードになりたい、それだけで良い。


 だって遥君が全ての手を失って、たった一人で死にに行く様なのはもう嫌だ。


 これが延々と話し合われていた女子会の総意、私達だけは他の何を置いても遥君と共にいる。


 「朝まで速度このままで良いかしら? 文化部もまだ余裕ありますよ」


 「急がなくて良いって言われてるし未だお呼びも掛かって無いから安全重視で行こう」


 「何故3万の敵に対して1人でいるのに援軍が急がなくて良いんでしょうかね? まあ心配しただけ無駄になるんですけど」


 露払いでも被弾役でもお使いでも何でも良いの、ただ手札カードで有れば良い。


 きっと今もたった1人で3万の軍を相手に私達には理解できない事をしているんだろう。


 行ったって何の役に立てないかも知れない、でも役に立てなくてもいざという時の予備札でも良い。


 傍にいないと何も出来ない、役割1つ貰えればそれでいい、遥君が捨て札にならなければ何でも良い。


 それだけが異世界に来てからずっと延々と話し合われた女子会の総意で私達は遥君に尽き従う。


 もう絶対に独りで死地には向かわせない。


 「アンジェリカさんが先行してるけど朝までには無理だよね~、遥君はもう敵に接触しちゃってるのかな?」


 「敵軍は偽迷宮まで来てる筈だから遥君が何処で迎え撃つかだよね~?」


 こまめに注意を出さないと段々速度があがって行く。


 未だお呼びは掛かっていない、尾行っ娘ちゃん一族からの連絡も無い。


 でも近づけば近づく程に役に立てるかもしれないから、だからみんなの足が速くなって行く。


 来る時はこの道をたどり王都を目指して遥君を追った、着いたら御土産屋さんが出来ていた。


 今はその道を逆走して辺境を目指す、何か出来ていないか心配だ。


 「3万の軍に遥君は何をする気なんだろうね~?」


 「「「考えちゃ駄目! 分かる様になったら常識さんが終わりだよ」」」


 遥君が心配していたものは何だか分からない、でもあの顔は心配していた。


 何かあるなら其れまでに間に合いたいからみんなが急ぐ。


 もう最高速に近い高速移動で牛丼が食べられる様になってしまっている。


 女子的にいろいろ問題だけど早いのは確かだ、夜暗くて見られない内に食べちゃおう。


 「おみそ汁が付いていれば言う事無いのにね~」


 流石に片手に丼を持って牛丼を食べながら高速移動しつつ更におみそ汁まで啜るってどうなの? お新香までついたら女子力の危機だ!


 「速く行って美味しい物をたかっちゃおう!」


 「「「おおおおおうっ!」」」


 あれ? 何を目指してるんだっけ、美味しい物? お饅頭は有るんだろうか。


皆様に頂きましたブックマークとご評価で総合評価が33,000ptになりました(総合評価は増えたり減ったりするんですが初の3万3千と言う事です)、本当にありがとうございます。

有り難くこれからの励みにさせて頂きます、重ね重ねありがとうございます。

お礼投稿と言うのも烏滸がましい何時もの乱文のお礼投稿ですが、もし万が一何かの間違いで御気に入って頂けてお付き合い頂ければ本当に幸いです。

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